第21回  老人福祉論

 

問題9  Nさんは要介護1の認定を受けており、自立歩行が可能であるがふらつきがあり、また、起居動作に時間がかかる。次の記述のうち、Nさんに対する介護保険制度の福祉用具の活用に関する介護支援専門員の対応として、適切なものに〇、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 外出を容易にするために、電動車いすの貸与を受けるよう助言した。
B 布団による生活からベッドでの生活に転換するため、電動ベッドの貸与を提案した。
  自立歩行の安定のために歩行補助つえが有効と思われたので、つえについての情報を提供した。
D 福祉用具の活用法について、リハビリテーションの専門員の意見を聞くよう勧めた。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ○

解答 5
A:×自立歩行がふらつきながらもできるので、電動車いすは不要です。

B:×起きあがるには時間がかかるものの布団による生活は可能である。したがって電動ベッドは不要です。

C:○歩行にふらつきがあるので歩行杖の情報を提供することは有効です。

D:○なんといっても福祉用具の活用法に詳しい専門職から意見を聞くことを勧めるのは大切なことです。

解説
要介護1<部分的な介護を要する状態>。たとえば 立ち上がりや歩行が不安定。排泄、入浴などに一部介助が必要なケースです。
要介護2<軽度の介護を要する状態> (例)立ち上がりや歩行などが自力では困難。排泄、入浴などに一部または全介助が必要。

要介護3<中程度の介護を要する状態> (例)立ち上がりや歩行などが自力ではできない。排泄、入浴、衣類の着脱などに全体の介助が必要。

要介護4<重度の介護を要する状態> (例)排泄、入浴、衣類の着脱など日常生活に全面的介助が必要。

要介護5<最重度の介護を要する状態> (例)意思の伝達が困難。生活全般について全面的介助が必要。

問題10 高齢者関連の法律に関する次の記述の空欄A,  B,  C,に該当する語句の組み合わせとして、正しいものを一つ選びなさい。

 老人福祉法の目的には「老人に対し、その( A )のために必要な措置を講じることが規定されている。また、同法の基本理念の一つには、「老人は、その希望と能力に応じ、適当な仕事に従事する機会その他( B )に参加する機会を与えられる」こと等が規定されている。介護保険法の目的には、要介護者等が、「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した( C )を営むことができるよう必要な給付を行うことが規定されている。
       A                       B            C 
1 心身の健康の保持及び生活の安定------社会的活動------日常生活
2 心身の健康の保持及び生活の安定------社会的活動------社会生活
3 心身の健康の保持及び経済的安定------経済的活動------日常生活
4 医療の確保及び生活の安定------------経済的活動------社会生活
5 医療の確保及び心身の健康------------社会的活動------日常生活

解答 1
どの法律に関する問題で共通ですが、目的とか基本理念は毎回のようにでてきますね。この問題も過去問題にありました。下記に老人福祉法の1〜3条を貼り付けておきます。

(目的) 第一条  この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。

(基本的理念)

第二条  老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。

第三条  老人は、老齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、又は、その知識と経験を活用して、社会的活動に参加するように努めるものとする。

2  老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参加する機会を与えられるものとする。


問題11 介護保険法に基づく次の事業所のうち、市町村長がその事業者の指定を行うものとして、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 介護予防サービス事業所
B 介護予防支援事業所
C 認知症対応型共同生活介護事業所
D 特定福祉用具販売事業所

(組み合わせ)
1  A    B
2  A    C
3  A    D
4  B    C
5  B    D

解答 4
A:×介護予防サービス事業所については都道府県知事申請になります。
B:○地域包括センターのことですね。ここでは要支援者のサービス計画(ケアプラン)を作成したり、サービスを適正に利用することができるように助言を行いますが、この事業所は市町村申請です。
C:○地域密着型サービス事業の認知症対応型共同生活介護事業(グループホーム)と、小規模多機能型居宅介護事業は市町村への申請となりますから正解。
D:×特定福祉用具販売事業の指定を受けようとする者は、事業所が所在する都道府県知事に申請を行いますから間違い。
都道府県の申請→ 居宅介護支援 、居宅サービス 、施設サービス 、特定福祉用具販売事業

