第15回介護支援専門員試験問題・解答
介護支援分野(問題1〜25)

問題1  要介護者等を取り巻く状況について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.国民健康保険中央会発表(平成2310月分)によると,85歳以上の者のおおむね2人に1人が要支援・要介護認定を受けている。

2.国民健康保険中央会発表(平成2310月分)によると,要支援・要介護認定を受けた者は高齢者人口の17.2%である。

3.国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成241月推計)」によると,今後,後期高齢者の増加が著しいと見込まれている。

4.国民生活基礎調査(平成22年)によると,要支援者のいる世帯は三世代世帯が最も多い。

5.近年の人口の都市集中化現象により,子との同居率は高まっている。

解答1,2,3

1国民健康保険中央会発表(平成2310月分)によると、要支援・要介護認定を受けた85歳以上は57.7%と2人に1人が日常生活を送るうえで何らかの支援を必要とする状態になっている。

2国民健康保険中央会発表(平成2310月分)によると、要支援・要介護認定を受けた認定者数は531万人で、高齢者人口の17.9%である。

3平成241月に公表した「日本の将来推計人口」によると、20203612万人(29.1%)、2030年には3685万人になるものと予測され、なかでも要介護状態となる危険性の高い75歳以上の後期高齢者の増加が著しいのが特徴的である。

4国民生活基礎調査(平成22年)によると、要支援者のいる世帯は単独世帯が最も多い。

5都市部への人口の集中化により家族の形態は多世代が同居する大家族から核家族へと変容した。65歳以上の高齢者の子との同居率は、1980年には69.0%であったが、2006年には43.9%にまで低下し、今後さらに低下すると見込まれている。

 

問題2 介護保険の国の事務について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.指定居宅介護支援事業の人員・運営基準の設定

2.要介護認定不服審査基準の設定

3.居宅介護サービス費等種類支給限度基準額の設定

4.居宅介護サービス費等区分支給限度基準額の設定

5.第2号被保険者負担率の設定

解答1,4,5

2の要介護認定不服審査は各都道府県に設置される介護保険審査会が行うが、審査会は市町村の行った処分に対する不服申立の審理・裁決という事務を、中立性・公平性に基づき自らの判断と責任において執行するため、職務執行上の独立性において知事の指揮監督を受けるものではないとされる。3の「居宅介護サービス費等種類支給限度基準額の設定」は保険者の責務であり、市町村が条例により規定する。介護保険法(以下、法)第43条第5項等。

 

問題3 保険者における介護保険の会計について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.介護保険に関する収入及び支出については,特別会計を設けなければならない。

2.特別会計は,保険事業勘定と介護サービス事業勘定に区分する。

3.特別会計の運営は,介護保険法や地方自治法などの諸規定に従って行う。

4.財政安定のため,都道府県に委託して行うことができる。

5.町村にあっては,一般会計の中で行うことが認められている。

解答1,2,3

1市町村及び特別区は、介護保険に関する収入及び支出について、政令で定めるところにより、特別会計を設けなければならない。法第3条第2項。

2特別会計は保険事業勘定及び介護サービス事業勘定に区分しなければならない。介護保険法施行令(以下、施行令)第1条。

3特別会計の運営は、介護保険法および関係政省令のほか、地方自治法、地方財政法およびこれらに基づく命令に定める市町村の財務運営に関する諸規定により行われる。

4介護保険の会計は市町村が行うこととなっており、都道府県への委託は認められていない。

5町村にあたっても、一般会計で行うことはなく、特別会計が設けられる。

 

問題4 社会保険について正しいものはどれか。2つ選べ。  

1.介護保険は,職域保険に位置づけられる。

2.厚生年金保険は,被用者保険に位置づけられる。

3.労働者災害補償保険は,社会保険ではない。

4.医療保険は,業務外の事由による疾病,傷病等を保険事故とする。

5.医療保険の被用者保険の保険者は,全国健康保険協会及び健康保険組合のみである。

解答2,4

1介護保険は、市町村の区域に着目して区域内の住民を被保険者として市町村を保険者としているため「地域保険」に位置づけられる。

2厚生年金保険は、対象とする被保険者の種類(使用関係の有無)により「被用者保険」に位置づけられる。

3社会保険は労働者災害補償保険、医療保険、年金保険、雇用保険、介護保険に分類される。

4医療保険は業務外の事由による疾病、傷病等を保険事故として、医療の現物給付(医療サービスの提供)を主に行う。

5医療保険の被用者保険の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合以外にも、船員保険や国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合等がある。

