保健医療(バイタルサイン)
バイタルサイン主な成人正常値
体温 36.0〜37.0℃
脈拍 60〜90回/分
血圧 130/85mmHg未満
呼吸 12〜30回/分
@体温
・測定方法→側臥位をとっている場合は、上側で測定し、麻痺がある場合は健側を測定部とします。体温計を上腕の前方下方から45°くらいの角度で斜め上方に挿入し、体温計の感温部(銀色の温度を感知する部分)を腋窩(えきか)中央部に当てます。挿入したら、感温部が腋窩中央部に密着するよう反対の手で測定側の腕を押さえてもらいます。
測定終了を知らせる電子音が鳴ったら、体温計を取り出します。
・低体温→34℃以下→低栄養、甲状腺機能低下症、薬剤による影響
・高体温→37℃以上→感染症、がん、膠原病、甲状腺機能亢進症など
・発熱と熱型
*間欠熱(かんけつねつ)→急激な発熱と解熱を繰り返す。→負血症など
*弛張熱(しちょうねつ)→完全に解熱せず、微熱になってまた高熱となる→インフルエンザ・肺炎等
*回帰熱(かいきねつ)→有熱期と解熱期を繰り返す→胆道感染症等
A脈拍
・橈骨(とうこつ)動脈の1分間の拍動数(心臓の拍動数)を測定する。(血圧が低い場合は頸動脈や股動脈を測定)
・正常→60から80 100以上→頻脈 60未満→徐脈
・頻脈→感染症、甲状腺機能亢進症、脱水等を疑う
・徐脈→ジギタリス製剤などの薬剤副作用、甲状腺機能低下症等を疑う
B血圧
・血圧は、心臓が収縮して血液を押し出すときに高くなり、拡張して血液の流れが緩やかなときは低くなります。血液を押し出すときの最も高い血圧が収縮期血圧(上の血圧)、拡張して血液の流れが緩やかなときの最も低い血圧が拡張期血圧(下の血圧)です。
・高血圧の診断基準は、上は140以上、下は90以上。ただし、普通は1回だけの測定で高血圧とはせず、繰り返し測定して判断します。
・高齢者は収縮期血圧が高く拡張期血圧が低くなる傾向がある。
・高齢者は高血圧症になりやすく、また起立性高血圧も起こしやすくなる。
C意識レベル
・傾眠
軽い刺激を与えると覚醒するが、刺激がなくなると睡眠状態となることを言います。JCSスコアの10に当たります。
・昏迷
強い刺激によってのみ覚醒し、刺激がなくなると直ちに睡眠状態になります。JCSスコアの20、30に当たります。
・半昏睡
強い痛みや刺激にのみ、顔や手足が反応します。JCSスコアの100、200に当たります。
・昏睡
自発運動が全く見られない状態です。JCSスコアで300に当たります。
・その他の意識レベル評価法
ジャパン・コーマ・スケール(Japan Coma Scale:JCS)では、数字が大きいほど意識障害が重度である。
D呼吸
・高齢者の正常な呼吸数は1分間に15回〜20回
バイタルサインに関する過去問題をピックアップ
1 バイタルサインは生命の維持にかかわる最も基本的な情報をいう。
〇バイタルサインとは、体温、脈拍、血圧、意識レベル及び呼吸である。
2 意識レベルは、バイタルサインには含まれない。
×意識レベルもバイタルサインに含む。
3 感染症にかかっても、発熱しないことがある。
〇
4 脱水では、徐脈がみられる。
×脱水では頻脈がみられる。
5 除圧剤によって起立性低血圧を起こすことある。
〇
6 高齢者の不明熱では、悪性腫瘍や感染症が隠れていることがある。
〇高齢者では、原因のわからない不明熱も多いのが特徴的である。腫瘍などでもみられる。
7 心室性期外収縮は、健康な人ではみられない。
×正常な(健康な)人でも、かなり多くの人に心室期外収縮の発生が見られる。
8 血圧測定は、上腕での測定が難しい場合には、下肢で測定してもよい。
〇上肢の拘縮があり上腕での血圧測定が困難な場合には膝窩動脈や後脛骨動脈での血圧測定も行われる。
9 起立性低血圧は、飲酒や降圧剤の使用も原因となる。
〇降圧剤や利尿剤、抗うつ薬、血管拡張薬などの薬剤や飲酒なども原因になる。
10 本態性高血圧は、腎臓や内分泌の異常により血圧が高い状態をいう。
×本態性高血圧は直接の原因がはっきりしないものである。
11 低体温は、環境要因に加えて、低栄養や甲状腺機能低下症、薬剤による体温調節機能不全で起きる。
〇
12 悪性症候群は、パーキンソン病薬の内服を開始したときに出現する。
×悪性症候群は、パーキンソン病の治療薬を長期間服用している人が、急に服薬を中止した場合に生じる。
13 頻呼吸は、発熱や心不全、呼吸器疾患でみられ、徐呼吸は、糖尿病性ケトアシドーシスや脳卒中による昏睡でみられる。
〇頻呼吸とは1分間に25回以上の場合をいい、徐呼吸とは1分間に9回以下の場合をいう。
14 毎分50分未満の脈拍は高齢者ではよくみられるため、医療職に報告する必要はない。
