第20回 形態別介護技術

問題101 家族介護者への支援に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 家族が長期間介護を続けている場合は、虐待は起こらないと判断する。
B 家族介護者に対しては、専門的知識・技術をもって、介護に関する指導を行う。
C 福祉用具については、入手や利用の方法に関する情報を分かりやすく提供する。
D 利用者に関する記録は、事実を分かりやすく的確に伝えられるように記述する。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ×
3 ○ × × ○
4 × ○ ○ ○
5 × × ○ ○

解答 4
A:×統計上もお年寄りに対する家族からの虐待が多いんですよね〜。それがわかっていれば間違い!というのがわかりますね。
B:
本人だけでなく介護者(家族)に対しても介護に関する指導をおこなうのが介護福祉士(介護者)の業務の一つですから正解!
C:介護福祉士は自動的に福祉用具専門相談員の有資格者となっているので家族介護者にたいして福祉用具に関する情報提供をすることは問題がない。
D:記録については「事実を分かりやすく的確に…」これ以上の表現はないですね。


問題102 高齢者の寝たきり予防等に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 臥床状態から上半身を起こす場合には、速やかにギャッジベッドの上部を高くする。
B 昼間は、寝衣から普段着に着替えて生活リズムをつけるよう工夫する。
C 寝たきり状態が続くと関節の拘縮につながるので、積極的に手足を動かす。
D 「ベッド」「ポータブルトイレ」「いす(車いすを含む)」を利用者の状況に合わせて使用し、寝たきりにならないようにする。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ○
5 × × ○ ○

解答 4
A:×起立性低血圧症は体位変換時、寝た状態から急に起こされると血圧が下がり、ふらつきやめまい、疲労感、動悸、視野のかすみ、眼前暗黒感、時には失神などを伴ううことがあります。これは起立性低血圧の症状ですから注意が必要です。ギャッジベッドの上部を高くするには徐々にゆっくりしなければいけません。
B:○いつでも寝間着では生活のリズムを作ることができません。昼間は昼間の普段着に着替え生活にメリハリをつけましょう。
C:○はい・・常識として覚えましょう。
D:○その時々の状態に合わせ、体を起こしたり、移動したりする・・・そうすると寝たきりの予防にもなります。

問題103 肢体不自由者の介護に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 関節リウマチがある場合、手のこわばりが強くなるのは夕方であることに留意する。
B 片麻痺によって歩行が不安定になる場合、麻痺側に立って歩行介助を行う。
C 頚髄損傷で四肢麻痺がある場合、うつ熱になりやすいので、室温を調整する。
D 筋萎縮性側索硬化症が進行した場合、体動困難が生じるので、褥瘡の予防のために体位変換を行う。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ × × ○
3 × ○ ○ ○
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○

解答 3
A:×関節リウマチの
自覚症状としては、手指の関節のはれと痛みがあり、朝方より手指の腫れぼったい感じとこわばりを感じます。これを朝のこわばりといい数時間続きます。夕方でないので間違い!
B:○麻痺側に介助者がつく・・・この原則を忘れちゃだめよ!
C:○頚髄損傷では
自律神経が正常に機能できない為、熱くても汗が出ないので体に熱がこもり、うつ熱状態になったりします。この時には室温調整をしなければなりません。
D:○この病気は手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。体を動かすことが困難になってきますから褥瘡ができやすくなります。ですから当然体位変換が必要になりますね

問題104 身体機能の補完と福祉用具に関する次の記述のうち、適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。

A ベッド柵は、ベッド上での起き上がりを容易にするためにも活用される。
B 固定型四脚歩行器は、左右のフレームを交互に持ち上げて使用するものである。
C ハイ・ロー3モーターベッドには、高さ調節・背上げ・膝上げの機能がある。
D ロフストランド・クラッチは、握力や上腕の力が強い人に適している。

