保健医療(褥瘡)

 

@褥瘡の発生要因

・褥瘡→褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうこと。

・自分で体位変換ができず長期間寝たきりで、栄養状態が悪い、皮膚が弱くなっている(高齢者、排泄物や汗により皮膚のふやけがある、むくみが強い、抗がん剤やステロイドなど薬の副作用で免疫力が低くなっている)人が、圧迫だけでなく摩擦やずれなどの刺激が繰り返されている場合は褥瘡になりやすい。

 

A褥瘡の発症部位

・仙骨部  足部 腰部大転子部  下腿部 胸腰椎部

・褥瘡4段階→T表皮にとどまる U真皮に達する V脂肪組織に達する W筋肉ないし骨組織に達する

 

B褥瘡の予防

1.体位変換の方法と時間間隔 2.体圧分散寝具 3.栄養 4.スキンケア

 

C褥瘡の治療

・ドレッシング材(被覆材)を傷に貼ることにより、傷を保護し、適度な湿り気を保つことができます。急性期は、傷を毎日観察する必要があるため、はがしやすく透明なドレッシング材(被覆材)を使用します。

・ぬり薬による治療→傷の保護、感染の抑制、滲出液(しんしゅつえき:傷から出る黄色い体液)や膿(うみ)の吸収、水分の補給などの作用をもつ多数のぬり薬があります。しかし、これらを全て兼ねそなえた万能のぬり薬は存在しません。傷の状態に適したぬり薬を選ぶことが大切です。

 

褥瘡に関する過去問題をピックアップ

1エアーマット等の除圧効果のある予防用具を用いた場合には、体位変換を行う必要はない。

×褥瘡に対してはエアーマット等の予防用具を用いた場合でも、定期的な体位変換(例えば2時間ごと)が必要である。

2褥瘡の発生を促す全身性因子には、低栄養、知覚麻痺、意識障害、失禁などがある。

3褥瘡がある場合には、症状が悪化するため、入浴は避ける。

×入浴は原則的に可能である。入浴することで血行が良くなり、皮膚も清潔になる。ただし、浴槽に入る場合は、褥瘡の状態によってドレッシング材が必要になるなど、医療職との連携が欠かせない。

4褥瘡は、一般に感染を伴うことが多く、敗血症の原因となることもある。

5再発や新たな部位への発生を予測するためには、褥瘡のリスクアセスメントを行うことが有効である。

6褥瘡は、大転子部には発症しにくい。

×大転子部は褥瘡の好発部位である。

7身体の清潔の援助は、全身の皮膚を観察し、早期に褥瘡を発見する機会となる。

〇特に好発部位については十分に観察し、褥瘡の発生を見落とさないようにすることが重要である。

8褥瘡ケアは、訪問看護師などの専門職が行うため、介護者に対する教育は必要ない。

×褥瘡を予防するためには、褥瘡の発生要因を介護によって取り除くことが重要であり、そのためには介護者が知識や技術を有していることが求められるため、介護者に対する教育は必要である。

