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25回介護福祉士国家試験問題及び解説

 

【介護の基本】16

問題17 1963年(昭和38年)に特別養護老人ホームが創設された。当時のこの施設に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 経済的な困窮者に対して介護を行う、老人ホームとして創設された。
2 身体上または精神上の著しい欠陥があるために、常時の介護を必要とする65歳以上の者を入所要件の1つとした。
3 「収容の場」ではなく、「生活の場」として位置づけられた。
4 ねたきり老人短期保護事業(ショートステイ)を行うことが求められた。
5 直接処遇を行う寮母は、名称独占の専門職として位置づけられた。

解答
1:×身体上または精神上の著しい欠陥があるために、常時の介護を必要とする65歳以上の者を入所させるため創設。
2:○
3:×基本的な仕組は、行政が特別養護老人ホームに「収容」するという措置制度でした。
4:×「ねたきり老人短期保護事業」は昭和50年代に入ってからのものです。その54年度の「デイサービス事業」、,56年度の「訪問サービス事業」と発展していきました。
5:×
介護職が名称独占となったのは介護福祉士制度ができてからです。

問題18 社会福祉士及び介護福祉士法に規定された介護福祉士に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービス関係者などと連携する。
2 現職の期間に限り、利用者の秘密を漏らしてはならない。
3 資質の向上を図るために、研修の受講を定めている。
4 介護福祉士の名称を停止期間中に使用すると、1年以下の懲役となる。
5 2007年(平成19年)の法改正によって、信用失墜行為の禁止が新たに規定された。

解答
1:○
介護福祉士は「福祉サービスを提供する者等との連携を保たなければならない。」と規定されています。
2:×介護福祉士は現職時であっても退職五であっても守秘義務があります。そして資格保有時だけでなく,資格喪失後においても秘密保持義務(守秘義務)があります。
3:×「資質向上の責務」として、資格取得後の自己研さんが求められました。研修の受講は定められていません。
4:×介護福祉士の名称の使用の禁止を命ぜられた期間中に、介護福祉士の名称を使用した場合、30万円以下の罰金に処せられます。
5:×平成19年の改正では義務の見直しでは「誠実義務」と「資質向上の責」が加わりました。信用失墜行為禁止は以前からある規定です。

問題19 右片麻痺のある人が介護老人福祉施設に入所した。その人の自己決定を尊重した入所当日の食事支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 決めておいた食事の席を伝える。
2 食べやすい方法を確認する。
3 食事用エプロンをつける。
4 副食を細かく刻んでから出す。
5 全介助する。

解答
1:×
2:○最初に行わなければならない作業は、利用者のニーズ情報を収集分析し、それにより生活課題を明確にすること。すなわちアセスメントが重要です。
3:×
4:×
5:×

問題20 Dさん(80歳、女性)は、介護老人保健施設に入所した。Dさんは自宅にいるときからおむつを使用しており、家族の話では、「よく下着を汚すから」ということだった。担当の介護職は、Dさんの表情から尿意があるのではないかと推察した。Dさんとは言葉でのコミュニケーションは可能である。
 Dさんの排泄の自立に向けた入所当日の最初のかかわりとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「おむつは早く外しましょう」と言う。
2 便座に座ることができるか聞く。
3 尿意の有無を聞く。
4 排尿を我慢できるか聞く。
5 利尿作用のある飲み物を勧める。

解答
1:×
2:×
3:○「Dさんの表情から尿意があるのではないかと推察した。」とあります。まずは尿意があるかどうかを確認し、その原因や背景を探索し、生活の課題を明らかにしていくことが求められます。
4:×
5:×

問題21 ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)の背景因子を構成するものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 環境因子
2 活動
3 疾病
4 参加
5 心身機能

解答
1:○
ICF(国際生活機能分類)の背景因子は「環境因子」と「個人因子」の2要素からなっています。
2:×
3:×
4:×
5:×

問題22 リハビリテーションに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 リハビリテーションの最終的な目的は、あらゆる人のADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の自立である。
2 作業療法の1つに失語症のある人に対する言葉の訓練がある。
3 理学療法士は、業として義肢を製作する。
4 職業的リハビリテーションは、リハビリテーションを構成する1つの領域である。
5 回復期リハビリテーションは、社会的リハビリテーションの一環として行われる。

