web介護福祉士会ホーム>>第22回老人福祉論

第22回  老人福祉論

 

問題 9  一人暮らし高齢者に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

 

1 「国民生活基礎調査(平成20年)」によると、65歳以上の者のいる「単独世帯」の数は、平成7年に比べて4倍になった。

2 「国民生活基礎調査(平成20年)」によると、65歳以上の者のいる世帯構造別の構成割合は、「単独世帯」、「夫婦のみの世帯」、「3世代世帯」の順に多い。

3 「世帯類型に応じた高齢者の生活実態等に関する意識調査」によると、一人暮らし世帯では、緊急時の連絡先に「となり近所の人」と答える者が最も多い。

4 「日本の世帯数の将来推計」によると2030年(平成42年)には、世帯主が65歳以上の世帯のうち単独世帯の割合は、4割近くまで上昇すると見通される。

5 「日本の世帯数の将来推計」によると、2030年(平成42年)なは世帯主が65歳以上の単独世帯における男性の世帯は約440万世帯、女性の世帯は約280万世帯になると見通される。

(注) 1 「世帯類型に応じた高齢者の生活実態等に関する意識調査」とは内閣府「世帯類型に応じた高齢者の生活実態等に関する意識調査」(平成17年度)のことである。

    2 「日本の世帯数の将来推計」とは国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(2008(平成20年)年3月推計)のことである。


解答4
1:×単身世帯は4倍ではなく約2倍に増えました。

2:×「夫婦のみの世帯」、「単独世帯」、「3世代世帯」の順位となるので間違い。

3:×緊急時の連絡先は、「隣近所」ではなく「娘」と「息子」がほぼ同率で、これに「兄弟姉妹」が続いています。

4:○そのまま覚えましょう。

5:×女性のほうが男性よりも5歳ほど平均寿命が長いですから、男性の世帯数が女性の世帯数を上回ることは考えられないですね。

問題 10  老人福祉法に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
        
1  平成2年の改正によって、社会的活動への参加が基本的理念に盛り込まれた。
2  老人福祉法による福祉の措置は、介護保険制度創設に伴い廃止された。

3  養護老人ホームの入所要件は、要介護認定を受けている事である。

4  高齢者用賃貸住宅は、老人福祉法に規定されているものである。
5  有料老人ホームは、老人福祉施設の一つである。

解答1
1:○老人福祉法の第3条の2にこのことが書かれています。「老人はその希望と能力に応じて、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参加する機会を与えられるものとする。

2:×老人福祉法による福祉の措置は廃止されていません。老人福祉法の第1章を読まれることをお奨めします。

3:×養護老人ホームの入所要件は、「経済的・環境上の理由などから自宅での生活が困難な者」です。要介護認定を受けている者ではないので間違い。

4:×この住宅は老人福祉法で規定されたものではなく、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づくものです。

5:×有料老人ホームは老人福祉法でいう老人福祉施設に該当しないので間違い。


問題 11 介護保険の給付に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

 

1 医療保険に加入していない40歳以上65歳未満の者は、給付を受ける事ができない。

2 加入している保険者の管轄区域を住所としていない者は、その保険者から給付を受けることはない。

3 保険料を1年以上滞納している者は、給付を受けることができない。

4 介護給付は、要介護と認定されるまでは受けることができない。

5 予防給付を受けようとする者は、要介護認定を受けなければならない。

解答1
1:○市町村の区域内に住所があり医療保険に加入している40歳以上65歳未満の方は第2号被保険者となりますが、医療保険に加入していないと給付を受けることができません。
2:×保険者の管轄区域に住所がなくても、保険者から給付をうけることができます。保険給付は直前に住所を置いていた市町村が負担するので介護保険料も前の住所地の市町村に納めることになります。

3:×保険料を1年以上滞納している方が、介護サービスを利用したときは、それにかかる費用がいったん全額自己負担となりますが、その後、申請することで保険給付分(費用の9割分)が支払われます。

4:×事情があって要介護認定前に介護給付を受けたい場合はそれが可能です。ただし後の認定結果によっては全額自己負担となることもあるので注意が必要ですね。

5:×予防給付を受けようとする者は、要介護認定ではなく、要支援1または2の認定を受けなければなりません。


問題12 介護保険制度における介護福祉士の位置づけに関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 訪問介護は、「介護福祉士その他政令で定める者」によって行なわれる。 
2 訪問介護費の特定事業所加算では、介護福祉士の配置が義務とされている。 
3 介護福祉士の配置を要件とした施設介護サービス費の加算はない。 