9褥瘡予防のための皮膚のマッサージを行う際には、血液の循環を促すため、発赤部位について特に丁寧に行う必要がある。

×褥瘡予防において皮膚のマッサージは効果的であるが、発赤部分のマッサージは避けなければならない。

10感覚障害のある在宅療養者は、褥瘡が生じやすい。

〇他に、認知症などのため自分で動こうとしない人や尿・便失禁のある人、痩せている人などに生じやすい。

11車いすを利用し、姿勢維持が困難な者には、皮膚や軟部組織にかかる圧力やずれを減らすため、円座を使用する。

×円座は体圧分散効果が期待できないため、褥瘡予防のために用いるのは不適切である。

12褥瘡がある場合には、出血や感染の危険があるので、入浴は褥瘡が治るまで延期する。

×褥瘡の改善のためにも、入浴や清拭を行う。

13褥瘡の創面から滲出液などとして栄養分が失われるので、高タンパク質、高カロリーの栄養補給が必要である。

〇栄養状態の悪化は、褥瘡発生や悪化の要因となるため、高タンパク、高カロリー、高ビタミンの栄養補給に努める必要がある。

14寝たきりで関節拘縮のある場合や骨の突出部位のある場合には、特定の部位に圧力が集中し褥瘡が生じやすいので、体圧分散寝具を使用するのがよい。

〇体圧の分散や、皮膚面の摩擦を和らげたり通気性をよくする目的で、褥瘡予防用具を適切に活用することが重要となる。

15臀部に発赤ができた場合には、褥瘡と考えられるため、発赤部にマッサージを行い重症化を予防する。

×マッサージは褥瘡予防に効果的であるが、発赤部のマッサージは避けなければならない。

16尿失禁、便失禁は、仙骨部褥瘡の感染のリスクを高め、治癒を妨げるので、汚染時の清潔ケアを欠かすことができない。

〇尿失禁や便失禁による不潔・湿潤は、褥瘡発生や悪化の要因となるため、通気性のよいおむつを使用したりそのつど清拭するなど、失禁対策が重要である。

17エアーマット等除圧効果のある予防用具を用いた場合には、体位変換を行う必要はない。

×体重による圧迫を除去するために、寝ている場合は原則として2時間ごとに体位交換を行う。併せて、除圧効果のある予防用具(エアーマット、スポンジマットレスなど)を使用する。

18在宅の要介護者で真皮を越える深さの褥瘡がある場合には、介護保険の訪問看護における特別管理加算の対象となる。

〇真皮を越える褥瘡は訪問看護の特別管理加算が算定できる。ただし医療保険で算定する場合は算定できない。

19 褥瘡がある場合には、入浴により末梢血流量が増加し、症状が悪化するため、入浴は避ける。

×入浴は、可能である。入浴は皮膚を清潔にし、血液の循環をよくするので褥瘡の治療や予防に効果的である。

20 感覚障害を有する者は、褥瘡が生じやすい。

〇麻痺などのため自分で寝返りができない人、腰を上げられない人、動かせない人など感覚障害を有する者は、同じところに一定以上の圧力が持続的に加わるため、褥瘡が生じやすい。

21浮腫がある場合は、皮膚が引き伸ばされて薄くなるため傷つきやすくなり、褥瘡のリスクが高くなる。

〇皮膚が弱くなっていると、少しの圧迫やズレでも褥瘡を容易に発生する。浮腫は皮膚の耐久性が低下し、炎症や循環障害により発生する浮腫によっても皮膚組織は薄くなり、傷ができやすくなり、褥瘡のリスクが高くなる。

22 仙骨部の皮膚が赤くなるのは褥瘡の前触れである。

○この皮膚部分をこすると皮膚を痛め悪化するので洗い流すだけにしたほうがいいです。

23 褥瘡は仙尾骨・踵骨部などに好発する。この他に肘や踵(かかと)、肩甲骨周辺などにも褥瘡(じょくそう)ができるので、注意して観察する。

24 褥瘡の発生が疑われるような発赤があるときは,その部位のマッサージは禁止する。

○褥瘡のない健常部分をマッサージすることには全く問題ありませんが褥瘡のできている部分はマッサージにより再生中の皮膚がダメージを受けますのでマッサージは控えましょう。

25 褥瘡を予防するためには,除圧,清潔,栄養(高カロリー食)、体位変換などが大切である。体位変換は約2時間おきを目安とすると有効である。

26 褥瘡がある場合は、高蛋白質、高カロリーの栄養補給が必要である。

27 褥瘡とは、体外からの圧力による皮膚の血流障害により、細胞が壊死してしまう状態をいう。

28 半座位や座位では、肩甲骨部には発生しない。

×発生する

29 発生要因には、病気や加齢による身体組織の耐久性低下がある。

30 同一部位への長時間にわたる圧力を減少させるためには、体圧分散用具を用いるとよい。

31 指定介護老人福祉施設において、褥瘡マネジメント加算は算定できない。

×褥瘡マネジメント加算とは、特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)のご利用者様に対して国の指標に基づいた評価を行い、褥瘡のリスクを計画的に管理することで算定される加算です。 2018年(平成30年度)の介護報酬改定から導入されました。

32 廃用症候群は、身体の一部だけでなく心肺機能低下など全身状態にも影響する。

33 低栄養は、褥瘡の発生要因の一つである。

〇褥瘡が見られる場合には、高蛋白・高カロリー・高ビタミンの食事摂取を心がける必要がある。

34 高齢者は排泄物による皮膚の湿潤が加わることで、褥瘡が生じやすくなる。

35 褥瘡ができた直後から約12か月の時期を急性期と呼ぶ。

×急性期は褥瘡が発生した直後から約13週間の間を指し、褥瘡の状態がいろいろ変化していく時期

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