14回 老人・障害者の心理

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41
問題41
高齢者への心理療法に関する次の記述のうち,適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。

A
 リアリティ・オリエンテーションは,グループを用いて行うクラスルーム・リアリテイ・オリエンテーションが唯一の方法である。
B
 回想法は,痴呆性高齢者だけではなく,一般の高齢者の生きがいを高める方法としても用いられている。
C
 高齢者は,生活してきた過程で多くのつらい体験をしているので,カウンセリングでその痛みに触れることをしてはならない。
D
 音楽療法は,グループを活用して行うものに加えて,個人に対して行うものもある。
(
組み合わせ)
1AB
2AC
3AD
4BC
5BD

解答5
A
×「リアリティ・オリエンテーション」とは、現実認識を高め、見当識を引き起こすような刺激を与えることで、時節や天候などを語りかけながら行う介護のことをいいます。この問題ではグループと特定していますが、個人に対しても行いますので間違いです
B○そのとおりです。
C×つらい経験をむりやり聞きだそうとすることは、してはいけませんが、自発的に話しだしたときには、しっかり聞いてあげることが必要です。
D○個人でも、集団も行う・・イメージできますよね

1442
問題42
夫が脳血管障害で手術した後の妻の心理的変化に関する次の記述のうち,適切なものに○,適切でないものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A
 「夫婦して一泊旅行に参加し,やっと春が訪れたようで,穏やかな日々を過ごしている」というのは受容期に至った心境である。
B
 「術後,医師から説明を受けたが,返事をしたものの,何を言われたか後から思い出せなかった」というのは混乱期にいたためである。
C
 「夫がベッドに座れるようになったり,つかまって歩けるようになった姿を見て涙があふれた」というのは解決の努力期のことである。
D
 「夫の職場復帰が難しそうだと分かって,眠れぬ夜を過ごした」というのはショック期にいたためだと思われる。
(
組み合わせ)
 A B C D
1
〇〇〇×
2
〇〇××
3
〇×○〇
4
〇×〇×
5
×〇×〇


解答4
A
○障害などを受け止めているその心境が文書にあらわれていますね
B
×ショック期の説明なので間違い
C
○解決への努力期にあたります
D
×いろいろ悩む時期、そんなときは混乱期です。

参考(覚えましょう)
障害受容のプロセス
ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期→受容期


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43
問題43
高齢者虐待に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。
1
 虐待とは身体的に苦痛を与えることをいい,たとえば相手を罵るような行為は,それに含まれない。
2
 必要なケアをせず放置しておくことも虐待の範ちゅうに入る。
3
 虐待をする人は性格的な問題があるので,虐待をなくすには,虐待をする人の性格を改善することを優先する必要がある。
4
 高齢者虐待は最近問題になってきたものであり,昔は高齢者への虐待はなかった。
5    
高齢者虐待は介護者の心身のストレスから起きることはない。
解答2
1×身体的虐待だけでなく、心理的に苦痛を与えることも虐待と規定されてます
2○世話の放棄(ネグレクト)も虐待です
3×虐待をなくすには、虐待をおこなう人への援助も大切であるが、その原因は「性格的な問題」よりも「環境的な問題」のほうが大きいといわれています。
4×表だっていなかっただけで昔から虐待はありました
5×新聞報道にもでてますが、介護者の心身のストレスは虐待を発生させる要因のひとつですよね。悲しい現実があります


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44
問題44
高齢者の記憶に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1
 記憶には,「記銘」,「保持」,「再生」の3過程がある。
2
 女性は男性に比べ,記憶の「保持」がよい。
3
 記憶の衰えは,痴呆症の兆候である。
4
 記憶には,ごく短時間だけ情報を保存する「短期記憶」と,短期記憶から送られてきた情報を極めて長く保存する「永久記憶」がある。
5    
いわゆる「胴忘れ(または度忘れ)」は,高齢者特有のものである。

解答1
1○
2×記憶に男女差はないですよ〜
3×高齢になると、一般的に記憶力は衰えます。最近の自分の親をみててますますそう思います。でもそれが速、認知症(痴呆症)の兆候と断言できません。
4×記憶の種類は、「感覚記憶(2〜3秒)」「短期記憶(1530秒)」「長期記憶」の3つがあります。永久記憶??こんな言葉ありません
5×胴(ど)忘れは一過性の健忘状態で、高齢者特有ではなく中高年からよく見られる。


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45
問題45
ピアカウンセリングに関する次の記述のうち,適切なものに○,適切でないものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A
 ビアカウンセリングのピアとは,同じ背景や特質をもつ者同士のことをいう。
B
 ピアカウンセリングとは,同じ背景や特質をもつ者に対して,自己洞察して自ら変革してゆけるように援助することである。
C
 ピアカウンセリングの共感的理解とは,相手の内的な世界に同情することである。
D
 ビアカウンセリングは,高齢者援助の方法として20年前に提示された。
(
組み合わせ)
 A B C D
1
〇〇×〇
2
〇〇××
3
×○×〇
4
×○××
5
××○○