 

問題5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護について正しいものはどれか。2つ選べ。

1.提供するサービスは,定期巡回サービス,随時対応サービス及び訪問看護サービスの3つである。

2.主冶の医師が認めた居宅要介護者以外は,給付対象とならない。 

3.「介護・看護一体型」の場合には,理学療法士,作業療法士又は言語聴覚士を事業所に配置することができる。 

4.訪問看護サービスを行うのは,看護師に限られる。 

5.入浴の介護も行うことができる。

解答3,5

1提供するサービスは、定期巡回サービス、随時対応サービス、訪問看護サービスと随時訪問サービスの4つである。地域密着型サービス運営基準基本方針第3条の3

2訪問看護サービス提供の開始に際し、主治の医師による指示を文書で受けなければならないが、その他のサービスには主治医の規定はない。運営基準第3条の23

3訪問看護サービスを行う看護師等は、保健師、看護師または准看護師について常勤換算で2.5人以上とされ、うち1人以上は常勤の保健師または看護師で、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士については、実情に応じた適当数と人員基準に規定される。なお、この基準は一体型定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業の場合のみ適用される。

4人員基準により看護師以外にも保健師や准看護師等によりサービスの提供がなされる。

5定期的な巡回または随時通報によりその者の居宅を訪問し、入浴、排泄、食事等の介護、日常生活上の緊急時の対応その他、安心してその居宅において生活ができるようにするための援助を行うと規定されている。基本方針第3条の2

 

問題6 指定都市・中核都市以外の市町村が指定する事業者が提供するサービスとして正しいものはどれか。3つ選べ。

1.居宅療養管理指導

2.認知症対応型共同生活介護

3.地域密着型特定施設入居者生活介護

4.福祉用具貸与

5.定期巡回・随時対応型訪問介護看護

解答2,3,5

市町村の長が指定する事業者は、指定地域密着型サービス事業者、指定地域密着型介護予防サービス事業者、指定介護予防支援事業者である。このうち234は指定地域密着型サービス事業者である。なお、14は指定居宅サービス事業者であり、都道府県知事の指定が必要である。

 

問題7 介護保険法上の指定申請が必要のない居宅サービスとして正しいものはどれか。2つ選べ。

1.診療所が行う訪問介護

2.薬局が行う訪問看護

3.病院が行う通所介護

4.診療所が行う訪問リハビリテーション

5.薬局が行う居宅療養管理指導

解答4,5

介護保険上の指定申請の必要がなくサービス提供ができる指定居宅サービス事業者の特例がある。病院、診療所、薬局については、健康保険法による保険医療機関、保険薬局の指定等を受けた場合には、別段の申出のない限り、これらの施設が当然に提供し得る一定の居宅サービス(病院・診療所については居宅療養管理指導・訪問看護・訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション、薬局については居宅療養管理指導のみ)につき、指定居宅サービス事業者の指定があったものとみなす。法第71条。

 

問題8 介護保険施設について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.介護老人福祉施設の指定を受けるためには,老人福祉法上の特別養護老人ホームの設置認可を別途受けている必要がある。

2.介護老人福祉施設は,市町村への届け出により施設の廃止ができる。

3.介護老人保健施設は,都道府県知事から開設の許可を受けたものである。

4.介護老人保健施設の開設者には,社会福祉法人も含まれる。

5.介護老人保健施設の開設許可は,医療法に基づき行われる。

解答1,3,4

正解は…134

1指定介護老人福祉施設は、特別養護老人ホームとして認可されている施設が都道府県知事に指定申請をし、指定されて初めて指定施設になる。

2指定介護老人福祉施設については、事業の廃止の届出ではなく、1カ月以上の予告期間を設けて、指定の辞退ができることとされている。法第91条。

3介護老人保健施設を開設しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならないと定められている。法第94条第1項。

4介護老人保健施設の開設者は、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人、その他厚生労働大臣が定めた者(国、日本赤十字社、健康保険組合、共済組合等)とされている。法第94条第3項第1号。