×1分間に60回未満の徐脈では、甲状腺機能低下症や低体温症、脳障害による脳圧亢進なども考えられるため、医療職に報告する必要がある。
15 急に立ち上がったときに、ふらつきやめまいがみられる場合には、起立性低血圧を考える。
〇長期臥床後に急に立ち上がったときに起立性低血圧を生じやすい。
16 ジャパン・コーマ・スケール(Japan Coma Scale:JCS)では、数字が小さいほど意識障害が重度である。
×ジャパン・コーマ・スケールは3−3−9度方式とも言われ、T(1桁)、U(2桁)、V(3桁・最大300)とあり、数字が大きい程、意識障害が重度である。
17 3-3-9度方式(JCS)で、刺激しても覚醒しない意識レベルは1桁の点数で表現される。
×3桁の点数
4 ジャパン・コーマ・スケール(JCS)では、数値が大きいほど意識レベルが低い。
〇ジャパン・コーマ・スケールでは意識のレベルを大きくI、II、IIIの3段階に分類します。
I=刺激しなくても覚醒している状態
II=刺激で覚醒するが、刺激をやめると意識がなくなる状態
III=刺激しても意識がなく覚醒しない状態
従って数値が大きいほど意識レベルは低いことになります。
18 心不全による呼吸困難は、座位をとらせることで軽減することがある。
〇
19 心筋梗塞による痛みは、胸痛だけでなく、腹痛のこともある。
〇
20 寝たきりの高齢者が嘔吐した場合には、側臥位をとらせた方が吐物で窒息するのを防ぎやすい。
〇
21 発熱時には、直ちに解熱剤を用いて苦痛を緩和する。
×解熱剤には血圧低下や出血、腎障害、消化性潰瘍などの副作用がある。使用する場合には、必ず医師の指示のもと行う。
22 チアノーゼは、呼吸状態が悪いため血液中の酸素が欠乏し、皮膚や粘膜が紫蘭(しらん)色になることである。
〇チアノーゼは呼吸状態が悪く血液中の酸素が欠乏すると皮膚や粘膜が紫藍色になることを指す。
23 心不全により呼吸困難をきたしている場合は、起坐位又は半坐位となることで呼吸困難が軽減される。
〇心不全の呼吸困難は臥位で増強し、起坐位または半坐位となると軽減する。
24 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合は、口をすぼめて息を吸う呼吸を積極的に勧める。
×慢性閉そく性肺疾患(COPD)の場合、口すぼめ呼吸によって、呼吸が楽になる。ただし、その場合は息を吸うときでなく、息を吐くときに口をすぼめて吐くと楽になる。
25 呼吸のたびに顎であえぐような下顎呼吸が始まると、1〜2時間後に死亡することが多い。
〇下顎呼吸は呼吸のたびに顎で喘ぐような呼吸である。下顎呼吸が始まると1〜2時間で亡くなることが多いといわれている。
26 口すぼめ呼吸で息を吐くと、気管支内の圧力が高くなり、気管支の閉塞を防ぐ。
〇COPDでは呼吸をするたびに肺の中にはき出せない空気がたまって息苦しくなりますが、口をすぼめて息をはくと、気管支の内側に圧力がかかり、呼吸が速くなっても気管支のつぶれを防ぎながら、空気を効率よくはき出すことができます。
27 チェーンストークス呼吸は、睡眠時無呼吸症候群に特徴的な呼吸である。
×チェーンストークス呼吸は脳血管障害、心不全など重症の疾患時にみられ、睡眠時無呼吸の呼吸とは異なる。
28 高齢者の高血圧症では、日内変動が少なく、安定していることが多い。
×高齢者では、血圧の動揺性が著しいのが特徴である。
29 脳血栓は、血圧が低下したときに生じやすい。
〇脳血栓は、安静時や血圧が低下したときに生じやすい。
30 触診法による血圧測定は、拡張期血圧のみ測定できる。
×触診法による血圧測定では、収縮期血圧のみ測定できる。
31 高齢者の入浴に際しては、入浴前後で血圧が変動しやすいので、浴室と脱衣所の温度差を少なくする。
〇入浴時には温度変化や心臓への影響などにより血圧が変動しやすいため、浴室と脱衣所の温度差を少なくするなど、室温に注意が必要となる。
32 降圧剤の副作用には、めまいやふらつきがある。
〇降圧剤の副作用には、ふらつき、立ちくらみ、めまい、浮腫、動悸などがある。
33 徐脈は、ジギタリス製剤などの薬剤の副作用で起こることがある。
〇
34 一般に高齢者は、収縮期血圧が高くなるのが特徴である。
〇
35 稽留熱(けいりゅうねつ)では、急激な発熱と解熱を繰り返す。
×1日の体温の高低の差が1度以内の高熱が持続する熱型。 日本脳炎・結核性髄膜炎・肺炎などでみられます。
36 血圧は、160/100 mmHg 未満を目指すことが推奨されている。
×130mmHg未満(収縮期) / 85mmHg未満(拡張期)
37 1分当たりの心拍数 100以上を頻脈という。
〇