(組み合わせ)
1 A B
2 A C
3 B C
4 B D
5 C D

解答 2
A:○介護の現場でも経験済みでしょうからわかりますね。柵にてをかけて起き上がりの時の補助具として使います。
B:×
画像で示したほうが分かりやすいですね。あとで貼り付けようと考えています。交互に持ち上げるというものでないことは画像を見てればすぐにわかりますから。
C:○すばらしいけど、高価なベッドなんですよね〜 起き上がりと同時に膝も曲げられるように動く・・・まさにお姫様だっこ状態(^^;)
D:×
1本の脚と、体重を支える握り、前腕を支える腕支えを備えた杖で、手関節の固定や支持性に欠けるが、前腕で力を受けることができる場合に用いる。握力や上腕の力が弱い人に適しています

問題105 呼吸機能障害のある人に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 呼吸筋のストレッチ体操など、無理のない範囲内で体を動かしてもらう。
B いすから立ち上がるときには、息を止めるように指導する。
C 痰の色が変化した場合、医師や看護師などの医療関係者に連絡する。
D 酸素療法中の入浴では、カニューレは洗髪の邪魔になるので、はずしてから浴室に入ってもらう。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ × ○ ×
3 × ○ ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×

解答 2
A:○
呼吸筋を少しでも長く維持するために呼吸筋を鍛える訓練は大事ですね。
B:×いすからの立ち上がりではを吐いたほうがいいです。詳しい説明はあとで付け加えることにします。
C:○痰の色は普通は白または透明です。黄色や緑、灰色や赤い痰は感染のしるしかもしれませんから医療関係者に連絡することは必要です。
D:×洗髪時でも酸素の供給は大事です。指示された酸素流量が確実に投与されているか・酸素チューブの接続のはずれ,ゆるみ,屈曲,リークがないか・チューブ内に水滴等が流れ込み,酸素の流れを妨げていないか・カニューレの固定部位の皮膚の損傷がないかなどの確認が大事ですね。

問題106 消化管ストマのある人に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 介護従事者は、フランジ(台紙)を交換することができる。
B 小腸ストマのある人が入浴直前に排便があった場合の入浴介助は、パウチを装着せずに行う。
C S状結腸ストマのある人の便は有形であるため、定時排便が得られやすい。
D 適度な運動は、食欲を増し、排便にもよい効果をもたらす。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ×
3 × ○ × ○
4 × × ○ ○
5 × × × ○

解答 4
A:×フランジ(台紙)を交換することは医療行為になります。医師の指示をうけて看護師がおこなうことになります。
B:×小腸ストマの場合は排便コントロールが難しいので入浴介助時はパウチを装着しておくこと。従って間違い
C:○有形または柔便なので定時排便が得られやすいです。
D:○ウオーキングなどの適度の運動は
大腸の働きを活発にし、便通を促進します。ですから正解となります。

問題107 視覚障害のある人の介護と福祉用具に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 手引き歩行時の介護者は、視覚障害のある人の半歩前を歩く。
B 求心性視野狭窄のある人の移動では、階段の段差が認識しにくいことに留意する。
C 低視力の人の読書には、拡大読書器の活用が有効である。
D 白杖とT字杖を同時に使用する場合、T字杖は、二歩先の足元を検索・確認するためのものである。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○
4 × ○ ○ ×
5 × × × ○

解答 1
A:○何度も試験に出ている問題ですね。常識として覚えて起きましょう。
介護者は左肘か左肩を視覚障害者に持ってもらい、半歩前を歩くようにしながら安全な誘導をします。
B:○求心性視野狭窄.は初めての出題でしょうか。これは視野の周辺から均等に視野が欠けていく状態ことをいいます。ですから階段の段差などは認識しにくいので注意が必要ですね。
C:○拡大読書器(CCTV/Closed circuit TV)は、TV画面に文字等を大きく映し出す視覚障害者の福祉用具です。
D:×T字杖は
歩行時における身体の支持やバランスを補助するために用いられるもの。「二歩先の足元を検索・確認するためのものである」というのは白杖の説明である。

