第21回  介護技術

 

問題81 散歩後の高齢者の状態に関する次の記述のうち、脱水の兆候に該当するものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 足がむくんでいる。
B 口腔内が乾燥している。
C 尿意があり排尿をした。
D ぼんやりとして元気がない。

1  A    B
2  A    C
3  B    C
4  B    D
5  C    D

解答 4
A:×むくみは何らかの原因で組織液が血管に戻らず過剰にたまる状態ですから脱水とは関係ありません。
B:○下記解説を参考にしてください。
C:×脱水になると体から水分を出そうとしなくなりますから排尿量が減ってきます。
D:○下記の解説を参考にしてください。
解説
脱水症状とは、体内の水分が失われた状態で、一般に体重の約3%の水分が失われると脱水症状になります。 脱水症状になると、元気がなくなる、痙攣、発熱、喉の渇き、乾燥、めまい、吐き気、頭痛、などの症状が起こり、ひどい場合は命の危険もあります。

問題82  右片麻痺の利用者が、ベッドの端に腰掛けている状態から立位になるときの介助方法に関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。

1 ベッドに深く腰掛けるように促す。
2 両足は膝より前に出すように促す。
3 利用者の左側に立つ。
4 頭を反らせるよう促す。
5 利用者の右大腿部に手を当て、立ち上がるのを補助する。

解答 5
1:×立ち上がるときはベッドに浅くこしかけたほうが立ち上がりやすいです。

2:×両足は膝より後ろに引いていたほうが立ち上がりやすいです。

3:×介助者は麻痺側にたつのが原則ですね

4:×あごを引いた状態がベスト

5:○



問題83  排泄介助に関する次の記述のうち、適切でないものを一つ選びなさい。

1 感染予防のため、おむつ交換時には使い捨て手袋を着用する。
2 利用者が自己導尿を行っているときの体位の保持をする。
3 差し込み便器を利用して排便をする場合、利用者の身体状況に合わせてベッドの頭側を挙上する。
4 膀胱留置カテーテル挿入部の皮膚や粘膜を清潔にする。
5 ポータブルトイレは小型で軽いものを選ぶ。

解答 5
1:○昔は手袋をはいての介助は、利用者さんの尊厳を傷つけるからといって利用しない風潮もありましたが、現在は感染症予防の立場から使用するほうが望ましいです。

2:○体位を保持することにより排尿が安楽におこなえます。

3:○

4:○その通りです。膀胱留置カテーテルの管理で最大の課題は尿の細菌感染ですからね。

5:×利用者が安定して利用できるポータブルトイレとは有る程度大きくて、簡単に移動することのない重みのあるものが必要です。




問題84  高齢者の夜間の快適な睡眠のための援助に関する次の記述のうち、最も適切なものを一つ選びなさい。

1 就寝前に濃い日本茶を飲む。
2 就寝前に食事をする。
3 就寝前にぬるめのお湯で入浴する。
4 部屋の照明はすべて消す。
5 マットレスは柔らかなものにする。

解答 3
1:×カフェイン量を多く摂取することにななり目がさえてしまい安眠できないですよね。

2:×寝る直前の食事は、食べたものが胃の中で消化されないため、お腹がはって、胃痛の原因になったり、眠りが浅くなる原因になってしまいます。ですから間違い!

3:○ぬるめのお湯での入浴は心身をリラックスさせる効果があり安眠できます。

4:×明るすぎても、暗すぎても心地よい睡眠効果はえられません。適度の照明は心身をリラックスさせ安眠できる効果があります。

5:×ふっくら沈みこむマットレスは確かに寝始めは気持ちがよいのですが 次第に疲れてきたりします。 逆にやや硬めのマットレスのほうが寝やすいことが多いです

 

問題85  次のうち、片麻痺のある利用者ががぶり上衣の着衣をする場合、身体の各部位を通す順番として最も適切なものを一つ選びなさい。

1 健側上肢--------→患側上肢--------→頭
2 健側上肢--------→頭--------------→患側上肢
3 患側上肢--------→健側上肢--------→頭
4 頭--------------→患側上肢--------→健側上肢
5 頭--------------→健側上肢--------→患側上肢

