福祉サービス分野(訪問介護)
@訪問介護とは
・訪問介護は、介護福祉士(ケアワーカー)や訪問介護員(ホームヘルパー)が、被介護者(要介護者・要支援者)の自宅を直接訪問し、食事・入浴・排泄など直接身体に触れる身体介助をはじめ、掃除・洗濯・調理などの家事面における生活援助、通院時の外出移動サポートなどを行うサービスである。
・事業者→都道府県知事の指定を受けた法人が指定訪問介護事業者としてサービス提供する。(基準該当訪問事業者)
・基準該当事業所→指定サービス事業所ではなく、ゆるやかな基準を満たす事業所のことです。山間地等で指定基準を満たすことが難しい場合など
・人員基準
訪問介護員 |
常勤換算で2.5人以上 介護福祉士・介護職員初任者研修修了者・生活援助従事者研修課程修了者 |
サービス提供責任者 |
常勤の訪問介護員のうち、利用者が40人またはそその端数を増すごとに1人以上配置 |
管理者 |
常勤専従・支障なければ兼務可能 |
・設備基準→必要な広さ、相談室等を備える
・常勤換算は、「常勤職員の人数」+「(非常勤職員の勤務時間)÷(常勤職員が勤務すべき時間)」で求められる計算方法のことを言います。
計算例は覚えなくてもいいです! 参考まで
コスモス訪問介護センターの常勤者2人AさんBさん CさんDさんは非常勤という設定
就業規則による常勤の勤務時間は週40時間とします。
Aさん 週40時間
Bさん 週40時間
Cさん 週30時間
Dさん 週20時間
これを上記の式に当てはめてみると、
2+{(30+20)÷40)}=2+1.25=3.2(小数点第2位以下切り捨て)
常勤換算でコスモス訪問介護センターの常勤換算訪問介護員数は3.2人
A訪問介護の目的
省略
B訪問介護の内容
身体介護:利用者様の身体に直接触れて行うサービスのことです。(入浴や、着替え、おむつ交換など)
生活援助:利用者様の生活のお手伝いを行うサービスのことです。(掃除、洗濯、買物、食事作り、薬の受取など)
※但し、普通の生活に直接関係がないものや、日常の家事の範囲を超えているものは、介護保険のサービスを利用することができませんので注意が必要です。(介護保険サービス外の例:利用者以外の洗濯、庭の草むしりや窓ガラスの掃除、雪かきなど)
・身体介護と生活援助の区分け
身体介護 |
食事、排せつ、入浴 流動食等の調理 身体清拭、洗髪、整容 行為介助 移乗・移動介助 就寝・起床介助 服薬介助 通院・外出の介助 自立生活支援・重度化防止のための見守り 医療的ケア(痰の吸引・経管栄養) |
生活援助 |
掃除、ゴミ出し 衣類の洗濯 一般的調理・配膳や下膳 ベッドメイク 買い物 薬の受け取り |
C身体介護における医療行為
・一定の条件下で痰の吸引や経管栄養が実施できる。
・医療行為ではない行為
バイタルチェック |
体温や血圧測定 |
医薬品介助(一定条件) |
軽度の傷、やけど処置 |
その他 |
爪切り、口腔ケア、耳掃除 |
D訪問介護の運営基準
訪問介護計画 |
サービス提供責任者 訪問介護計画作成 説明・同意・交付 |
サービス提供責任者の責務 |
訪問介護計画の作成 利用者状態等の把握 その他 |
管理者の責務 |
事業所従業者管理等 |
介護などの総合的な提供 |
身体介護、生活援助のうち特定の行為に偏らない |
同居家族への訪問介護禁止 |
介護員の同居家族に対する訪問介護禁止 |
不当な働きかけ禁止 |
必要のないサービスの働きかけ |
E訪問介護の介護報酬
・基本報酬区分
1身体介護中心(4区分) →時間区分ごと
2生活援助中心(2区分) →時間ごとに
3通院等の介助 →1回につき算定
・主な加算
夜間・早朝・深夜のサービス提供 |
訪問介護員2人が1人の利用者介護 |
特定事業所加算(質の高い人材、中度、重度者対応 |
生活機能向上連係 |
初回加算(新規利用者) |
緊急時訪問介護加算 |
訪問介護に関する過去問題をピックアップ
1 訪問介護事業所と同一敷地内にある建物の居住者に対して訪問介護を提供した場合には、介護報酬は減算される。
2 耳式電子体温計により外耳道で体温を測定することは、医療行為に当たるため、訪問介護員が行うことはできない。
×水銀体温計・電子体温計により腋下で体温を計測すること、および耳式体温計により外耳道で体温を測定することは、医療行為に当たらず
3 訪問介護計画において計画的に訪問することとなっていない身体介護を訪問介護員が緊急に行った場合には、所定の単位を加算できることがある。
〇
4 サービス提供責任者については、専従する常勤のものであれば、特段の資格要件はない。
×サービス提供責任者は、介護福祉士、実務者研修修了者、旧介護職員基礎研修修了者、旧訪問介護員養成研修1級課程修了者という資格要件がある。