問題108 言語障害のある人のコミュニケーション援助に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 運動性失語障害のある人には、「はい」「いいえ」で答えられる質問をする。
B 運動性失語障害のある人には、手話を使うようにする。
C 麻痺性構音障害のある人には、五十音表の使用も可能であることに留意する。
D 麻痺性構音障害のある人には、ゆっくりと文節を区切って話すように促す。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○
4 × ○ ○ ×
5 × × × ○

解答 3
A:○失語症の中で最も多いのがこのタイプです。聞いて読むことはできますが、話したり書いたりすることができません。「はい」「いいえ」で答えられる質問をすることが大事です。
B:×そもそも手話というのは
聴覚障害者の人たちがお互いどうしの、また、聞こえる人との心のつながりを持つためのコミュニケーション手段です。ですから間違い。
C:○麻痺性構音障害とは、ちょうど手足が麻痺したのと同じ様に舌、口唇、喉、等に麻痺や筋力低下がある為、上手くしゃべれない状態をいいます。スムーズにお話ができないので五十音表を使う場合もあります。
D:○舌、口唇、喉、等に麻痺や筋力低下がある為に上手に話が出来ない状態ですから、ゆっくりと文節を区切って話すように促すことは適切なことですね。

問題109 聴覚障害のある人のコミュニケーション援助に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 筆談は、言語獲得後の失聴の場合に、有効なコミュニケーションの手段である。
B 読話では、同口型異義語に注意する。
C 空書では、相手との距離を通常1〜1.5mくらいにし、楷書でゆっくり、はっきり書く。
D 手話を獲得した人は指文字も獲得しているので、積極的に使う。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○

解答 1
A:○コメント不必要の問題ですね。
B:○「読話」とは
話し手の口形の変化を読み取って話の内容を読み取る方法です。同口型異義語の例をあげれば「主婦と主夫」とかのような場合に注意ということですね。
C:○「空書」とは、実際に筆や紙を使わず、自分の腕を筆に見立てて文字などを書くことですね。ですから相手から少し離れてわかりやすく楷書ではっきり書くことが大事になります。
D:×手話と指文字はどちらも別な訓練が必要。どうです。私たちに手話ができるからといって指文字まで獲得している人はいるでしょうか?いませんって。間違い!

問題110 認知症の人に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 認知症はかなり進行しても、感情は保たれる。
B 徘徊の場合には、その行動の背景を理解するように努める。
C 失敗行動があったときは、厳しく注意する。
D 見当識障害が見られる場合、現実認識を深めることを目的とする方法として、現実見当識訓練(reality orientation:RO)がある。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○
4 × ○ ○ ×
5 × × × ○

解答 2
A:○
認知症高齢者は記憶力、判断力は低下しますが、感情やプライドは以前と変わりありません。覚えておきましょう。ですから正解となります。
B:○徘徊するには必ずその背景に理由があります。その原因を見極めて対処することが介護者に求められます。
C:×失敗をしたときに厳しく注意する・・・とんでもない行為です。混乱に拍車をかけるようなものです。注意せずに受け入れる態度のほうが大切です。
D:○「現実見当識訓練」初めて試験に出てきた言葉ではないでしょうか。現実見当識訓練は時間、場所、人物に対する見当識障害を有する、中等度から重度の脳損傷老人に用いられたものでアメリカの退役軍人管理局病院で開始されたものが普及したものです。これは氏名、場所、曜日、時間などの情報本人に繰り返し与えるですが、考えてみたら基本情報を伝達することは日常的に介護の現場では意識せずとも行っている方法のような気もします。今回限りの試験問題かな〜・・・

問題111 精神障害のある人の介護に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 抗精神病薬の服用は、唾液の分泌を増加させることに留意する。
B 心身の疲労が再発の誘因となる場合、休みを取るなどして仕事に従事する時間を短くするよう勧める。
C 家事などは、本人ができる状態であれば一緒に行い、次第に一人でできるように支援する。
D 薬物療法や精神療法とともに生活療法を行う。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ × × ○
3 × ○ ○ ○
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×

