保健医療(感染症予防)

 

・標準予防策→標準予防策とは感染症の有無にかかわらず、あるいはいかなる病態であるにも関わらず適用される感染対策であり、患者と医療従事者双方における医療関連感染の危険性を減少させるために 標準的に講じる感染対策である。湿性生体物質は感染性があるものとして取り扱う必要があり、 湿性生体物質とは、血液、汗を除くすべての体液、分泌物、排泄物、傷のある皮膚、粘膜(気管、 口腔、鼻腔、消化管、眼球、膣等)である。

・標準予防策(具体例)手指衛生  うがい   個人防護具   咳エチケット

・介護・看護職の対策

 予防接種   次亜塩素酸ナトリウムの準備(ノロウイルス対策)

・感染経路予防

 接触感染  ノロウイルス  腸管出血性大腸菌  

飛沫感染  ノロウイルス  インフルエンザ

空気感染  結核  麻疹  水痘

 血液感染  B型肝炎   C型肝炎

 

A高齢者の予防接種

・インフルエンザワクチン

・肺炎球菌ワクチン→肺炎、気管支炎等の予防

 

B高齢者に多い感染症

・尿路感染症→予防としては十分な水分摂取  陰部の清潔保持

・呼吸器感染症

・褥瘡感染症

 

C施設で感染しやすい感染症

・ノロウイルス感染症→嘔吐、下痢、急性胃腸炎    対策として嘔吐処理時はマスク、手袋、次亜塩素酸ナトリウム

MRSA感染症MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は抗生物質に対する強い耐性をもつブドウ球菌。特に抵抗力の弱い人は感染すると難治性となり予後不良となるケースが多い。

 

感染症予防に関する過去問題をピックアップ

1 インフルエンザは空気感染と関係がある

×インフルエンザは飛沫感染である。飛沫感染は咳などで生じた飛沫粒子は約1mの距離で落下するのに対し、結核などの空気感染は咳などで生じた飛沫核が空中を浮遊し、飛沫感染より長距離を伝播する。

2 腸管出血性大腸菌感染症は接触感染と関係がある

3 標準予防策(スタンダード・プリコーション)とは、感染症の有無にかかわらず、すべての人に実施する感染予防対策である。

4 標準予防策(スタンダード・プリコーション)の基本は、人の体液や排泄物の全て感染症があるものとして取り扱うことである。

5 感染症罹患者に対する特別な対応を、標準予防策(スタンダード・プリコーション)と呼ぶ。

×標準予防策(スタンダード・プリコーション)は、すべての人に実施する感染対策である。

6 水痘、麻疹、風疹及びB型肝炎は、ワクチンで予防可能な感染症である。

7 咳エチケットは、インフルエンザと診断されたときから心がければよい。

×

8 高齢者を対象とする肺炎球菌ワクチンは、定期接種となっている。

9 インフルエンザの予防接種の対象者には、寝たきりの高齢者は含まれない。

×寝たきりの高齢者はインフルエンザにかかると、二次的に肺炎になり、重篤化して入院する傾向が高い。それを防止するため、事前にインフルエンザワクチンを接種しておくことが重要であり、寝たきり高齢者はインフルエンザの予防接種の対象に含まれる。

10 ノロウイルス感染者の嘔吐物処理に際しては、汚染した場所をアルコール綿で拭き取ればよい。

×

11 感染予防についてロウイルス感染者の嘔吐物の処理の際は、汚染した場所をアルコールで消毒すればよい。

×ノロウイルス感染者の嘔吐物の処理の際には、汚染した場所を次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。

12 感染予防について手袋の使用後は、手指の消毒の必要はない。

×手袋を使用した場合であっても、手指を消毒する必要がある。

13 ノロウイルス感染症では、下痢などの症状がなくなれば、感染力はない。

×ノロウイルス感染症では、症状がなくなってもウイルスが排泄物等に残っていることがあるため注意を要する。

14 ノロウイルス感染者の吐瀉(としゃ)物を処理する際に、マスク、エプロン、手袋のいずれも使い捨てのものを使用した。

〇消毒には、次亜塩素酸ナトリウムを使用する。

15 社会福祉施設において、65歳に達する年度以降の入所者に対し、毎年1回の定期結核検診を実施している。

〇特別養護老人ホームや養護老人ホーム等の社会福祉施設においては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に基づき、年1回の定期結核健診の実施が義務付けられている。