解答 3
1:×

2:×

3:○頭のなかでイメージしてください

4:×

5:×



問題86  入浴介助に関する次の記述のうち、最も適切なものを一つ選びなさい。

1 利用者の肩にお湯をかけて湯温を確認してもらう。
2 血圧の高い利用者は、ぬるいお湯に長く入るようにする。
3 片麻痺の利用者の場合、麻痺側から浴槽に入れる。
4 空腹状態にあるときの入浴は避ける。
5 入浴後は十分な休息をとった後に身体の水分をふき取る。


解答 4
1:×もし、これが熱いお湯だったら〜(-_-)・・ですね

2:×高血圧のかたはぬるめのお湯でも長時間は心臓などに負担を与えてしまいます。

3:×麻痺側でないほうからの入浴が原則となります。

4:○食事直後の満腹時の1時間と空腹時の入浴は避けてください。胃酸の分泌が多すぎると、自分の胃液で胃粘膜を傷つけてしまいます。

5:×

 

問題87  保温を目的とするゴム製湯たんぽの使用に関する次の記述のうち、適切なものに〇、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 湯の温度は80℃程度とする。
B 身体に密着させない。
C 容器の中の空気を抜く。
D 感覚麻痺のある部位に使用する。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × 〇
2 ○ × ○ 〇
3 × ○ 〇 ×
4 × × ○ ×
5 × × × ○

解答 3
A:×湯たんぽ適正温度は60度です。覚えておきましょう。
B:○やけどのもとですからね
C:○これをしておかないと、空気が膨張してふたが取れやすくなったりします。
D:×感覚麻痺のある部位だと熱を感じないのでやけどの原因になります。感覚の有る部位のほうにおきましょう。

問題88 
褥瘡の予防に関する次の記述のうち、適切でないものを一つ選びなさい。

1 電動エアマットを使用している場合でも、体位変換は必要である。
2 おむつ着用者では、濡れたらすぐに取り替える、
3 長時間の同一体位は避ける。
4 体位変換をして側臥位にした場合、膝を重ねる。
5 車椅子に座っている利用者が、ずり落ちないように防止する。

解答 4
1:○

2:○

3:○

4:×膝を重ねた部分の血流がわるくなり、褥瘡(じょくそう)を悪化させてしまいます。

5:○

 

 

問題89  利用者が点眼する場合の介助時の注意点に関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。

1 滴下数は、多いほど効果が増す。
2 目やには、そのままにしてもよい。
3 滴下は、眼球の上にする。
4 点眼容器の先は、まつげに触れないようにする。
5 複数の薬の点眼は、間を置かずに行う。

解答 4
1:×眼の中に入る目薬の量は、1滴で充分です。 2滴、3滴点眼しても目から溢れるだけ効果も同じですから。

2:×目やにには細菌がたくさんくっついています。ですから取り除かなければなりません。

3:×眼球の上ではなく眼球の上方より目薬を滴下したほうが効果的です。

4:○

5:×間隔をおかないで点眼すると水分で薬液の濃度が下がってしまいます。複数の点眼薬をさして眼内に浸透させる最も確実な方法は5分ずつ間隔をあけて点眼することです。 ...



問題90  高齢者が福祉用具を選択するときの支援に関する次の記述のうち、適切でないものを一つ選びなさい。

1 利用者の使用目的・能力と、用具の性能を合わせる。
2 複雑でメンテナンスや操作が困難なものは避ける。
3 貸出制度の利用も考える。
4 住居など使用する環境に配慮する。
5 介護支援専門員の指示に従うよう勧める。

解答 5
1:○

2:○

3:○

4:○

5:×介護支援専門員が一方的に指示するのではなく、福祉用具の選択にあたっては利用者の要望なども考慮にいれておこなうことが望ましい。

 

 

問題91  機能性尿失禁に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

1 強い尿意があり我慢できずに漏れる。
2 階段や坂道をおりているときに漏れる。
3 尿意をうまく伝えられなくて漏れる。
4 冷たい水に触れると我慢できず漏れる。
5 尿意がなく知らないうちに漏れる。

解答 3
1:×下記の解説を参考にしてください

2:×下記の解説を参考にしてください

3:○排尿機能が正常なのに身体運動障害の低下や痴呆が原因でおこる尿失禁です。

4:×下記の解説を参考にしてください

5:×下記の解説を参考にしてください

解説

機能性尿失禁とは 排尿機能が正常なのに身体運動障害の低下や痴呆が原因でおこる尿失禁です。身体運動障害の低下のためにトイレまで間に合わない、あるいは認知症のために尿を出してよい場所かどうかなどが判断できずに失禁してしまいます。