解答
1:×リハビリテーションの最終的な目標は、生活の質(QOL)の向上で、身体機能の回復のだけでなく住み慣れた地域でより良く生活出来るよう支援する事です。
2:×失語症のある人に対する言葉の訓練は作業療法ではなく、言語聴覚士の指導の下で言語訓練等が行われます。
3:×義肢を制作するのは義肢装具士です。
4:○職業リハビリテーションは、医学的リハビリテーション、社会的リハビリテーション、教育的リハビリテーション、地域的リハビリテーションと並んで、リハビリテーションの領域のうちの1つの専門領域と位置づけられています。
5:×回復期リハビリテーションは、医学的リハビリテーションの一環として行われます。

問題23 介護予防訪問介護に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 要介護者を対象とする。
2 事業所には、社会福祉士を配置しなければならない。
3 居宅介護サービス計画を作成しなければならない。
4 利用者の生活機能の維持または向上を目指す。
5 訪問介護員(ホームヘルパー)は、介護福祉士でなければならない。

解答
1:×「要支援1・要支援2」のかたが対象となります。
2:×必要配置  管理者(資格必要なし)  サービス提供責任者(介護福祉士あるいはホームヘルパー)  介護員(介護福祉士あるいはホームヘルパー)
3:×居宅サービスの提供に際し、あらかじめ利用者や家族に対し、サービスの内容及び手続等の説明及び同意が必要となります。
4:○
5:×介護福祉士あるいはホームヘルパー

 

参考:介護保険制度改正後、要介護認定で「要支援1・要支援2」に判定された方は、改正前の介護サービスから、改正後に新設された介護予防サービスを受けることになりました。

介護予防サービスは「本人のできることは、できる限り本人が行う」ことを重きにおいた介護サービスです。

 

問題24 内閣府が2008年度(平成20年度)に実施した「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 趣味やスポーツ・地域行事などの自主的な活動に参加する人は、約2割である。
2 地域活動に参加しなかった理由は、「健康・体力に自信がないから」が最も多い。
3 地域活動に参加したいと考える人は、約3割である。
4 近所づきあいでは、「親しくつきあっている」が、最も多い。
5 世代間交流の機会がある人は、約2割である。

(注)「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」は、全国の60歳以上の男女を対象としている。

解答
1:1年間に自主的に行われている活動を行った、又は参加したことがある」人は約6割です。
2:○「健康・体力に自信がないから」が36.4%で最も高く、以下、「家庭の事情があるから」が26.5%、「同好の友人・仲間がいないから」が11.2%、「気軽に参加できる活動がないから」が9.6%などとなっています。
3:×約5割
4:×挨拶をする程度が最も多いです。総数では「あいさつをする程度」が51.2%と最も高く、「親しくつきあっている」は43.0%、「つきあいはほとんどしていない」は5.8%となっています。
5:×約5割。内訳は「ふだんの生活で,家族以外に若い世代との交流の機会はあるか」について尋ねたところ、総数では「よくある」が24.6%、「たまにある」が30.3%、「ほとんどない」が28.8%、「全くない」が16.3%。

参考:http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h20/sougou/gaiyo/pdf/kekka.pdf


問題25 Eさん(75歳、男性)は、軽度の認知症(dementia)がある。Eさんは息子のFさん(48歳)と二人暮らしである。Fさんは働きながらEさんの介護をし、朝早く出勤し夕方に戻る生活のため、訪問介護(ホームヘルプサービス)の利用を始めた。Fさんと近所の人たちとの交流はない。先日、Eさんが日中近所でトラブルを起こして、住民が警察に苦情を言った。
 この時点での、サービス提供責任者の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 住民が警察に苦情を言ったことを批判し、住民の意識を変える。
2 介護支援専門員(ケアマネジャー)に連絡し、見守り活動などを行っている近所の人たちの協力を得る。
3 Fさんの同意はないが、Fさんの勤務先をボランティアセンターに知らせておく。
4 住民への働きかけより、専門職の研修の方が重要であると考え、訪問介護員(ホームヘルパー)に研修会への参加を促す。
5 Eさん親子の状況を福祉事務所に連絡し、対応を任せる。

