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25回介護福祉士国家試験問題及び解説

 

【生活支援技術】20

問題41 Jさん(75歳、男性、認知症高齢者の日常生活自立度Ua)は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら妻と自宅で暮らしていた。妻が事故で亡くなったため、近くに住む息子夫婦の家に引っ越すことになった。息子夫婦はダイニングキッチンの隣をJさんの部屋として用意し、訪問介護員(ホームヘルパー)にどのように整えるべきかを尋ねた。
 息子夫婦に対する助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 部屋の出入口の戸を取り外す。
2 ポータブルトイレを設置する。
3 思い出の小物や写真を飾る。
4 ベッドを柵で囲む。
5 部屋のようすがわかるように、カメラを設置する。

解答
1:×戸をと取り外しては、Jさんはリラックスできないのではないでしょうか。精神的安定を保つためにも戸は必要です。
2:×ポータブルトイレを設置しは生活活動範囲を狭めてしまい潜在能力を減らしてしまいます。
3:○精神的安定を保つためにも思いでの品を飾ることは大切です。
4:×ベッドを柵で囲むのは虐待行為となります。
5:×プライバシーの侵害となります。


問題42 介護保険の給付対象となる住宅改修として、正しいものを1つ選びなさい。
1 住宅用火災警報器を設置する。
2 緊急通報装置を設置する。
3 ガスコンロを電磁調理器に取り替える。
4 風呂場に取り外し可能な手すりを設置する。
5 和式便器を洋式便器に取り替える。

解答
1:×対象外
2:×対象外
3:×対象外
4:×原則固定。ただし、取り外し可能な手すりも手すりとして使用する理由が明確で、金具を固定するための工事が行われていれば対象となります。
5:○

 

参考:http://www.kk-yamaka.co.jp/kaigo.files/pp09-10.PDF

問題43 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)の住環境として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 住宅地から離れた場所に建てる。
2 定員は10名以上15名以下とする。
3 居室は多床室とする。
4 カーテンは防炎物品とする。
5 統一した家具を事業者側が用意する。

解答
1:×高齢者ができる限り住み慣れた地域での生活が継続できるようにとの観点から生まれたものなので住宅地から離れていては意味がありません。
2:×定員は1ユニット9人で 最大で2ユニット18人が定員となります。
3:×居室は個室であることが原則となります。
4:○防火対象物については一定の防炎性能を有するカーテン、じゅうたん等の使用が義務付けています。
5:×部屋の装飾は自由で使い慣れた家具やベッドを自由に配置する事ができます。

問題44 義歯の取り扱いに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 食事のとき以外はつけない。
2 磨くときは、歯磨き粉を使わない。
3 熱湯で洗浄する。
4 総義歯は、上あごから外す。
5 外した義歯は、よく乾燥させておく。

解答
1:×食事以外に咬み合わせの維持のためにも重要な役割を果たしていますし、スムーズな会話を行う時にも義歯は役だっています。
2:○義歯が傷つく原因になります。
3:×熱湯だと変形することがあります。
4:×外すときは下顎から外し上あご。装着するときは上あごから下顎。
5:×義歯は乾燥により変形することがあります。乾燥を防ぐために、入れ歯をはずした時は、水を入れた専用の容器で保管することが大切です。

問題45 移動補助具に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ロフストランドクラッチ(Lofstrand crutch)は、握力の弱い人に適している。
2 スクーター型電動三輪車は、頸髄損傷(cervical cord injury)の人に適している。
3 ステッキ型杖は、失調性歩行のある人に適している。
4 四輪歩行車は、杖歩行の安定した人に適している。
5 交互型四脚歩行器は、片麻痺のある人に適している。

解答
1:○医療用補助器具の1つで、前腕部支持型杖とも呼ばれ、腕に装着して使用する片手用の杖です。
2:×高齢者の移動手段として使用されています。
3:×足、腰の状態が弱ってきたお年寄りや、脳の障害などで、手や指の力が弱ってきた方に適した杖です。
4:×杖歩行が安定している人は使用しません。
5:×交互型四脚歩行器は左右のフレームが個々に動かせるものです。歩行時には左右交互に動かして歩行します。したがって片麻痺のある人には適しません。