市町村長の申請→地域密着型サービス 、介護予防支援 、基準該当居宅サービス 、基準該当居宅介護支援サービス

問題12 近年の介護サービスの整備・充実等に関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。

1 高齢者の「社会的入院」問題は、療養病床の制度ができたことで初めて社会的な問題となった。
2 「社会的入院」問題の解消を目差して、医療に重点を置いたケアの必要性が高まった。
3 老人保健施設(現介護老人保健施設)は、看護、介護、機能訓練に重点を置き、医療ケアと日常生活サービスを提供するために創設された。
4 訪問介護は、医学的管理の下における介護その他の世話を行う。
5 介護保険制度の創設で、「介護療養型医療施設」は介護保険施設となり、医療法に基づく病院ではなくなった。

解答 3
1:×療養病床には、次の2つがあります。@ 介護型の療養病床(要介護認定された患者に対するサービスを介護保険で提供する病床で、必要に応じて医療も受けられます)。A 医療型の療養病床(慢性期の状態にあって入院医療を必要とする患者に対するサービスを医療保険で提供する病床です)。高齢者の社会的入院の問題は療養病床が出来る以前にすでに問題化されていました。

2:×問題文にあるように医療に重点がおかれていてはいつまでたっても社会的入院は解消されませんね。社会的入院の解消をめざして現在病院・施設から在宅に、施策の方向性が変えられているところです。

3:○正解ですからそのまま覚えましょう。

4:×訪問介護とは、ホームヘルパーや介護福祉士などが家庭を訪問して、食事、入浴、排泄の介助や炊飯、掃除、洗濯といった日常生活を手助けするサービスです。。この訪問介護「身体介護」と「生活援助」に分けられています。ただしこの訪問介護については医学的管理のもとに行われるものではありません。

5:×介護療養型医療施設とは、医療法に基づき、病状が安定期にある要介護者に対し、医学的管理のもとに介護その他の世話や必要な医療を行う施設です。なおかつ介護保険法による都道府県知事の指定を受けた施設であって、入院する要介護者に対し、長期にわたり、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理下における介護をおこなう施設でもあります。簡単にいうと介護保険施設であり、なおかつ医療法に基づく病院でもあるということです。


問題13 ユニット型指定介護老人福祉施設に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 少数の居室を組み合わせて構成された場所をユニットという。
2 便所は、居室に設置しなければならないことになっている。
3 ユニットごとに、常勤のユニットリーダーを配置することになっている。
4 入居者の生活は、プライバシーの観点から、なるべく地域社会との関係を持たないように工夫する。
5 食事はユニットごとではなく、施設全体の食堂でとることとされている。

解答 3
1:×ユニットケア方式とは、施設の居室を10人程度の少人数のグループに分け、それぞれをひとつのユニット(生活単位)として、ユニットごとに食事、入浴、施設内の行事などの日常生活を送り、家庭的な雰囲気の中で個別にケアを行うものです。少数の居室を組み合わせて作られた場所ではありません。

2:×居室ごとに設けるか、又は共同生活室ごとに適当数設けることになっています。従って間違い。

3:○指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準の47条で「ユニットごとに、常勤のユニットリーダーを配置すること」とされています。

4:×ユニット型指定介護老人福祉施設は、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い…となっています。

5:×入居者が共同生活室で食事を摂ることを支援しなければならない」とされているので一ユニット単位ということになりますね。つまりユニットごとに食事をとるということです。


問題14 次の記述のうち、平成17年の介護保険法の改正で法令上初めて示されたものとして、正しいものを一つ選びなさい。

1 グループホーム
2 自立支援
3 ゴールドプラン21
4 地域包括支援センター
5 市町村介護保険事業計画

解答 4
1:×グループホームは平成1241日から施行された介護保険に伴い設けられるようになったもの。従って間違い

2:×介護保険法がはじまった当初からあるものです。
3:×ゴールドプランは厚生省が平成元年12月に発表したもので、平成11年までの10ヶ年を目標に、高齢者社会に対応し、各種の施設サービスの整備を図ろうとする計画でした。
4:○以前は高齢者の総合支援窓口は在宅介護支援センターが担っていましたが、十分に役割を果たしていないという指摘があり、国は、スタッフ数や費用を拡充した地域包括支援センターを平成17年の介護保険法の改正により新設しました。ですから正解
5:×この公布は平成14年ですから間違い