5介護老人保健施設は、介護保険施設の中で、介護保険法に基づいて設置される唯一の施設である。

 

問題9 介護保険事業計画について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.計画期間は,5年を1期とする。

2.市町村介護保険事業計画では,医療との連携に関する事項を定めるよう努めるものとされている。

3.市町村介護保険事業計画では,高齢者居住安定確保計画と一体のものとして作成されなければならない。

4.都道府県介護保険事業支援計画では,介護支援専門員の資質の向上に資する事業を定めるよう努めるものとされている。

5.都道府県介護保険事業支援計画は,都道府県地域福祉支援計画と調和が保たれたものとして作成されなければならない。

解答2,4,5

1市町村は、国の基本指針に即して、3年を1期とする市町村介護保険事業計画を策定する。法第117条第1項。都道府県は、介護保険給付の円滑な実施を支援するため、市町村と同じく、基本指針に即して、3年を1期とする都道府県介護保険事業支援計画を策定する。法第118条第1項。

2医療との連携に関する事項は、市町村介護保険事業計画において定めるよう努める事項に規定される。法第117条第3項。

3高齢者居住安定確保計画と一体ではなく、調和が保たれたものでなければならないのは、都道府県介護保険事業支援計画である。法118条第6項。

4都道府県介護保険事業支援計画では、介護支援専門員その他の介護給付等対象サービス及び地域支援事業に従事する者の確保または資質の向上に資する事業に関する事項を定めるよう努めるものとする。法第118条第3項第3号。

5都道府県介護保険事業支援計画は、社会福祉法に規定する都道府県地域福祉支援計画と調和が保たれたものでなければならない。法第118条第6項。

 

問題10 国民健康保険団体連合会の行う介護保険関係業務について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.市町村から委託を受けたときの第三者行為求償事務

2.利用者から介護保険サービスに関する苦情があったときの事実関係の調査

3.介護サービス事業者に対する監督

4.介護給付費審査委員会の設置

5.介護給付費交付金の交付

解答1,2,4

1第三者行為求償事務は、具体的には市町村が第三者行為により保険給付を行ったときに第三者に対して取得する損害賠償請求権にかかる損害賠償金の徴収・収納の事務を、市町村から委託を受けて行う。法第176条第2項第1号。

2国民健康保険団体連合会(以下、国保連)は、苦情処理業務として、利用者等からの苦情を受け付けて事実関係の調査を行い、その結果改善の必要が認められる場合には、事業者・施設に対して指導・助言を行う。

3国保連は、介護サービス事業や介護保険施設の運営ができるが、介護サービス事業者に対する監督は行わない。法第176条第2項第2号。

4国保連は、介護給付費請求書の審査を行うため、介護給付費審査委員会を設置する。法第179条。

5介護給付費交付金は、社会保険診療報酬支払基金が医療保険者から納付された納付金から所要額(介護給付費等の第2号被保険者負担割合(平成24年−26年度は29%)分)を、各市町村に交付する。法第125条。

 

問題11 地域支援事業の包括的支援事業について正しいものはどれか。2つ選べ。

1.定期巡回・随時対応型訪問介護看護を行う。

2.介護給付及び予防給付に係る費用の適正化を図る。

3.被保険者を対象に総合相談支援を行う。

4.被保険者を対象に虐待の防止及び早期発見を行う。

5.家族に対して介護方法の指導を行う。

解答3,4

1定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、地域密着型サービスに該当し、保険給付される。

2介護給付等に要する費用の適正化のための事業は、任意事業に位置づけられる。法第115条の453項第1号。

3包括的支援事業において、(1)介護予防ケアマネジメント業務、(2)総合相談支援業務、(3)権利擁護業務、(4)包括的・継続的ケアマネジメント支援業務の4つの業務を地域において一体的に実施する役割を担う中核的拠点として設置されたのが地域包括支援センターである。法第115条の451項。

4高齢者虐待の対応は、包括的支援事業のひとつである権利擁護業務である。

5介護方法の指導その他の要介護被保険者を現に介護する者の支援のための必要な事業は、任意事業に位置づけられる。法第115条の453項第2号。

 