5 新規に訪問介護計画を作成した利用者に対してサービス提供責任者が初回の訪問介護に同行した場合には、所定の単位を加算できる。
6 利用者が家族と同居しているときは、いかなる場合でも生活援助を利用することはできない。
×利用者が一人暮らしであるか家族等が障害や疾病、その他やむを得ない事情により家事が困難な場合に利用できることとなっている。
7 サービス提供責任者は、利用頻度の低い利用者に対しては、訪問介護計画を作成しなくてもよい。
×サービス提供責任者は、利用者の日常生活全般の状況及び希望をふまえて、訪問介護計画を作成しなければならないとされており、利用頻度が低い場合であっても作成は義務である
8 訪問介護事業者は、訪問介護員に身分を証する書類を携行するように指導しなければならない。
〇
9 訪問介護事業者は、サービスを提供している地域以外からの利用申込者に対してサービスを提供できない場合には、適切な事業者の紹介などを行わなければならない。
10 訪問介護事業者は、利用者の要望に応えるために、居宅サービス計画にないサービスも、適宜、提供しなければならない
×指定訪問介護事業者は、居宅サービス計画に沿った指定訪問介護を提供しなければならない。
11 訪問介護では利用者と一緒に手助けをしながら行う調理は、生活援助として算定する。
×利用者の日常生活動作能力(ADL)や意欲の向上のために、利用者とともに行う自立支援のためのサービスは身体介護として算定する。
12 訪問介護ではゴミ出しは、生活援助として算定する。
〇
13 訪問介護では利用者不在のベッドでのシーツ交換は、生活援助として算定する。
14 訪問介護では自立生活支援のための見守りは、生活援助として算定する。
×自立生活支援のための見守り的援助は身体介護として算定する。
15 訪問介護では服薬介助は、身体介護として算定する。
〇
16 訪問介護では家具の修繕は、生活援助として算定する。
×家具の修繕は「日常生活の援助」に該当せず、算定できない。
17 訪問介護では利用者以外の家族の衣類の洗濯は、生活援助として算定する。
×利用者以外の家族の衣類の洗濯は、「直接本人の援助」に該当せず、算定できない。
18 訪問介護ではストマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てることは、身体介護として算定する。
〇
19 訪問介護では人の利用者に対して同時に2人の訪問介護員がサービスを提供しても、2人分の訪問介護費は算定できない。
×同時に2人の訪問介護員等が1人の利用者に対して訪問を行った際は、所定単位数の200/100の単位数を算定できる。
20 訪問介護では処方薬の受け取りは、生活援助として算定する。
21 訪問介護について要介護1又は2の利用者については、いかなる場合でも20分未満の身体介護中心型の単位を算定することはできない。
× 20分未満の身体介護中心型は、平成27年度に算定要件の見直しがありました。右記が利用対象者の条件です。「要介護1から要介護2の者であって認知症の利用者、または要介護3から要介護5の者であって障害高齢者の日常生活自立度ランクB〜Cの利用者」 とあるので間違い
(2919年5月7日解説変更しました)
22 訪問介護について利用者が飼育している猫の世話は、生活援助として算定する。
×利用者が飼育している猫の世話は、生活援助に該当しない。
23 訪問介護について嚥下障害のある利用者への流動食の調理は、身体介護として算定する。
〇
24 訪問介護について午後10時から午前6時までの時間に訪問介護サービスを行った場合には、1回につき所定単位数の100分の50を加算する。
〇
25 訪問介護について買物の際に、車いすで移動しながら本人が品物を選べるようにする支援は、生活援助として算定する。
26 訪問介護事業所と同一の建物に居住する利用者に対して訪問介護を行った場合は、 所定単位数の100分の100で算定する。
×事業所と同一建物内に居住する利用者に対して訪問介護を行った場合には、 所定単位数の100分の90で算定する。
27 訪問介護では通院のための乗車又は降車の介助が中心である場合は、 1回につき所定単位数を算定する。
〇
28 訪問リハビリテーションの際にサービス提供責任者が同行し、 利用者の身体の状況等を理学療法士等と共同で評価して訪問介護計画を作成し、 それに基づき訪問介護を行った場合は、 所定単位数を加算する。
29 訪問介護事業所と同一の建物内に居住する複数の利用者に対して定期的に安否を確認するための訪問は、 20分未満の身体介護中心型として算定する。
×単なる安否確認は、 訪問介護のサービス内容として認められないため、 報酬は算定できない。