 

 

問題15  介護保険制度に関する次の記述のうち、ただしいものを一つ選びなさい。

1 通所介護の介護報酬の算定は、1日単位であり、サービスの提供時間による差はない。
2 介護予防訪問介護の介護報酬の算定は、月単位である。
3 特定施設入居者生活介護の介護報酬と介護老人福祉施設の介護報酬は同じである。
4 介護老人福祉施設では、低所得者に対して、居住費等の負担の軽減は行われない。
5 居宅療養管理指導の報酬は、医療保険から支払われる。

解答 2
1:×時間単位であり、介護度により報酬単位がことなる。
2:○その通り覚えましょう。

3:×老人福祉施設(地域密着型介護老人福祉施設を含む)介護老人福祉施設では、要介護度の高い利用者に質の高いケアを提供することにポイントを置いた上乗せ介護報酬となっている。

4:×低所得者に対しては居住費、食費等の負担軽減が実施されている。

5:×居宅療養管理指導の報酬は、介護保険から支払われます。

問題16  介護保険制度の居宅サービス計画に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 居宅サービス計画が作成されていない場合は、介護保険制度による居宅サービスの給付を受けることができない。
2 居宅サービス計画の利用者の同意は口頭でもよい。
3 居宅サービス計画は、介護支援専門員の指導の下に、居宅介護支援事業所の従業員であれば作成することができる。
4 居宅サービス計画に訪問看護等の医療サービスを位置づける場合には、医師の指示が必要である。
5 居宅サービス計画は個人情報保護の観点から、原則として居宅サービス事業者に交付することはできない。

解答 4
1:×居宅サービス計画が作成されていない場合でも、居宅サービスをうけることができます。

2:×居宅サービス計画の利用者の同意は口頭ではなく書面でおこなうことになっています。

3:×居宅サービス計画(ケアプラン)は居宅介護支援事業所の介護支援専門員が作成しなければなりません。

4:○訪問看護では医師の指示が必要となります。

5:×介護サービス計画の作成及び介護サービスの提供に利用するため、個人情報を指定居宅介護支援事業者等に対して提供する場合の取扱いについて必要な事項がさだめられているので、交付することは可能である。

 

問題17 「国民生活基礎調査(平成16年)」の要介護者等を介護している主な介護者に関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。

1 要介護者等と同居している家族等介護者よりも、別居している家族等介護者の方が多い。
2 主な介護者と要介護者等との続柄については、「子供の配偶者」が最も多い。
3 要介護者等と同居している主な介護者の性別については、女性よりも男性が多い。
4 要介護者等と同居している主な介護者の半数以上は、60歳以上の者である。
5 要介護5の要介護者と同居している主な介護者で、「ほとんど終日」介護しているのは2割程度である。

解答 4
解説を省略します。題22回試験には国民生活基礎調査(平成17年)を参考にしましょう。

問題18 シルバー人材センターに関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 厚生労働大臣が、市町村ごとに指定する公益法人である。
2 高年齢退職者に対し、臨時的かつ短期的な就業の機会又はその他の軽易な業務に係る就業の機会を提供する。
3 高年齢退職者のために、有料の職業紹介事業を行うこととされている。
4 別名、高齢者能力開発情報センターともいわれる。
5 高齢社会対策基本法に基づいて設置されている。

解答 2
1:×都道府県知事が許可する公益法人ですから・・間違い

2:○シルバー人材センターの業務です。このまま覚えてください。

3:×職業紹介は無料でおこなっていますので間違い!

4:×高齢者能力開発情報センターは各都道府県に設置されているものでシルバー人材センターとはべつものです。ここでは65歳以上の高齢者のかたの就労相談や希望と能力に応じた職業の斡旋、適職の研究、60歳以上の高齢者のかたが積極的に社会活動を行うための各種の福祉情報の提供などがおこなわれています。す
5:×高齢社会対策基本法ではなく、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づいて設置されています。


解説 シルバー人材センターとは

センターは、原則として市(区)町村単位に置かれており、国や地方公共団体の高齢社会対策を支える重要な組織として、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づいて事業を行う、都道府県知事の許可を受けた公益法人です。



 

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