解答 3
A:×向精神薬の副作用として、一般的に口が渇く、
自律神経症状 起立性低血圧、頻脈、排尿障害などをもつものが多いです。ですから間違い。
B:○疲れたときには休む・・健常者も同じですが、特に精神障害のかたはストレスが大敵ですからね。正解・・・。
C:○ごく当たりませの記述ですね。本人ができる状態であることが大前提となりますけどね。
D:○薬物療法や精神療法は従来からやられている方法ですね。生活療法というのは日常
生活の指導に重点を置くことで、患者の社会性を高めて社会復帰することを目標とするものです。


(形態別介護技術・事例問題1)

 在宅の認知症高齢者に関する次の事例を読んで、問題112から問題114までについて答えなさい。

[事例]

 Jさん(83歳、要介護2)は、妻(78歳)と二人暮らしである。Jさんは退職後、写真撮影を趣味としていた。以前から血圧が高く、3年前より物忘れが多くなった。半年くらい前から一日中何もしないで過ごすようになっている。食事や更衣などの動作はゆっくりであるが、促せば何とか自分でできる。最近、入浴を嫌がるようになる一方、時には浴槽から出ようとしなくなることがある。尿意・便意を訴えることができない。失禁があり、終日おむつを使用している。
 妻は、介護の手助けをしてくれる人が近くにいないため、疲れ果ててしまっている。現在、週2回の訪問介護を利用している。

問題112 Jさんのアセスメントに関する次の記述のうち、適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 心身の廃用性機能低下が進む可能性がある。
B 食事の動作がゆっくりなのは、食欲がないためである。
C 動作を促さないと自分で行わないのは、妻が世話をしすぎているためである。
D 趣味の写真撮影を再開することで、生活の活性化につながる可能性がある。

(組み合わせ)
1 A B
2 A C
3 A D
4 B C
5 C D

解答 3
A:○ようするに廃用性症候群が進行するということですが 廃用性による機能低下により寝たきり状態にしたり、心の機能までも衰えさせることに繋がっていくということですね。
B:×動作が緩慢な理由は食欲がない以外にもいろいろなことが考えられます。
使わないことによる機能の衰えは、筋肉・骨・関節・皮膚・心臓・呼吸器・消化器・尿路等身体の多くの部分に生じます。 筋肉では筋萎縮や筋力低下を、関節では関節拘縮をおこしますからそれらが動きの緩慢につながっている可能性もありますね。従って間違い!
C:×廃用症候群の進行による認知症も影響している可能性もあるので一概に妻が世話をやいているからということはいえない。
D:○問題文のなかに「Jさんは退職後、写真撮影を趣味としていた」とあるようにJさんの好きなことに再度興味を持ってもらうことで生活に活力がうまれてくる可能性がある。

問題113 Jさんの入浴介助に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 入浴を嫌がる場合は、叱責してでも入浴を促す。
B 浴槽から出ようとしない場合は、長湯になっても浴槽を出るまで待つ。
C 洗い残しのある場合は、洗身介助をする。
D 入浴後の着衣は、介護者が全介助で行う。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ×
3 × ○ ○ ○
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×

解答 5
A:×嫌がっている時に、いくらなんでも叱責するとは・・・ですね。その前に何故入浴したほうがいいのか・・そういう説明をすべきですね。
B:×長風呂は体力の消耗や脱水につながります。出るまで待っていては健康によくないですね。
C:○洗い残しがあれば当然そこを洗う介助をするのが常識でしょう。
D:×今は全介助する時代ではありません。しっかり残存機能を活用するのが原則です。

問題114 次のサービスのうち、Jさんが在宅生活継続のために当面利用するものとして、最も適切なものを一つ選びなさい。

1 認知症対応型通所介護
2 認知症対応型共同生活介護
3 通所リハビリテーション
4 夜間対応型訪問介護
5 特定施設入居者生活介護

解答 1
1:○
2:×
3:×
4:×
5:×
解説
指定地域密着型サービスに該当する認知症対応型通所介護の事業は、要介護状態となった場合においても、その認知症である利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第41条)