30 訪問介護では利用者の来客への応接は、 生活援助として算定する。
×来客への応接は、 訪問介護のサービス内容として認められない。
31 訪問介護員等が生活援助として買い物を行う場合は、利用者宅に訪問するための移動中に商品を購入することもできる。
〇
32 訪問介護で嚥下困難者のための流動食の調理は、生活援助として算定する。
×嚥下困難者のための流動食や糖尿食等の調理のように、特段の専門的配慮を要する場合がこれに該当し、身体介護として算定
33 訪問介護で安否確認のための訪問は、20分未満の身体介護中心型として算定できる。
×20分未満の身体介護中心型の算定要件の留意点として、単なる見守り・安否確認のみのサービスによる算定は認めないとされる。
34 訪問介護での利用者が飼育している犬の散歩は、介護保険給付の対象外である。
〇
35 軽微であってもやけどの処置は医療行為となるため、訪問介護員が行ってはならない。
×軽微なやけどの処置は、厚労省より示された医療行為に該当しないものとして、訪問介護員など介護職が身体介護として行うことができる。
36 訪問介護員は利用者の生活実態や要望等多くの情報を持っているので、その情報を介護支援サービスに活用することが期待される。
〇
37 訪問介護での衣類の整理や被服の補修は、生活援助に含まれる。
〇
38 訪問介護での一人暮らしの利用者に対して正月のために特別な手間をかけて行う調理は 生活援助に含まれる。
×正月のために特別な手間をかけて行う調理は、日常的に行われる家事の範囲を超える行為として、生活援助には不適切であり、一人暮らしとは関係なく、介護保険給付対象外である。
39 訪問介護では利用者が訪問介護員に業務連絡を超えるかもしれない要求をした場合には、介護支援専門員と相談して対応する。
〇
40 利用者のペットの世話は生活援助として算定する。
×算定できない
41 訪問介護で自動血圧測定器により血圧を測定することは、医行為に当たらないため、訪問介護員が行うことができる。
〇以下の行為は、医療行為ではないとされています。
・ 体温測定
・ 血圧測定(自動血圧測定器)
・ パルスオキシメータの装着
・ 軽微な切り傷・擦り傷・やけど等の処置
・ 一定条件下での医薬品の使用の介助
・ つめ切り・やすりがけ
・ 日常的なオーラルケア
・ 耳垢の除去
・ ストマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てること
・ 自己導尿の補助のためのカテーテル準備、体位の保持など
・ 市販の使い捨て浣腸器による浣腸
42 訪問介護では利用者が大切にしている花木の水やりは、短時間であれば、生活援助として算定される。
×食事の準備(調理・配膳など)、掃除・洗濯・ゴミ出し、日用品などの買い物代行、服の補修、部屋の片づけ・整理整頓などが挙げられます。
しかし、訪問介護は家事代行ではないため、他の家族の部屋掃除やペットの散歩、来訪者への接客など、被介護者以外の人に向けての世話は対象に含まれません。
43 訪問介護ではゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別し、ゴミ出しのルールを理解してもらうよう援助することは、生活援助として算定される。
×食事の準備(調理・配膳など)、掃除・洗濯・ゴミ出し、日用品などの買い物代行、服の補修、部屋の片づけ・整理整頓などが挙げられます。
しかし、訪問介護は家事代行ではないため、他の家族の部屋掃除やペットの散歩、来訪者への接客など、被介護者以外の人に向けての世話は対象に含まれません。
44 訪問介護ではボタン付け等の被服の補修は、生活援助として算定される。
〇食事の準備(調理・配膳など)、掃除・洗濯・ゴミ出し、日用品などの買い物代行、服の補修、部屋の片づけ・整理整頓などが挙げられます。
しかし、訪問介護は家事代行ではないため、他の家族の部屋掃除やペットの散歩、来訪者への接客など、被介護者以外の人に向けての世話は対象に含まれません。
45 訪問介護では配剤された薬をテーブルの上に出し、本人が薬を飲むのを手伝うことは、身体介護として算定される。
〇身体介助は、介護職員が家庭を訪問して、被介護者の身体に直接触れながら行う介護サービスです。
具体的には、食事中の手伝いや見守りを行う「食事介助」、お風呂に入る際の手助けや洗髪、身体の清拭の世話をする「入浴介助」、車椅子や車への乗り降りなどの手伝いを行う「移乗介助」、おむつ交換などの「排泄介助」、床ずれ(褥瘡)予防や防止のために体位を変える「体位変換」などが挙げられます。その他にも、「衣類着脱介助」「散歩補助」「口腔洗浄」など、被介護者の身体や精神状態に対応したケアを行います。