第15回 医学一般

問題57

臓器が体の中に占める位置に関する次の記述のうち、 正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A. 胸部と腹部は、横隔膜によって分けられる。
B. 腎臓は、背側にある。
C. 声帯は、喉頭にある。
D. 食道は、気管の前方にある。

  A B C D
1 ○○○×
2 ○○×○
3 ○××○
4 ×○○×
5 ××○○

解答1
A
○胸部と腹部の境目にある筋肉が横隔膜です
B
○腎臓は背中側に位置する。主な働きは血液を濾過し(ろか)して尿をつくる
C
○咽頭の上部の両側にある左右のひだを声帯という。声帯は咽頭にあるので正解
D
×食道は気管の前方でなく後方にあります


問題58

人体の構造に関する次の記述のうち,正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A. 肘(ちゅう)関節と手関節の間を、前腕という。
B. 股(こ)関節と膝(しつ)関節の間を,下腿(かたい)という。
C. 下腿(かたい)には、脛(けい)骨と腓(ひ)骨がある。
D. 脊椎(せきつい)の下端は、坐(ざ)骨である。

1. A B
2. A C
3. B C
4. B D

解答2
A
○この手の問題は、問題文を読むだけでは理解は難しいですね。是非参考書片手に確認してください。大まかですが肩関節から肘関節までを上腕、肘関節から手関節までを前腕といいますから正解
B
×股関節と膝関節の間は大腿部といいますから間違い
C
○すいません。図がないと説明できません(降参です)
D
×脊椎(せきつい)の下端は、仙骨なので間違い


問題59

次の文章の空欄A,B,Cに該当する語句の組み合わせとして,正しいものを一つ選びなさい。

口腔では歯による咀嚼(そしゃく)で食物を砕き,第1相では,舌によって食物を口腔の奥にもっていく。 第2相では[ A ]に食物が触れて議下反射が起こり、咽頭から食道へ飲み込まれる。第3相は,食道 から胃に至るまでの過程をさす。第2相の嚥下反射のとき,鼻腔と咽頭の間が[ B ]によって区切られ、 咽頭と喉頭の間は[ C ]によって塞がれる。

    A         B      C
1. 喉頭粘膜   軟口蓋   喉頭蓋
2. 喉頭粘膜   喉頭蓋   咽頭蓋
3. 咽頭粘膜   軟口蓋   咽頭蓋
4. 咽頭粘膜   喉頭蓋   軟口蓋
5. 咽頭粘膜   軟口蓋   喉頭蓋

解答5(問題の出し方としてAの答えが皆同じというのは適切とは思えないな〜)
1×
2×
3×
4×
5○歯で食べ物を砕き、1相、2相、3相という過程でどのような仕組みで食物が胃に至るのかを説明するものです。けっこう重要な問題ですね。

1相→食べ物を口腔の奥へ運ぶ
2相→咽頭粘膜に食べ物がふれて嚥下反射がおこる。嚥下反射の時鼻腔と咽頭の間が軟口蓋で区切られ咽頭と喉頭の間は喉頭蓋でふさがれる。あれっ・気がつけば問題の書き写しです。この問題が一番の説明ですね。喉頭の蓋は食べ物の誤飲などを防いでくれる役割をしますが、それでもあやまって気管に入ろうとすると、気管は異物が入るのを防いで気道を確保しようとします。それでも誤ってものが気管に入り込むと肺炎などを起こしてしまうわけでね。是非、図をみて納得してください。言葉だけの説明はつかれます


問題60

症状や所見と、それを観察する上で重要な身体の部位の組み合わせのうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1. 貧血 ーー眼瞼結膜
2. 黄疸 ーー眼球結膜
3. 脱水 ーー皮膚
4. 浮腫 ーー歯根
5. 褥瘡 ーー仙骨部

解答4
1○貧血をおこすと皮膚や粘膜が蒼白になります。まぶたの裏側のところは眼瞼(がんけん)結膜とよばれます。結膜は、眼球とまぶたをつなぎあわせてそれらがうまく動くようにしている粘膜のことをいいます。したがって貧血・結膜・粘膜つながりですのでただしい
2○黄疸は眼球の結膜にいち早くあらわれやすい。したがって正解
3○脱水を起こすと、皮膚が乾燥状態となる(皮膚の緊張状態)
4×浮腫とはリンパ球などの水分が組織などにたまる状態ですが歯根は歯肉の中にある部分なので、浮腫があったとしても重要な観察部位とはいえませんね
5○褥瘡が出やすい部分、それは骨のでている部位などですから仙骨などは大いに関連します。ですから正しい