問題46 視力障害のある人の移動の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護者は、利用者の手首を握って誘導する。
2 バスに乗る場合、介護者は先に乗る。
3 エスカレーターから降りる場合、介護者は後から降りる。
4 白杖を使用している場合、介護者は後ろに立ち、声かけによって誘導する。
5 駅のホームで電車を待つ場合、介護者は利用者を点字ブロックの上に誘導する。

解答
1:×介護者は視覚障害者が介護者の腕を伝いながら肘の少し上を握ってもらうようにします。
2:○バスの乗り降りは階段と同じ要領で、誘導者が一段先に乗降する形で行ないます。
3:×エスカレーターの乗り降りは誘導者が一段先に乗降する形で行ないます。
4:×視覚障害者が白杖を持っている方の場合、介助者は白杖を持つ手の逆側の前に立つようにします。そして視覚障害者があいているほうの手で介助者の肩は肘をつかんでもらいます。
5:×電車を待つために点字ブロック上に立ち止まっていると、他の視覚障害者と衝突する可能性があるので、点字ブロックから離れるように誘導します。

問題47 Kさん(81歳、女性)は、左片麻痺があるが、自分で食べようとする意欲が強く、一口大の刻み食を座位で摂取している。食事を始めて10分後にKさんのようすを見ると、姿勢が左に傾いていた。食事用エプロンには多くの食べこぼしがあったが、食器の周辺には食べこぼしはなかった。
 介護職の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 食事を全介助にする。
2 極刻みに変更する。
3 すくいやすい皿に変更する。
4 姿勢保持のためのクッションを入れる。
5 臥位で食事をするように変更する。

解答
1:×残存能力の活用ということで麻痺のない手での食事をしていただきます。
2:×問題文に「一口大の刻み食を座位で摂取している」とあるので、極刻みに変更する必要はありません。
3:×問題文に「食器の周辺には食べこぼしはなかった」とあるので、すくいやすい皿に変更する必要はありません。
4:○
5:×Kさんは全介助ではないので臥位(寝た状態)での食事は不適切です。文中に「自分で食べようとする意欲が強く、一口大の刻み食を座位で摂取している」とあるので座位姿勢で食事を摂るのが望ましいです。 座位姿勢は口腔から食道・胃にいたる食物の通過が容易で、誤嚥を避ける為にも一番よい姿勢です。

問題48 ベッド上での洗髪の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 洗髪前は、ブラッシングを控える。
2 シャンプー剤を直接頭皮につける。
3 爪を立てマッサージしながら洗う。
4 すすぎ湯を流す前にシャンプーの泡を取り除く。
5 ドライヤーは、頭皮から5cm離して使用する。

解答
1:×先発前にブラッシングし、汚れやふけを浮き上がらせます。
2:×原液よりは薄めて使用したほうがよりやさしい洗髪ができ、泡立ちもよく、洗浄力も十分となります。
3:×爪を立てると頭皮を傷めてしまいます。
4:○
5:×頭皮から5cmでは近すぎて髪を痛めてしまいます。ドライヤーを使うときは髪から20cm以上離して、同じ場所に3秒以上風をあてないようにします。


問題49 全身清拭の介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 背部を拭くときは、健側を下にする。
2 40℃のお湯を準備する。
3 目尻から目頭に向かって拭く。
4 上腕は、手関節を下から支えて拭く。
5 皮膚についた水分は、最後にまとめて拭きとる。

解答
1:○麻痺がある場合は健側をしたにして楽な姿勢にします。
2:×40℃ではタオルはすぐに冷えてしまいます。50℃〜60℃にしてタオルを絞る時に熱く感じるくらいが良いと思います。
3:×目頭から目尻にむかって拭き、同じ面は二度使わないようにします。
4:×手関節ではなく 手首や肘の関節を支えて拭きます。
5:×水分が残っていると体を冷やしてしまうのですぐに拭くことが大切です。