4 小規模多機能型居宅介護は、介護福祉士1人以上の配置が要件である。

5 福祉用具専門相談員になるには、介護福祉士も「福祉用具専門相談員指定講習」を受講しなければならない。 

解答1
1:○介護保険法の第8条にこのことが明記されています。この法律において「訪問介護」とは……その者の居宅において「介護福祉士その他政令で定める者」により行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるもの(夜間対応型訪問介護に該当するものを除く。)をいう。ですから正解!
2:×人材要件としては訪問介護員等の総数のうち介護福祉士が30%以上、又は介護福祉士・介護職員基礎研修課程修了者・1級訪問介護員の合計が50%以上であることとなっているので、介護福祉士の配置が義務となっているわけではありません。
3:×介護福祉士の配置を要件とした施設介護サービス費の加算としてサービス提供体制強化加算というのがあり、介護職員のうち介護福祉士50%以上の場合に加算されます。
4:×指定基準は昼間では訪問介護職員⇒常勤換算で1人以上配置。通所介護職員⇒常勤換算で通所介護利用者数が3人又はその端数を増す毎に1人以上配置すること…となっており介護福祉士一人以上という要件はありません。
5:×違います。厚生労働大臣が指定した「福祉用具専門相談指定講習会」で講義と実習を全40時間受講することで、福祉用具専門相談員の資格を取得できますが、介護福祉士を含め義肢装具士、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士およびホームヘルパー2級以上の資格取得者などは、講習を受けなくても福祉用具専門相談員として認められます。


問題13 市町村介護保険事業計画に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 市町村地域福祉計画と一体のものとして策定する。

2 市町村介護保険事業計画には、各年度における介護保険サービスの種類ごとの見込量を定めることとされている。
3 都道府県知事は、市町村介護保険事業計画のための参酌標準を定める。 
4 市町村介護保険事業計画を策定する場合、被保険者の意見を反映させる措置を講じなくてもよい。
5 市町村介護保険事業計画は、5年に一度見直す。

解答2
1:×法文は一体のものとして策定とはなっていませんので間違い。→法文は「市町村地域福祉計画の要介護者等の保健、医療又は福祉に関するものと調和が保たれたものでなければならない。」となっています。

2:○「当該市町村が、その住民が日常生活を営んでいる地域として、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件、介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備の状況その他の条件を総合的に勘案して定める区域ごとの当該区域における各年度の認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る必要利用定員総数その他の介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み並びにその見込量の確保のための方策 」とあるので正解

3:×参酌標準を定めるとは計画を定めるとは「計画策定にあたり大切な点や注意すべきこと、問題点を取り上げて指示すこと」との意味となりますが、介護保険法の中の都道府県介護保険事業計画の中ではこのことについて規定されていない。
4:×「市町村は、市町村介護保険事業計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、被保険者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。 」とあるので間違い

5:×「三年を一期とする当該市町村が行う介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施に関する計画」とあるので間違い

介護保険法記載の市町村介護保険事業計画(抜粋)
(市町村介護保険事業計画)

第百十七条

1 市町村は、基本指針に即して、三年を一期とする当該市町村が行う介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施に関する計画(以下「市町村介護保険事業計画」という。)を定めるものとする。

2 市町村介護保険事業計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一  当該市町村が、その住民が日常生活を営んでいる地域として、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件、介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備の状況その他の条件を総合的に勘案して定める区域ごとの当該区域における各年度の認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る必要利用定員総数その他の介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み並びにその見込量の確保のための方策

二  各年度における地域支援事業に要する費用の額並びに地域支援事業の量の見込み及びその見込量の確保のための方策

三  指定居宅サービスの事業、指定地域密着型サービスの事業又は指定居宅介護支援の事業を行う者相互間の連携の確保に関する事業その他の介護給付等対象サービス(介護給付に係るものに限る。)の円滑な提供を図るための事業に関する事項

四  指定介護予防サービスの事業、指定地域密着型介護予防サービスの事業又は指定介護予防支援の事業を行う者相互間の連携の確保に関する事業その他の介護給付等対象サービス(予防給付に係るものに限る。)の円滑な提供及び地域支援事業の円滑な実施を図るための事業に関する事項

五  その他介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を図るために市町村が必要と認める事項

3  市町村介護保険事業計画は、当該市町村の区域における要介護者等の人数、要介護者等の介護給付等対象サービスの利用に関する意向その他の事情を勘案して作成されなければならない。

4  市町村介護保険事業計画は、老人福祉法第二十条の八第一項 に規定する市町村老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。

5  市町村介護保険事業計画は、社会福祉法第百七条 に規定する市町村地域福祉計画その他の法律の規定による計画であって要介護者等の保健、医療又は福祉に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。

6  市町村は、市町村介護保険事業計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、被保険者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

7  市町村は、市町村介護保険事業計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県の意見を聴かなければならない。

8  市町村は、市町村介護保険事業計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを都道府県知事に提出しなければならない。

問題14 利用者の居宅で訪問介護サービスを提供している際、利用者の仙骨部に褥瘡を発見した。

訪問介護員の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを一つ選びなさい。

 

1 不十分な介護の原因と思い、「高齢者虐待防止法」により罰せられる旨、家族に説明した。
2 褥瘡の治療のために、近くの訪問看護ステーションに訪問を依頼した。

3 褥瘡の治療の為に入院が必要な旨、家族に説明した。
4 介護をしている家族に、介護の様子や家族の心身の状況を聞いた。 
5 居宅サービス計画の変更のために、サービス担当会議を招集した。

 