16 通常疥癬(かいせん)は施設内で集団発生することがあるため、発症者を強制的に隔離した。

×通常疥癬は、個室等への隔離は必要ないとされている。隔離が必要となるのは、ノルウェー疥癬の場合である。

17 高齢者のノロウイルス感染は、すべて汚染された食品からの感染である。

×ノロウイルスの感染経路には、食品媒介感染、接触感染、飛沫感染がある。

18 肺炎球菌ワクチンを摂取すれば、すべての肺炎を予防できる。

×肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌以外の原因による病気(感染症)に対しては残念ながら予防効果はありません。

19 高齢者に接種が推奨されるワクチンとして肺炎球菌ワクチン

〇肺炎球菌については、症状悪化を緩和する目的で高齢者の接種が推奨されている

20 高齢者に接種が推奨されるワクチンとして子宮頸がんワクチン

×子宮頸がんワクチンは、中学1年生となる年度に接種することが標準

21 高齢者に接種が推奨されるワクチンとしてBCGワクチン

×BCGワクチンは幼児期

22 高齢者に接種が推奨されるワクチンとしてB型肝炎ワクチン

×B型肝炎ワクチンは乳児期に接種することが推奨されている。

23 施設入所者の咽頭培養でMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が陽性であったため、症状はないが強制的に隔離した。

×MRSAが陽性であっても、介護施設や在宅では隔離の必要はないとされている。

24 施設入所者に2週間以上咳が続いているため、結核を疑い、医師に報告した。

〇結核の早期発見には、定期的な胸部レントゲンの撮影が重要であり、2週間以上続く咳や微熱があれば、結核を疑い医師に報告することは適切な対応である。

25 感染症罹患者に対する特別な対応を、標準予防策(スタンダード・プリコーション)と呼ぶ。

×標準予防策(スタンダード・プリコーション)は、すべての人に実施する感染対策である。

26 インフルエンザ様の症状があっても、インフルエンザ迅速判断キットの判定が陰性であれば、他人に感染させるリスクはない。

×インフルエンザに感染した直後は、診断キットの判定が陰性で出ることもあり、この場合であってもインフルエンザではないと断定されたわけではなく、感染のリスクがないとはいえない。

27 高齢者に接種が奨励されるワクチンは、インフルエンザワクチンとC型肝炎ワクチンである。

×インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチン

28 インフルエンザの主な感染経路は、飛沫感染である。

29 高齢者に接種が推奨されるワクチンとしてインフルエンザワクチン

〇インフルエンザワクチンについては、症状悪化を緩和する目的で高齢者の接種が推奨されている

30 疥癬は飛沫感染と関係がある

×疥癬は接触感染である。

31 ノルウェー疥癬(角化型疥癬)では、タオルなど肌に直接触れるものは共用しないが、予防衣や手袋の着用は不要である。

×ノルウェー疥癬では、予防衣や手袋の着用と手洗いを徹底することが重要である。

32 2週間以上続く咳や微熱がある場合には、結核を疑い、早期発見に努める。

〇2週間以上続く咳や微熱がある場合には、結核を疑い、早期に発見することが重要である。

33 介護サービス利用者が肺結核で排菌していることが判明した場合、その感染リスクに応じて、介護者など接触者に対する健診が実施される。

〇介護サービス利用者が発病・排菌中の場合、住所を管轄する保険者が、利用者の症状確認、接触者等の年齢、接触状況などを考え、介護者など接触者に対して健診を計画し、実施する。

34 高齢者の下痢では、緩下剤による可能性もあるので、服薬状況などを確認する。

〇緩下剤の代表として、酸化マグネシウムがある。酸化マグネシウムは大腸における水分の吸収を抑制、つまり便に含まれる水分が多くなるため、便を軟らかくする作用がある。便通に効果を発揮する薬であるが、下痢の際には服薬状況を確認する必要がある。

35 ノロウイルス感染者の便の処理の際は、マスクや手袋の装着の必要はないが、処理後にアルコールで手指をよく拭いておく。

×処理の際には、マスクと手袋を着用し、汚物中のウイルスが飛び散らないように、便をペーパータオル等で静かに拭き取り。その後、次亜塩素酸ナトリウムで浸すように床を拭き取り、そして水拭きをする。おむつ等は、速やかに閉じて便等を包み込み、ビニール袋に密閉して廃棄する。

36 ノロウイルス感染症は主に空気感染により発症する。(201981日追加)