問題12 介護サービス情報の公表制度について正しいものはどれか。2つ選べ。

1.指定情報公表センターの指定は,市町村が行う。

2.公表する介護サービス情報には,事業所の運営方針が含まれる。

3. 介護サービス事業者は,介護サービスの提供を開始するときは,介護サービス情報を都道府県知事に報告しなければならない。

4.市町村長は,介護サービス情報の報告に係る調査事務を指定調査機関に行わせることができる。

5.介護サービス事業者が個人情報保護のために講じている措置は,公表すべき事項に含まれない。

解答2,3

1指定情報公表センターの指定は、都道府県の区域ごとに、その指定を受けようとする者の申請により、当該都道府県知事が行う。法第115条の422項。

2事業所の運営方針のほか、事業者及び事業所の名称やサービス従業者に関する情報、介護サービスの内容・提供実績、苦情対応窓口の状況、利用料等に関する事項などが公表すべき情報とされる。施行規則第140条の45

3介護サービスを行う事業者・施設(介護サービス事業者)は、介護サービスの提供を開始するとき、その他厚生労働省令で定めるときは、介護サービス情報を都道府県知事に報告しなければならない。法第115条の351項。

4都道府県知事は、介護サービス情報の報告の調査について、調査事務を都道府県ごとに指定する指定調査機関に行わせることができる。法第115条の361項第2項。

5公表すべき事項として、情報管理・個人情報保護のために講じている措置も含まれている。施行規則第140条の45

 

問題13 要介護認定について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.要介護状態とは,基本的な日常生活動作について介護を要する状態が3月以上継続すると見込まれる場合をいう。

2.介護保険の被保険者証が未交付の第2号被保険者は,医療保険の被保険者証等を提示して申請する。

3.要介護認定の効力は申請のあった日に遡って生ずる。

4.認定又は非該当の決定等は,申請日から60日以内に行わなければならない。

5.有効期間満了前でも,要介護状態区分の変更の認定の申請を行うことができる。

解答2,3,5

1厚生労働省令で定める期間は6カ月であり、継続して常時介護を要すると見込まれる状態である。法第7条。

2第2号被保険者で認定申請時までに被保険者証の交付を受けていないもの(被保険者証未交付第2号被保険者)については、医療保険の被保険者証等を提示して申請を行う。施行規則第35条第1項、第2項。

3認定の遡及効。したがって、認定申請時点からサービスの利用がなされていた場合についても保険給付の対象となり得る。法第27条第8項。

4認定申請に対する処分(認定・不認定の決定等)は、申請のあった日から原則として30日以内に行わなければならない。法第27条第11項。

5要介護状態の程度が大きく変化し、介護の必要の程度が現に受けている要介護認定にかかる要介護状態区分(要介護度)以外の区分に該当するようになったと認められるときには、市町村に対し、要介護状態区分の変更の認定申請をすることができる。法第29条。

 

問題14 要介護認定の手続きについて正しいものはどれか。2つ選べ。

1.指定居宅介護支援事業者は,申請を代行できない。

2.被保険者に主治の医師がないときは,市町村が指定する医師又は市町村の職員である医師の診断を受けることができる。

3.認定調査の結果及び主事の医師の意見書は,介護認定審査会に通知される。

4.介護認定審査会は,審査・判定を行った結果を申請者に通知する。

5.認定に不服がある場合には,介護保険審査会が審査及び要介護認定を行う。

解答2,3

1被保険者は、指定居宅介護支援事業者・地域密着型介護老人福祉施設・介護保険施設のうち厚生労働省令で定めるもの、または地域包括支援センターに申請手続きを代行させることができる。法第27条第1項。

2主治医がいない場合には、市町村の指定する医師またはその市町村の職員である医師の診断を受けなければならない。法第27条第3項。

3市町村は、認定調査の結果(一次判定結果)や主治医の意見書等を介護認定審査会に通知する。法第27条第4

4介護認定審査会は、市町村の求めに応じて、国(厚生労働大臣)が作成した全国一律の客観的な判定基準に従って審査・判定を行い、その結果を市町村に通知する。法第27条第5項。

5認定に不服がある場合には、介護保険審査会が不服申立の審理・裁決の事務を行う。

 