(形態別介護技術・事例問題2)

 次の事例を読んで、問題115から問題117までについて答えなさい。

[事例]

 Kさん(78歳、要介護2)は、糖尿病で20年前からインスリン療法を行っている。約6か月前に右下肢が壊死し、大腿部切断により義足装着となった。妻と自宅で生活していたが、世話をしていた妻が心筋梗塞で入院したため、介護老人保健施設(以下「施設」という)に1か月前に入所した。食事、更衣、整容は自立しているが、起立、移乗、排泄、入浴は要介助、義足歩行は5m程度ならば四脚杖と介助にて可能だが、主に車いすを利用している。インスリン注射は朝・昼・夕食前に自分で行っている。入所後食事量が減っており夕食前になると、時々あくび、いらいらや発汗が見られるが、夕食後にはおさまる。また、視力低下や易疲労感に加え、切断した右足のしびれ感を介護従事者に頻回に訴える。施設の行事やグループ活動には参加せず、部屋に閉じこもって、入院している妻のことを話して涙ぐむことが多くなった。

問題115 Kさんの身体状況のアセスメントに関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 左足部や断端部に傷ができる可能性がある。
B 夕食前のあくび、いらいらや発汗は、閉じこもりによるストレスから生じている。
C 右足のしびれ感は、幻肢によるものである。
D 視力低下は、糖尿病による合併症の可能性が考えられる。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○

解答 2
A:○糖尿病の合併症として
糖尿病壊疽があります。残っている、左足部、傷口など要注意ですね。
B:×閉じこもりやストレスからではなくKさんの発汗いらいら感は糖尿病の症状からきていると考えた方がよい。糖尿病のその他の症状としては、めまい、だるさ、強い空腹感. さらにひどくなると、腹痛と吐き気、痙攣、意識がなくなることもあるのでこの際覚えておきましょう。
C:○手足を切断したのに、まだ残存しているように感じることを幻肢といいます。幻視には痛みやしびれ、かゆみを伴いますがこれを幻肢痛といいます。よってこの問題は正解となります。
D:○糖尿病の三大合併症は是非覚えておいてください。「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」…大事ですよ〜視力低下は「投入病性網膜症」に起因するものです。

問題116 Kさんの介護に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 毎食の食事摂取量に十分注意する。
B 歩行するときには、右手に四脚杖を持ってもらう。
C 臥床するときには、義足をはずしてもらう。
D 端座位から車いすへ移乗するときには、車いすはKさんの左側に置く。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○

解答 2
A:○事例文にもあるようにKさんは糖尿病ですから、食事の内容には注意が必要です。
糖尿病食の原則は「腹七、八分目」といわれる適正な量で栄養のバランスのよい食事ですからね。
B:×右足が不自由なので基本的には健康側の手に四脚杖を持った方がよい。従って間違い。
C:○
解説を考え中です
D:○覚えておいてください。車いすは原則健側に置くということを! Kさんは右足が不自由ですから問題文にあるように椅子を左側に置くのが正解

問題117 閉じこもりがちのKさんへの支援に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 食事時以外はベッド上で静養するように勧める。
B 義足歩行の訓練の回数を増やす。
C 散歩や外出を促して気分転換を図る。
D 妻との面会ができるように準備する。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ○
5 × × × ○

解答 4
A:×閉じこもりがちのKさんに、「食事以外はベッドでいてください」と言われたら、ますます閉じこもりになってしまいますよね
B:○義足歩行には訓練が必要です。起立、移乗、排泄、入浴は要介助、義足歩行は5m程度ならば四脚杖と介助で歩けるということなので訓練回数を増やすことで自立度がぐっと向上するのではないかと思います。
C:○はい・・・ただでさえ閉じこもりがちなのですから外にでる機会を持ってもらうことは良いことだと思います。
D:○事例分を良く読むと理解出来ると思いますが「入院している妻のことを話して涙ぐむことが多くなった。」とありますから妻と面会が出来るように準備することは必要なことですね。