問題61

疾患と症状に関する次の組み合わせのうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、 その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A. 糖尿病 ーー口渇
B. 痛風 ーー拇指基関節炎
C. 甲状腺機能充進症 ーー眼球陥凹
D. 甲状腺機能低下症 ーー粘液水腫

  A B C D
1 ○○×○
2 ○○××
3 ○×○×
4 ○××○
5 ×○○○

解答1
A
○糖尿病の症状として、覚えておく中に口渇(こうかつ)がありますが、このほかに覚えておいて欲しいのが視覚障害、知覚障害、インポテンツなどが有名です
B
○痛風は尿酸が結晶化して、関節炎をおこします。最もその結晶が沈着しやすいのは拇指基関節ですから正解となります
C
×甲状腺機能充進症・・このほとんどがバセドウ氏病です。この症状としては発汗促進、体重減少、眼球突出、甲状腺腫などがある。眼球陥凹(がんきゅうかんおう)ではないので間違いです
D
○甲状腺機能低下症は粘膜水腫とも呼ばれている。症状としては全身倦怠、寒さ、眠気、動作の遅鈍などがある。


問題62

病態や疾患と、それに伴う血液中の値の変化の組み合わせのうち、値が低下するものを一つ選びなさい。

1. 貧血 ーーヘモグロビン
2. 糖尿病 ーーグルコース
3. 痛風 ーー尿酸
4. 黄疸 ーービリルビン
5. 肝炎 ーーGOT(ALT)

解答1
1○ヘモグロビンの働きは酸素の供給です。そしてその供給が滞ると貧血になります。つまりヘモグロビン濃度の低下によって貧血がおこるのですから正しいですね
2×グルコースを日本語訳にすると「糖」のこと。糖尿病になると血糖値が上がります。つまり糖尿病でグルコースは上昇するので、間違い
3×痛風は高い尿酸値で尿酸が結晶化して関節炎をおこします。上昇ですから不正解 
4×ビリルビン値の上昇で黄疸になるから、間違い
5×肝炎をおこすと、GOT,GPTなどの酵素値が上昇します。ですから不正解


問題63

脳血管障害(脳卒中)に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1. 右大脳半球の障害では、左半身の麻痺をきたすことが多い。
2. 失語症は、左人脳半球の障害でおこることが多い。
3. 脳塞栓は、心疾患に伴うことが多い
4. 脳出血は、高血圧のある患者におこることが多い。
5. 感覚(知覚)障害は、運動麻痺がみられる側の反対側におこることが多い。

解答5
1○一般的なことですが、運動麻痺というのは脳の障害部位の反対側の上下肢でおきることを頭にいれておいてください。それでこの問題は解けますよね。つまり右大脳半球の障害では、左半身の麻痺、左大脳半球の障害では、右半身の麻痺です。
2○失語症では言葉の理解、判断、読み書きなどが阻害されます。これは問題にあるように左人脳半球の障害でおこることが多いので正解
3○脳塞栓とは、心臓や心臓を出てから脳に至る前の血管の中で血液が固まった血栓が出来て、 これが血液の流れに乗って脳の血管に入り込んで脳の血管をつめてしまう状態です。これに伴う症状では不整脈、心疾患等が認められるので正解
4○脳出血の人の多くは高血圧の既往歴があるので正解
5×運動麻痺も、感覚障害も脳の障害部位の反対側でおきるので運動麻痺がみられる側の反対側ということはなく同じ側ということですから間違い。



問題64

心疾患に関する次の配述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A. 糖尿病は、心筋梗塞の危険因子のひとつである。
B. 人口ペースメーカーは、完全房室ブロックの適応にならない。
C. 高齢者では、心筋梗塞がおきても胸痛を訴えない場合がある。
D. 安静時に出現する狭心症を、心筋梗塞という。