(介護技術・事例問題1)

 

施設内感染に関する次の事例を読んで、問題92から問題94までについて答えなさい。

{事  例}

介護老人福祉施設の入居者Gさん(78歳、女性)が早朝から下痢と嘔吐を繰り返し、午前中に病院を受診し、その結果、ノロウイルス感染の疑いがあることが判明した。

入居者は50名。1ユニット10名が個室で生活し、GさんはユニットQに所属している。それぞれのユニットには共有の居間兼食堂、家庭用浴室がある。静養室は医務室の隣である、

ご飯、味噌汁はユニットごとに準備し、副食は厨房で調理している。

また、同日の午前中にはそれぞれのユニットから希望者が集まり、ホールで書道サークルが実施されていた。


問題92 Gさんの診断の結果を受け、入居者の健康状態の確認が行われた。その確認項目に関する次の記述のうち、適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 排便の状況
B 入浴の状況
C 睡眠の状況
D 食事内容の状況

(組み合わせ)
1  A    C
2  A    D
3  B    C
4  B    D
5  C    D

解答 2
A:○ノロウイルスは便、食べ物、吐物などを介して感染しますから正解
B:×
C:×
D:○ノロウイルスは便、食べ物、吐物などを介して感染しますから正解

問題93 感染の拡大防止の対処方法に関する次の記述のうち、適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 入浴を毎日実施する。
B 手洗いの徹底を図る。
C Gさんを静養室に隔離する。
D 逆性石鹸で吐物を消毒する。

(組み合わせ)
1  A    B
2  A    C
3  B    C
4  B    D
5  C    D

解答 3
A:×不特定多数が入るお風呂では感染を拡大させる恐れがあります。
B:○予防としては手洗い、汚物・下痢便の処理(家庭用塩素系漂白剤を250倍ほどに薄めたもので、吐瀉物や下痢便のあった場所を中心に、広めに消毒を行います。)
C:○空気感染するので隔離は効果的です
D:×逆性石鹸ではノロウイルスは死滅しません。次亜塩素酸(家庭用漂白剤でよい)が有効です。


問題94 翌日、ユニットQの入居者3名に発症したので、緊急に施設全体の家族説明会を実施した。次の記述のうち、説明内容として誤っているものを一つ選びなさい。

1 考えられる原因や施設の現在の状況
2 ユニットQ以外にも感染する可能性があること
3 感染者は重篤になる可能性があること
4 面会時にはマスクを着用すること
5 入居者にワクチンを接種すること

解答 5
1:○

2:○

3:○

4:○

5:×ノロウイルスにたいするワクチンは現在ないので間違い

 

 

(介護技術・事例問題2)

 

  一人暮らしの高齢者の支援に関する次の事例を読んで、問題95から問題97までについて答えなさい。

{事  例}

  Kさん(85歳、男性、要支援2)は5年前に妻を亡くし、自宅で一人暮らしをしている。以前は近くに住む友人とカラオケや将棋を楽しむなど活動的な日々を送っていたが、近ごろは足下がおぼつかなくなってきたため、自宅にいることが多くなった。商店街はバスを使わなければならない距離にある。会社員の長女は、他県に住んでいるが、週に1回は訪問して買い物や掃除など身の回りの世話をしている。Kさんは「できるだけ他人の力を借りずに、自分のことは自分でやっていきたい」と言っている。しかし、トイレに間に合わないことがあったり、大好きだった入浴も転倒を恐れ控えるようになってきており、生活に不安を抱くようになっている。週1回の介護予防通所リハビリテーション(以下「デイケア」という)と週1回の介護予防訪問介護を利用している。

 

問題95  Kさんの清潔保持の支援に関する次の記述のうち、優先順位の高いものとして、適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。

A シャワーチェアーの導入を勧める。
B デイケアでの入浴を勧める。
C 訪問介護員が清拭する。
D 介護予防訪問入浴介護の利用を勧める。

(組み合わせ)
1  A    B
2  A    C
3  B    C
4  B    D
5  C    D

解答 1
A:○大好きだった入浴も転倒を恐れ控えるようになってきていること、また足下がおぼつかないとの記述があるので訪問介護員の介助をうけながらシャワーチェアーの使用により入浴できます。
B:○kさんは何とか歩ける状態にあるので、リハビリをかねて入浴もできるデイケアの利用は有効です。
C:×訪問介護員が行う清拭は寝たきり等のときに行うもの・・kさんには必要なしですね。
D:×kさん宅にはお風呂もあり、なんとか介助があれば自力で入浴できますから介護予防訪問入浴介護は必要ありません。