問題50 Lさん(80歳、男性)は、高血圧症(hypertension)と心疾患(heart disease)の持病がある。週2回、通所介護(デイサービス)での入浴を楽しみにしている。
 入浴の介護に関する注意点として、適切なものを1つ選びなさい。
1 入浴前後の水分補給は控える。
2 浴槽内の水位は、心臓より下にする。
3 浴室より脱衣室の室温を低くする。
4 浴槽に入っている時間は、20分程度とする。
5 43℃以上の湯温に設定する。

解答
1:×脱水をおこさないよう十分に水分を取っておきます。
2:○心臓に負担をかけないためです。
3:×温度差がもたらす身体への衝撃(ヒートショック)を和らげるために、浴室や脱衣室を同じくらい温かくする必要があります。
4:×10から15分程度
5:×40℃前後(基本テキストによる)

問題51 耳、鼻の清潔保持の介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 耳垢(耳あか)が取りにくいときはピンセットを使う。
2 乾燥した耳垢(耳あか)は綿棒で湿らせてから取る。
3 綿棒は内耳まで入れる。
4 鼻は左右同時にかむ。
5 鼻毛は毛抜きで抜く。

解答
1:×綿棒を水やベビーポイルで浸して取り除きます。
2:○その他にベビーオイルなども効果があります。
3:×外耳道のみ手入れをします。
4:×片方ずつかみます。
5:×鼻毛用のハサミを用います。

問題52 老人性掻痒症(pruritus senilis)がある人の入浴の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 硫黄を含む入浴剤を使う。
2 弱酸性の石鹸でからだを洗う。
3 かゆみのある部位は、ブラシでこする。
4 皮膚を乾燥させてから、保湿剤を塗布する。
5 着替えの下着は、厚めの羊毛素材にする。

解答
1:×硫黄分が皮脂の分泌を抑え皮膚を乾燥させてしまいます。
2:○刺激の弱酸性の石鹸が有効です。
3:×ナイロンタオルやブラシなどで身体を洗ってはいけません。
4:×お風呂上がりなど皮膚が湿ってる状態のときに、保湿剤を塗布します。
5:×皮膚に直接触れる下着類は、刺激が少なく、保湿性のある木綿素材のものがベストです。

 

参考:老人性掻痒症(ろうじんせいそうようしょう)年齢を加えてくると、皮膚の機能が低下してきます。具体的には皮脂(皮膚のあぶら分)が少なくなり、発汗が少なくなります。そのため、湿気の多い夏はしっとりしていても、乾燥する冬になると肌がカサカサしてかゆみがでやすくなります。


問題53 寝たきりの高齢者におむつを装着するときの基本として、適切なものを1つ選びなさい。
1 女性が使用する布おむつは、前側を厚くする。
2 おむつカバーの上端は、ウエストより上に合わせる。
3 鼠径部は、おむつカバーから布おむつを少し出す。
4 腹部とおむつとの間には、指2本程度の余裕があるようにする。
5 紙おむつの腹部のテープは、真横に留める。

解答
1:×女性は臀部(でんぶ)に尿が流れやすいので、後ろ側を厚くします。
2:×
3:×鼠径部(そけいぶ)おむつカバーから布おむつをすと尿漏れの原因となります。
4:○おむつカバーのウエスト部分は指が2本入るようにします
5:×腹部テープは上の方で留めます。

問題54 前立腺肥大症(prostatic hypertrophy)で留置カテーテルを使用している軽度の認知症(dementia)の人への対応として、適切なものを1つ選びなさい。
1 蓄尿袋を腰より高い位置に固定する。
2 尿量が減少するように、日中の水分摂取量を控えるよう促す。
3 尿を観察するために、蓄尿袋のカバーは外したままにする。
4 留置カテーテルを抜く恐れがあるので、介護職の判断でミトン型の手袋を着ける。
5 陰茎を上向きにして、腹部に留置カテーテルを固定する。

解答
1:×蓄尿袋は常に腰より低い位置に置き、尿の逆流を防ぎます。
2:×日中は水分を十分取るようにします。水分摂取を抑えると脱水状態になり腎機能障害を起こすことがあります
3:×プライバシーを守ることを考えて、カバーを外したままにしてはいけません。
4:×手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつけることは身体拘束の虐待となります。
5:○男性の場合は陰茎(いんけい)を上向きにして、腹部に留置カテーテルを固定します。女性の場合は、太股(ふともも)の内側か、下腹部にテープで固定します。