(形態別介護技術・事例問題3)

 精神障害のある高齢者の介護に関する次の事例を読んで、問題118から問題120までについて答えなさい。

[事例]

 Nさん(78歳、要介護3)は、10年前よりうつ病で精神科病院に入退院を繰り返していた。1年ほど前に退院してからは、自宅で妻と二人暮らしであったが、大腿骨頚部骨折による歩行困難のため、半年前から介護老人保健施設に入所している。精神科へも通院し抗精神病薬が処方されているが、自ら薬を飲もうとしない。最近では食事もベッドで摂ることが多くなってきた。食欲不振があり、また便秘がちである。夜間は寝つきが悪く、睡眠不足が続いている。しばしばナースコールを押し、「妻が面会に来てくれない」、「歩けなくなってしまった」、「生きていても仕方がない」などと訴える。妻は月1回、面会に訪れている。

問題118 Nさんの介護に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 精神症状には日内変動があり、それを考慮したかかわりが大切である。
B 朝から頑張って積極的に行動するよう励ます。
C 調理法を工夫して、食事量や水分摂取量を増やすようにする。
D 「生きていても仕方がない」と言わなくなったときには、自殺の危険が遠のいたと考えてよい。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×

解答 3
A:○
うつ病の場合、日内変動的には多くの人が、朝起きたときに最もうつ状態が強く、その後時間が経つにつれて薄れていくという傾向があります。ですからその状態応じた関わり合いが必要となります。
B:×うつ病の人との関わりでの原則は「励まさない」ということです。本人なりに精一杯頑張っているのに「頑張れ〜」ではなお気持ちが落ち込んでしまいますからね。
C:○事例文にあるようにNさんは「食欲不振があり、また便秘がちである。」とありますね。問題文にあるように「食事量や水分摂取量を増やすようにする」などして問題に対処することが大事です。
D:×うつ病の場合には「生きていても仕方がない」と言わなくなったからといって自殺の危険性がなくなったわけではない。従って間違いですね。

問題119 Nさんの夜間の対応に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 「歩けるようになるまで頑張りましょう」と励ます。
B Nさんのお話をよく聞いて、不安等の軽減を図る。
C 夜間不眠の状況を看護師に報告し、服薬等について相談する。
D 日中に睡眠の必要性も検討する。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ○
5 × × × ○

解答 4
A:×うつ病のかたに励ましの言葉は禁物です。
B:○うつ病のかたには丁寧に話を聞いてあげて受け入れてあげる態度が必要です。そのことにより不安が軽くなりますから
C:○
寝付きが悪いということは入眠障害の可能性があります。症状に応じた薬を処方してもらうなどの処置が必要となってきます。
D:○夜間は寝つきが悪く、睡眠不足が続いているということなので日中睡眠の必要性も検討する。

問題120 Nさんの介護における連帯等に関する次の記述のうち、適切なものに○、適切でないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 向精神病薬を中断しないように、看護師と連携して飲んだことを確認する。
B 食欲不振や便秘の対応について、精神科医を含め医療関係者の助言を得る。
C 別離の不安をこれ以上強くしないため、妻に面会を控えるよう助言する。
D ケース検討会を開き、散歩を勧めることの是非について相談する。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×

解答 2
A:○向精神病薬を飲んだり飲まなかったりしてはその薬の効力を失わせることになる。服薬を中断しないような服薬管理は大事である。
B:○食欲不振や便秘については様々な原因が考えられるので医療スタッフの連携は大事になってくる。
C:×面会を控える方が別離の不安を増幅させてしまうのではないでしょうか。従って間違いですね
D:○事例文にも「最近では食事もベッドで摂ることが多くなってきた」とあるように日常活動が消極的な傾向が見られる。問題文にもあるように散歩を勧めることについて検討を行うことは適切である。


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