問題96  Kさんの排泄の支援に関する次の記述のうち、適切なものに〇、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A おむつの使用を勧める。

B 排尿のパターンを観察する。
C 間に合わない原因を医療職に相談する。
D 廊下やトイレに手すりを設置することについて話し合う。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ○
4 × ○ ○ ○
5 × × ○ ×

解答 4
A:×トイレに間に合わないことがあるからといって、おむつの使用をすすめることは早計です。おむつは最後の手段。ポータブルの使用などの検討も必要です。
B:○
C:○
D:○

問題97 Kさんの社会生活の維持及び拡大の支援に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 下肢の筋力トレーニングを勧める。
B 一人で買い物に行くように勧める。
C 友人との交流の機会を増やすよう勧める。
D 長女の訪問回数を増やすよう勧める。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ×
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ○
5 × ○ × ○

解答 2
A:○
B:×問題文に「、近ごろは足下がおぼつかなくなってきた…」とあるので介護員等に付き添ってもらっての対応が必要となってきます。
C:○
D:×「会社員の長女は、他県に住んでいるが、週に1回は訪問して買い物や掃除など身の回りの世話をしている。Kさんは「できるだけ他人の力を借りずに、自分のことは自分でやっていきたい」とのことなので長女の訪問回数を増やさずに支援できる方法を考えた方がよい。


(介護技術・事例問題3)

 

次の事例を読んで、問題98から問題100までについて答えなさい。

{事  例}

Mさん(78歳、男性、要介護2、身長160cm、体重65kg)は、妻(78歳)と二人暮らしで、脳梗塞で入院加療後、後遺症を抱えながらの在宅生活1年目である。歩行には一部介助が必要であり、時々、妻と車いすで散歩に出掛けるが、普段はテレビを見たり新聞を読むなどして過ごしている。食事の時は、車いすに座ってスプーンを用いて自分で食べられるが、身体全体が右側にずり落ちていることが多い。最近はむせることが多くなってきた。1ヶ月前に風邪をひいたが、現在は体調が安定している。Mさんはトイレで排泄することを強く希望し、妻の介助でトイレまで移動し排泄ができている。妻は腰痛を抱えながら昼夜を問わずトイレまで介助しているため、「疲れている、ゆっくり休んでみたい」と訪問介護員に話す。訪問介護(身体介護)を週に1回利用している。


問題98 Mさんの現在の状態のアセスメントに関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 転倒の恐れ
B 閉じこもり状態
C 誤嚥性肺炎の危険性
D 認知機能の低下

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ○
5 × ○ × ○

解答 3
A:○
B:×時々、妻と車いすで散歩に出掛ける…あるので閉じこもり状態はない。
C:○
D:×普段はテレビを見たり新聞を読むなどして過ごしている。…とあるので認知機能の低下は考えられない。

 

問題99 次の記述のうち、Mさんが、食事中にむせることが多くなった要因と考えられるものとして、最も適切なものを一つ選びなさい。

1 嫌いな食品が多いため。
2 カロリー摂取量が少ないため。
3 スプーンでの一口量が少ないため。
4 風邪の影響が残っているため。
5 食事中の姿勢が悪いため。

解答 5
1:×

2:×

3:×

4:×

5:○食事の時は、車いすに座ってスプーンを用いて自分で食べられるが、身体全体が右側にずり落ちていることが多いとあります。お年寄りが、むせずにスムーズな食事をするためには食べやすく姿勢を整えることが大切です。ですから正解!



問題100  Mさんは「妻に申し訳ない」と訪問介護員に話し、ここ二、三日は食事を減らしたり、なるべく水分をとらないようにしている。次の記述のうち、Mさんがこのような行動をとっている理由と考えられるものとして、適切でないものを一つ選びなさい。

1 体重を減らすため。
2 栄養のバランスを考えているため。
3 妻の負担を減らすため。
4 排泄の回数を減らすため。
5 妻と自分の睡眠時間を長く取りたいため。

解答 2
1:○kさんは身長160cm、体重65kgでやや体重が多いので、体重を減らすためというのは想定できる。

2:×

3:○妻は「疲れている、ゆっくり休んでみたい」と訪問介護員に話していますからね。

4:○

5:○

 

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