1.A B
2.A C
3.A D
4.B C
5.B D

解答2
A
○糖尿病の合併症としては、脳梗塞、心筋梗塞、末梢神経障害がある。したがって正しい。
B
×人口ペースメーカでの刺激伝導の遅延、途絶するのが房室ブロックですが、障害の程度により1,2,3度房室ブロックに分類される。この第3度房室ブロックのことを完全房室ブロックというので、適応になる
C
○心筋梗塞では激しい胸痛がある。これは覚えましょう。何度も出てますから
D
×狭心症→運動時におこるものを労作性狭心症、安静時におこるものを安静時狭心症といいます。狭心症とは心筋が虚血(血液がいきわたらくなる)酸欠状態になり胸痛や胸部圧感を引き起こすものですが、心筋梗塞は血液の供給が不足し心筋が壊死をおこことなので間違い

問題65

疾患と症状に関する次の組み合わせのうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1. パーキンソン病 ーー動作緩慢
2. 脊髄小脳変性症 ーー失調性歩行
3. 後縦靱帯骨化症 ーー構音障害
4. ハンチントン舞踏病 ーー痴呆
5. 筋萎縮性側索硬化症 ーー嚥下障害

解答3
1○パーキンソンの3代特徴は動作緩慢、前屈姿勢、仮面様顔貌(がんぼう)です。正しいですね
2○脊髄小脳変性症の症状として運動失調(失調性歩行)が最も有名です。正しい
3×後縦靱帯骨化症・・過去問にも出てこない病名ですね。この症状は歩行困難、上肢の動作困難などがあるが、この疾患で構音障害(構音障害とは、言葉を正しく明瞭に発音できない障害です)はおこらない
4○ハンチントン舞踏病は痴呆症や統合失調症の過程などで発症し、末期には高度の認知症、歩行困難などをひきおこす。正しい
5○筋萎縮性側索硬化症は筋力低下、筋萎縮が主症状ですが、嚥下障害や構音障害(構音障害とは、言葉を正しく明瞭に発音できない障害です)を引き起こす


問題66
我が国の臓器がんの特徴に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1. 胃がんの罹患率は、昭和50年代に比べると現在は低下した。
2. 大腸がんで多いのは、直腸がんである
3. この20年間前立腺がんの罹患率は、徐々に増加している。
4. 膵がんは、他のがんよりも予後がよい。
5. 男性のがんによる死亡率の第1位は、肺がん(気管・気管支がんを含む。)である。

解答4
1○胃ガンの罹患率は昭和40年代から低下している。覚えておくことは男性が肺ガンに続いて第2位の死因、女性が第1位の死因であることを記憶に留めよう
2○大腸癌で多い部位は結腸、直腸の順に多い
3○前立腺癌の発生率は急速に増加してるので○
4×膵臓癌は男性の高齢者に多いが、他の癌に比べると5年生存率がきわめて低い。予後もけして良いとはいえない
5○男性の癌の死因の順位は男性が肺ガン→胃ガン、女性は胃ガン→大腸癌である。正しい


問題67
在宅医療として認められるものに○、認められないものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A. 在宅酸素療法
B. 中心静脈栄養
C. 経管栄養
D. 腹膜透析(CAPD)

  A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ ○ ×
3 ○ ○ × ○
4 ○ × ○ ○
5 × ○ ○ ○

解答1
A
○在宅酸素療法は筋萎縮性側索硬化症などで使用
B
○中心静脈栄養は末期の病気で消化機能が低下したとき高カロリーの輸血を在宅で行うものです
C
○嚥下障害のある利用者に対して、食べ物をいれると嚥下性肺炎などを起こす危険性があるときに行います
D
○腎機能が低下して、なおかつ通院に問題があるとき在宅で行われます


第15回  問題68
保健施策に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A. 市町村は、乳児健康診査、16か月児健康診査などの母子保健事業を行う。
B. 21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」は、疾病の早期発見、早期治療を目的としている。
C. 地域保健推進のため、保健所を増設していく計画が進められている。
D. 老人保健事業には、機能訓練や訪問指導が含まれる。

1.A B
2.A C
3.A D
4.B C
5.B D

解答3
A
○以前は都道府県で行われてましたが、現在は3歳児健診、一歳半健診もすべて市町村の事業になりましたので正解
B
×これは、最近よくでてますねェ〜。ここでの目標や方向性は栄養・食生活、身体活動・運動、休養と心の健康づくり、たばこ、アルコール、歯の健康、糖尿病、循環器系疾患、癌などの対策があげられている。であるので間違い
C
×新たに保健所を増設という計画はなく、広域的・専門的・専門技術の拠点として位置づけられている
D
○老人保健事業には機能訓練や訪問指導以外にも、保健手帳の交付、健康教育、健康診査等の事業が決められている


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