×経口感染

37 ノロウイルス感染症では、下痢などの症状がなくなった後も便からウイルスが排出される。(201981日追加)

38 ノロウィルス感染症では、下痢症状がなくなれば、便からは感染しない。

×下痢症状がなくなっても感染から13週間は便からのウィルスの排出は続く。

39 高齢者への肺炎球菌ワクチンは、接種後5年を経過しないと再接種できない。

〇日本では2009年に再接種が認可され、再接種の条件として高齢者においては、初回接種から5年以上経過した肺炎球菌による重篤疾患に罹患する危険性が極めて高い者及び肺炎球菌特異抗体濃度が急激に低下する可能性のある者として、65歳以上の高齢者等が対象となっている。

40 肺炎球菌のワクチンは、インフルエンザワクチンと同月に接種が可能である。

〇季節型インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを両方接種することでより高い肺炎予防効果が得られる。同月に摂取することも可能である。

41 慢性閉塞性」肺疾患(COPD)の場合には、呼吸機能が低下しているため、肺炎球菌ワクチンの接種は禁忌である。

×推奨されているので間違い。

42 介護サービス事業者は、利用者がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)保菌者であることを理由に、サービスの提供を拒否してはいけない。

〇症状の安定している高齢者施設の入所者などがMRSAの感染症を引き起こす確率は極めて低く、MRSAを保菌しているからといって、隔離したり、入所制限をするなど特別な対応をとる必要はないとされている。

43 MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染者に対しては、処置前後に、流水と石鹸での手洗いや消毒を行う。

MRSA感染者については、ケア時に流水と石鹸での手洗いや消毒を励行する。

44 介護保険施設の従事者は、自ら感染源とならないよう、予防接種を受けることが大切である。

45 敗血症の主な症状は、高熱、悪寒、ショック状態などである。

46 流行性耳下腺炎は飛沫感染と関係がある

47 感染症を予防するためには、感染源の排除、感染経路の遮断、宿主の抵抗力の向上が重要である。

48 手袋を使用すれば、使用後の手指衛生は必要ない。

×手袋をしても使用後の手指衛生は必要

49 肝がんの90%以上は、アルコール性肝炎から進展する。

×わが国ではB型・C型肝炎ウイルス感染が原因で生じる肝がん(肝細胞癌)が90%を占めており、特に最近では全体の70%はC型肝炎ウイルス感染がその原因となっている。その他、アルコール性肝障害や非アルコール性脂肪性肝炎が原因のものもある。

50 介護施設で集団感染を起こしやすい感染症には、C型肝炎や麻しんがある。

×C型肝炎は感染はするが、集団感染に発展する可能性の少ない感染症である。麻しんは空気感染で感染力が強く、集団感染の可能性もあるが、今年の夏の終わりから秋口にかけて、関西国際空港で集団感染が判明するまで、国内では排除状態で、発生は成人の輸入感染が中心であり、介護施設で集団感染を起こしやすいとまでは言えない。

51 ヘリコバクター・ピロリ菌に感染していると、胃潰瘍は治りにくかったり再発したりする。

〇胃潰瘍はピロリ菌に感染している場合や、胃がんによる潰瘍の場合は、治りにくかったり、再発したりするため、注意が必要である。

52 ノルウェー疥癬は、感染力が非常に強いので、一定期間の個室での管理が必要である。

〇集団感染を防ぐため、ノルウェー疥癬は感染力が非常に強いので一定期間での個室管理が必要である。

53 ウイルス感染により引き起こされる肝がんは、終末期であっても介護保険の特定疾病には該当しない。

×ウイルス感染かどうか、肝臓かどうかにかかわらず、末期がんは特定疾病の対象である。

54 感染予防として、高齢者は、一般的に感染症に対する抵抗力が低下していることを前提とする。

55 感染予防について手洗いでは、指先、指の間、親指、手首を洗い忘れないようにすることが基本となる。

56 感染予防として、手洗いでは指先指の間、親指で首を洗い忘れないようにすることが基本となる。

57 感染予防について手指消毒の方法としては、流水、石けん、アルコール製剤等によるものがある。

58 感染予防についてあらゆる人の血液、体液、分泌物、創傷のある皮膚、粘膜には感染性があると考えて取り扱うのが、標準予防策の基本である。

59 感染予防として、症状のある人だけマスクを着用して感染予防に努めれば良い。

×予防の観点から症状がなくても感染しないようにマスク着用は必要 

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