問題55 便秘を訴える高齢者の排泄の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 腹圧をかけやすい姿勢で便座に座るように促す。
2 食物繊維の少ない食品を勧める。
3 腹部全体を冷たいタオルで冷やす。
4 1日の食事の量を減らすように促す。
5 下行結腸、横行結腸、上行結腸の順にマッサージする。

解答
1:○
2:×食物繊維を摂ることで、便の量が増え、それが腸壁を刺激し、排泄するための腸のぜん動運動が引き起こされます。
3:×便秘症の人が腹部を温めることは、腸の働きがよくなり便秘解消に効果的です
4:×食事量を減らすと排便の量も少なくなりかえって便秘がひどくなります。
5:×横行結腸、下行結腸、上行結腸の順にマッサージします。


問題56 塩素系漂白剤を使って漂白する素材として、適しているものを1つ選びなさい。
1 アセテート(acetate
2 ナイロン(nylon
3 羊毛
4 絹
5 綿

解答
1:×
2:×
3:×
4:×
5:○

 

参考:

塩素系漂白剤で使えるもの→綿、ポリエステル、アクリル

塩素系漂白剤で使えないもの→毛、絹、ナイロン、アセテート、ポリウレタン


問題57 ビタミンD(vitamin D)が多く含まれる食品として、正しいものを1つ選びなさい。
1 干ししいたけ
2 にんじん
3 りんご
4 牛肉
5 ひじき

解答
1:○「干ししいたけ」には、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富に含まれています。
2:×にんじんにはβカロテン(ビタミンA)が非常に多く含まれています。
3:×ミネラル分が多く含まれています。
4:×ビタミンB群をバランスよく含んでおり、特にビタミンB2・ビタミンB1も比較的多く含まれています。
5:×ビタミンA、B2、ミネラルなどが含まれています。


問題58 施設で、介護職が深夜に巡回するときの注意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者の顔に懐中電灯の光をあてて観察する。
2 足音で、巡回を知らせる。
3 異変の有無を確認する。
4 職員同士の会話は、昼間と同じ大きさの声で行う。
5 ドアを開ける際は、ノックする。

解答
1:×睡眠の妨げになります。
2:×睡眠の妨げになります。
3:○
4:×睡眠の妨げになります。
5:×睡眠の妨げになります。

問題59 Mさん(98歳、女性)は、介護老人福祉施設に入所している。主治医からは、「終末期にある」と言われている。現在、食事量が少なくなり、衰弱している。面会に来る家族には、以前から「私は、悪くなったらここで最期を迎えたい」と話している。
 終末期の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 Mさんの入院を家族に勧める。
2 看取りに関する家族の意向は、入所時に確認すれば十分である。
3 Mさんの食べたい物を確認し、提供する。
4 口腔ケアは控える。
5 家族が介護することを希望しても、職員で行う。

解答
1:×Mさんの自己決定を最大限尊重します。
2:×家族の意志を最大限尊重します。
3:○
4:×口内炎や乾燥状態にも気を配ることが必要です。口腔ケアは必要です。
5:×Mさんの介護に家族が参加できるように支援します。

問題60 終末期の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 苦痛の緩和は、医師に任せる。
2 手を握るなどのスキンシップを行う。
3 意識がなくなれば、声かけは控える。
4 死後の処置は、家族には見せない。
5 グリーフケア(grief care)は、看護師に任せる。

解答
1:×苦痛の緩和は介護職にとっても大切で、身体的、精神的な安楽を提供しなければいけません。
2:○心が安らぐケアの一つです。
3:×意識が低下していても聴覚は最期まで残っているので声かけは大切です。
4:×エンゼルケア(死後の処置)は家族と共に行っていく事を大切にしています。
5:×グリーフケアとは大切な人を亡くし、大きな悲嘆(グリーフ)に襲われている人に対するサポートのことです。介護職も悲しみを共有する聞き手として関わっていくことが求められます。


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