解答2
A
○問題文そのまま覚えちゃいましょ
B
○助言とかしないで、自ら変革していける力をつけてあげるということ
C
×共感と同情の区別をまずしましょう。共感は相手の気持ちを自分のことのように感じることですが、同情は相手の気持ちに立つというより自分の気持ちにたってることです。
D
×高齢者の援助方法としてではなく、障害を持ちながらも自立している障害者が同じような障害を持つ人をサポートするというものですね。


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46
問題46
障害の特性に配慮したコミュニケーションのとり方に関する次の記述のうち,適切なものに○,適切でないものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A
 失語症の人は,言葉を話したり,聞いて理解することが難しいが,具体的なものを指差したり,身振りを用いて伝えることは,障害者の尊厳を傷つけることになるので,避けた方がよい。
B
 視覚障害者が食事をするときには,皿の場所や調味料の位置を時計の文字盤に例えて説明すると,わかりやすくてよい。
C
 言語に障害のある人と話すときに,相手の言うことが聞き取れない場合には,同じことを何回も聞き直すのではなく,他の方法を用いてその内容を確認していく方がよい。
D
 利用者の意志を尊重するためには,「開かれた質間」がよいとされているが、理解力や表現力が十分でない障害者の場合には,「イエス」「ノー」で答えられる質問や,具体的な選択肢を提示する質問の仕方も用いるとよい。
(
組み合わせ)
 A B C D
1
〇〇〇×
2
〇〇×〇
3
〇×〇×
4
×○○○
5
××〇〇

解答4
A
×具体的なものを指差したり,身振りを用いて伝えることは,障害者の尊厳を傷つけることになるとは限らない。失語症の方にはその症状によってはとても有効なコミュニケーション手段である。
B
○正解ですから、問題を何度も解くことで理解出来ますよ
C
○正解ですから、問題を何度も解くことで理解出来ますよ
D
○正解ですから、問題を何度も解くことで理解出来ますよ



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47
問題47
痴呆性高齢者への接し方に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。

1
 子どもをしつけるときのように,悪いことと良いことの区別は厳しく教えるべきである。
2
 知的能力の低下が著しいので,知的作業はストレスとなってしまうため,させてはならない。
3
 感情の表出は不規則で激変するので,あらゆる刺激を最少にするように心がけるべきである。
4
アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆を区別して接することは意味がない。
5
 カウンセリングの基本である「傾聴」は,痴呆性高齢者にも適用されるべきである


解答5
1×叱っても、なぜ叱られるのかが理解できず混乱したり、不安になったり、また、厳しく叱られたことで、恐怖を感じたり自尊心が傷つくことにより、攻撃的になるなど別の行動障害をひきおこしかねません。援助者には、痴呆性高齢者が穏やかで、安定した精神状態を保てるような配慮ある対応が必要です。
2×理解できない程度の作業は、「分からない」ということで、痴呆性高齢者が不安になったり混乱したりするので、しないほうがよいです。しかし、適度な難易度の知的作業は、残存能力の活用につながります。ですから、知的作業をさせてはならないというのは、誤り。
3×朝起きて、カーテンをあけ太陽の光を浴びたり、季節を感じるイベントに参加したり、人の中にはいったり、ストレスを感じさせないような適度な刺激は、必要です
4×アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆では、呈する症状が違います。脳血管性痴呆では、病識があり比較的人格が保たれることが多く、また まだら痴呆の症状を示すことが多いのにたいし、アルツハイマー型痴呆では、本人に病識がなく人格が保たれない場合が多いです。ですから区別して接することは必要となります。
5○そのとおりです。認知症高齢者に限らず、自分の話をしっかり聞いてもらえたら、気持ちが落ち着きますから


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48
問題48
高齢者の創造性に関する次の文章の空欄A,B,Cに該当する語句の組み合わせとして,正しいものを一つ選びなさい。
様々な課題を解決して新しい価値を生み出す人間の才能を創造性とする。この創造性について「A」は特別な才能の創造性と「B」に分けている。前者は芸術の天才や発明家などに示される創造性であり,後者は普通の人にも備わる創造性でもある。創造性は記憶をもとにする応用的思考であり,C」が大きいとされているが,高齢まで持続することも指摘されている。
  A             B              C
1
 シェイエ(Schaie,K.)一一一一自己統合の創造性一一一一一一一地域差
2
 エリクソン(Erikson,E.)一一アイデンティティーの創造性一一個人差
3
 マズロー(Mas1ow,A.)一一一一アイデンティティーの創造性一一性差
4
 シェイエ(Schaie,K.)一一一一自己実現の創造性一一一一一一一性差
5    
マズロー(Mas1ow,A.)一一一一自己実現の創造性一一一一一一一個人差

解答5

1×
2×
3×
4×
5○
シェイエ===知能の年齢曲線(動作性知能・言語的知能)
エリクソン==ライフサイクル論(人間の8つの発達段階)
マズロー===欲求の五段階説(1生理的欲求・2安全欲求・3所属愛情の欲求・4自尊の欲求・5自己実現の欲求)


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