解答
1:×
2:○
3:×
4:×
5:×

問題26 「介護休業制度」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 介護休業とは、10週間以上要介護状態が続いている家族を介護するためのものである。
2 介護休業は、家族1人について、通算して31日の期間を限度とする。
3 介護休業の対象となる家族には、別居の祖父母が含まれる。
4 要介護状態にある家族を1人介護する場合、1年度に5労働日を限度に、介護休暇を取得することができる。
5 要介護状態にある家族の通院の付添いに、介護休暇を使うことはできない。

(注)「介護休業制度」とは、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づく制度である。

解答
1:×この制度は、2週間以上の期間にわたり要介護状態が続いている家族を介護するためのものです。
2:×対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態に至るごとに1回の介護休業ができ、期間は通算して93日までです。
3:×祖父母や兄弟姉妹、孫については同居が条件となります。
4:○
5:×通院の付き添いでも介護休暇は取得できます。

参考:介護休業は法律で定められているので、一定の"要介護状態の家族"がいる労働者(男女)は、基本的には介護休業を取得することができます。育児休業と同様に、事業主が承認したり許可したりするものではなく、また、就業規則に規定がないから取得できないということはありません。ただし、次の人は介護休業を取得することができません。期間を定めて雇用される労働者の場合は、法律で介護休業の申し出ができないことになっており、期間の定めのない労働者の場合は、労使協定で介護休業の適用を除外してもよいことになっています。

 


問題27 地域密着型サービスに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 営利を目的とする事業者の参入が制限されている。
2 サービス付き高齢者向け住宅は、地域密着型サービスの1つである。
3 小規模多機能型居宅介護事業者は、運営推進会議を設ける。
4 居宅サービスの中に位置づけられている。
5 2012年(平成24年)の制度改正で、夜間対応型訪問介護が新設された。

解答
1:×営利を目的とする事業者にも参入が認められています。
2:×サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者の暮らしを支援するサービスの付いたバリアフリー住宅ですが地域密着サービスの地域密着型特定施設(ケアハウス・有料老人ホームなどで、特に介護専用型特定施設で入居定員が29人以下の施設)には該当しないので、地域密着型サービスには分類されません。
3:○小規模多機能型居宅介護事業は事業所への「通い」を中心として、一人ひとりの生活にあわせて、自宅への「訪問」や事業所への「泊まり」ができ、在宅生活を支える24時間365日のサービスです。厚生省で令「運営推進会議」の設置が義務付けられています。
4:×地域密着型サービスは在宅サービスでないので居宅サービスには含まれません。地域密着型サービスは住みなれた地域を離れずに利用できるなど、利用者のニーズにきめ細かく対応できるよう、平成18年度に新設されたサービスです。
5:×

問題28 介護サービス提供の場に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 都市型経費老人ホームは、定員20人以下の施設である。
2 介護老人保健施設は、最後まで住み続けることを目的とした施設である。
3 地域密着型特定施設入居者生活介護は、定員29人以下の特別養護老人ホームのことである。
4 介護老人福祉施設は、厚生労働大臣の認可を受けた施設である。
5 小規模多機能型居宅介護は、施設サービスに含まれる。

解答
1:○都市型軽費老人ホームは大都市部における身体機能の低下した低所得者も利用できる住まい対策としてスタートたアハウスAB)同様に定められた施設です。定員は5人以上20以下と定められています。
2:×介護老人保健施設は病状が安定し、治療や入院の必要はないが、リハビリを含む看護や介護などのケアが必要な方が要介護認定を受けられた後に利用する施設です。
3:×地域密着型特定施設はケアハウス・有料老人ホームなどで、特に介護専用型特定施設で入居定員が29人以下の施設です。
4:×都道府県知事の認可が必要です。ちなみに地域密着型については市町村長の認可が必要です。
5:×地域密着サービスです。小規模多機能型居宅介護.は「通い」を中心に、「宿泊」と「訪問」を組み合わせた、24時間365日の介護サービスです。

問題29 介護老人福祉施設に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 障害者自立支援法を根拠とする。
2 居宅への復帰が可能かどうかの判断は、家族の意向を最優先する。
3 要支援2の認定を受けた者が入所できる。
4 長期にわたる療養が必要であると認められる場合に、入所する施設である。
5 介護保険第2号被保険者でも、要介護認定を受けることが入所の要件である。