(注) 「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援などに関する法律」のことである。

解答4
1:×仙骨部は褥瘡ができやすい部分であり、虐待の疑いをし家族に説明するのは不適切である。

2:×主治医の判断が優先する。

3:×主治医の判断が優先する。

4:○

5:×居宅サービス計画の変更でサービス担当会議が開催されるときは介護支援専門員によって招集がなされるので間違い。

問題15  介護支援専門員に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 介護サービス計画を立案する国家資格である。
2 介護支援専門員になるには、相談業務経験が5年以上あることが必要である。
3 資格は更新制であるが、実務経験があり法令違反等がない者は、申請により更新される。
4 介護支援専門員でなくなった後は、秘密保持義務は課せられない。
5 利用者に特定のサービスを利用させることの対償として、居宅サービス事業者から金品の収受をしてはならない。

解答5
1:×国家資格と説明しているところがたくさんありますが国家資格ではありません。ただし、介護サービスの計画を作成する事業所には必ずいなくてはならないと定められています。

2:×単に相談業務経験が5年以上ということではなく、その相談業務は指定されたものでなければなりません。

介護支援専門員受験者として指定された相談援助業務に従事している人で、業務に従事した期間が通算5年以上、従事日数が900日以上の人。また、社会福祉主事任用資格、あるいはホームヘルパー養成研修2級を修了下人、過去に相談援助業務に1年以上従事した人で、介護等の業務に従事している期間が5年以上、従事日数が900日以上の人も受験資格があります。

3:×介護支援専門員証の有効期間は、申請により更新しますが、 その業務をしていなくても有効期間の更新を受けようとする者は、都道府県知事が行う更新研修を行わなければなりません。また、現に介護支援専門員の業務に従事していて、更新研修の課程に相当するものとして都道府県知事が厚生労働省令で定めるところの指定する研修の課程を修了した者については、この限りではありません。

4:×介護福祉士も、またどの職業についてもそうですが守秘義務はその職務をやめたあとも残ります。

5:○当然ですね。


問題 16  公的年金制度に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 基礎年金は、老齢、障害の各基礎年金で構成される。
2 老齢基礎年金は、原則として20年の保険料納付期間を満たした人に支給される。
3 厚生年金と共済年金は、基礎年金に上乗せして給付する制度である。
4 基礎年金の国庫負担の割合は、平成21年度に3分の1に引き上げられた。

5 国民年金の第3号被保険者とは、被用者年金の被保険者である。

解答3
1:×基礎年金は、老齢、障害、遺族の3種類の基礎年金があります。

2:×老齢基礎年金は、原則として25年の保険料納付期間を満たした人に支給されます。

3:○その通りです。厚生年金・共済年金は基礎年金の上に厚生年金や共済年金が上乗せされた給付です。

4:×老齢・障害・遺族の基礎年金には国庫負担(国の税金)が含まれていますが、法律改正で平成214月からの加入期間については、これまでの1/3から1/2まで引き上げられました。

5:×国民年金には第1号被保険者(20歳以上の学生、フリーター、20歳以上60歳未満の自営業などの人 )、第2号被保険者(会社や役所などに勤めている人)、第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者)の三種類の加入種類があります。ですから問題にある「第3号被保険者とは、被用者年金の被保険者である。」は間違いということになります。

問題 17  日常生活自立支援事業に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

 

1 実施主体は、地域支援包括センターである。
2 専門員は、利用希望者に代わって、事業利用の契約を結ぶ事ができる。
3 生活支援員は、事業の利用者の支援計画を作成する。
4 生活支援員は、利用者の依頼によって、日常の金銭管理に伴う預貯金の払い戻し等行なう事ができる。
5 利用料は、市町村が決定する。

解答4
1:×日常生活自立支援事業 (根拠法令:社会福祉法第81(都道府県社協が実施主体の福祉サービス利用援助事業)のことです。地域包括センターでないので間違い。

2:×専門員は利用者の相談や支援計画をつくるのが業務となります。利用希望者に代わって、事業利用の契約を結ぶのは生活支援員です。ですから間違い。

3:×支援計画は実施主体=つまり都道府県社会福祉協議会の専門員が作成します。生活支援員が作成するわけではありません。

4:○その通りです。覚えておきましょう。

5:×実地主体は都道府県社会福祉協議会ですからそこが決めることになります。市町村ではありません。



問題 18 脳梗塞で入院中の75歳のEさんが退院予定となった。退院後の在宅生活支援における介護、医療専門職の連携・協働に関する次の記述のうち、適切でないものを一つ選びなさい。


1 個々の専門職は、共通の目的と理念をもって支援する。
2 個々の専門職は、専門性をもって支援する。
3 個々の専門職が自由に意見を述べ合える環境をつくる。

4 介護専門職は、Eさんの生活支援情報を各専門職と共有する。

5 医療専門職は、退院後もリーダーシップをとり続ける。


解答5
1:○

2:○

3:○

4:○

5:×退院後は在宅支援の専門職の関わりがメインとなってくるので、医療専門職は側面での連携支援となる。



inserted by FC2 system