解答
1:×介護保険法

2:×本人の意向が最優先されます。

3:×身体上・精神上、著しい障害があるため常時介護を必要とし、在宅介護が困難な要介護者(要介護1〜5)が対象となります。

4:×身体上・精神上、著しい障害があるため常時介護を必要とするもの

5:○介護保険第2号被保険者とは40歳以上65歳未満の者ですが、入所にあたっては要介護認定を受けることが必要です。入所の要件です。


問題30 民生委員に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 要介護者の自宅を毎月訪問することになっている。
2 担当する要介護者の数は決まっている。
3 児童委員を兼ねている。
4 都道府県知事が任命する。
5 任期は10年である。

解答
1:×規定なし
2:×規定なし
3:○民生委員は、厚生労働大臣から委嘱され、それぞれの地域において、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努める方々であり、「児童委員」を兼ねています。
4:×民生委員法で「民生委員は、都道府県知事の推薦によって、厚生労働大臣がこれを委嘱する」

としています。
5:×任期は3年で、再任も可能です。なお、民生委員には給与は支給されません。

 

参考

民生委員法第14条の民生委員の業務

@住民の生活状態を必要に応じて適切に把握しておくこと

A援助を必要とする者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように生活に関する相談に応じ、助言その他の援助を行うこと

B援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を行うこと

C社会福祉を目的とする事業を経営する者又は社会福祉に関する活動を行う者と密接に連携し、その事業又は活動を支援すること

D福祉事務所その他の関係行政機関の業務に協力すること


問題31 介護老人福祉施設で、やむを得ず身体拘束を行う場合の記述として、適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者の家族から承諾書を得れば、身体拘束を行ってもよい。
2 身体拘束を行った場合には、拘束の理由などの記録が必要になる。
3 利用者を落ち着かせるために過剰な向精神薬を服用させることは、身体拘束ではない。
4 切迫性と一時性の2つの要件を満たせば、身体拘束を行ってもよい。
5 利用者の安全を確保する身体拘束は、職員1人の判断で実施できる。

解答
1:×承諾書を得ていてもいなくても、身体拘束の適法性の要件としては、利用者の受傷を防止するために必要やむを得ない事情がある場合にのみ許容されるもので、切迫性,非代替性の有無を中心とした,具体的事実関係の総合的な判断が必要となります。

2:○下記を参考してください。
3:×向精神薬を飲ませて動けなくすることは身体拘束となります。

4:×緊急やむを得ない場合に拘束を行う場合は「 切迫性」:利用者本人または他の利用者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと・ 「非代替性」:身体拘束その他の行動制限を行なう以外に代替する治療・看護方法が無いこと・ 「一時性」:身体拘束その他の行動制限が一時的なものであることなどの3用件が必要となります。
5:×思いこみにより独断を避けるために、一人での判断では行わず、複数での検討を行うことが大切です。

 

参考

指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十九号)

・指定介護老人福祉施設は、指定介護福祉施設サービスの提供に当たっては、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならない。

・指定介護老人福祉施設は、前項の身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。



問題32 感染とその対策に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 病院や施設に入所したことで新たに発症するのは、日和見感染である。
2 手洗いは、消毒液に手を浸して行う。
3 肺結核(pulmonary tuberculosis)は、主に経皮感染する。
4 雑巾やモップは、使わないときも湿らせておく。
5 ノロウイルス(Norovirus)は、感染性胃腸炎(infectious gastroenteritis)を起こす。

解答
1:×
2:×手洗い方法は消毒液に手を浸すだけでは不十分です。まず、流水で両手の手首から指先まで十分に濡らす。液体石けんを手に取り→手のひら→手の甲→指→指の間→爪の間→親指→

手首 (30 秒以上かけて手全体を洗う) 。流水下で洗浄し、十分に石けん分を洗い落とす。ペーパータオルで十分に拭き取るなどが必要です。
3:×結核は、空気感染です。 飛沫核感染ともいわれます。
4:×ぞうきんやモップは使用後その都度洗浄し乾燥させます。使わない時も乾燥状態にしておきます。
5:○感染性胃腸炎は嘔吐、下痢を主症状とし、その結果種々の程度の脱水、電解質喪失症状、全身症状が加わってきます。


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