問題15 要介護認定の仕組みについて正しいものはどれか。2つ選べ。

1.判定は,市町村が定める客観的基準に基づき行われる。

2.被保険者が住所を移転した場合には,14日以内に判定をし直す。

3.職権による要介護状態区分の変更認定に必要な主治医意見書のための診断命令に被保険者が正当な理由なく従わないときは,認定を取り消すことができる。

4.介護保険審査会は,市町村に設置される。

5.介護認定審査会は,市町村に設置される。

解答3,5

1判定は厚生労働大臣が定める全国一律の客観的な基準に基づき行われる。法第27条第5項、法第32条第4項。

2転居前の市町村から発行された認定に係る事項を証明する書面を添えて、14日以内に転入先の市町村に認定申請を行った場合には、審査・判定を経ることなく認定が受けられる。法第36条。

3有効期間満了前であってもその認定を取り消すことができる。この場合には、市町村はその被保険者に対し被保険者証の提出を求め、認定にかかる記載を消除したうえで返済する。法第31条。

4介護保険審査会は、各都道府県にそれぞれ1つずつ、知事の附属機関として設置され、その都道府県の区域内に所在する市町村の行った処分に対する審査請求の事件を管轄する。法第184条。

5認定にかかる審査・判定を行う機関である介護認定審査会は、市町村の附属機関として設置される。法第14条、第15条第2項。

 

問題16 ケアマネジメントの基本理念について,より適切なものはどれか。2つ選べ。

1.利用者本位を徹底するため,要介護者等から要望のあったサービスは,すべてケアプランに盛り込む。 

2.自立支援とは,最終的にADLの自立を目指すことである。 

3.ケアチームの構成員には,インフォーマルサポートの提供者は該当しない。 

4.サービス優先アプローチではなく,ニーズ優先アプローチを行う。 

5.要介護者等の自己決定に介護支援専門員が同意できない場合は,合意が得られるよう努力する。

解答4,5

1介護保険制度は「利用者本位」の介護サービスの提供を基本理念とし、高齢者が自己決定・自己選択できるように支援していくことである。要望のあったサービスをすべてケアプランに盛り込むことではない。

2自立には(1ADLなどの身辺自立、(2)経済面での扶養等の経済的自立、(3)自分のことを自分で決めていく人格的自立がある。高齢者ケアでは、これらの3つの側面について自立の支援を行うが、自立の最終的な目的は人格的自立にあり、主体的に生きることを支援するものであり、高齢者の尊厳を支援することである。

3要介護者等は、インフォーマルサポートとフォーマルサービスを合わせて両者を利用することで質の高い生活が確保でき、両者を結びつけるチームアプローチの重要性が増している。

4介護保険制度でのケアマネジメントは、要介護者等に対してニーズをもとに相談に乗り、ニーズを社会資源に結びつけていくことが可能とされるニーズ優先アプローチを行う。

5介護支援専門員は、高齢者の自己決定と一致させていく過程のなかで、高齢者との信頼関係を深めることで、その解決の糸口を見出していく。

 

問題17 指定居宅介護支援事業者の業務について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.事業所の現員では利用申込に応じきれない場合には,サービス提供を拒むことができる。 

2.利用者からの苦情に係る改善内容は,その都度,国民健康保険団体連合会に報告しなければならない。 

3.指定居宅介護支援の提供を原因とする損害賠償を行う場合には,予め地域包括支援センターの許可を得る。 

4.利用者の選定により通常の事業実施地域以外の地域で指定居宅介護支援を行う場合には,交通費を利用者に請求できる。 

5.償還払いとなる利用者には,指定居宅介護支援提供証明書を交付する。

解答1,4,5

1指定居宅介護支援事業者は、正当な理由なく指定居宅介護支援の提供を拒んではならないが、当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合は、正当な理由にあたる。基準第5条。

2国保連からの求めがあった場合には、利用者の苦情に係る改善の内容を国保連に報告しなければならない。基準第6条。

3利用者に対する指定居宅介護支援の提供により賠償すべき事故が発生した場合には、損害賠償を速やかに行わなければならないが、地域包括支援センターの許可を得る必要はない。基準第27条第3項。

4利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅を訪問して指定居宅介護支援を行う場合には、それに要した交通費の支払いを利用者から受けることができる。基準第10条第2項。

5償還払いとなる利用者には、当該利用料の額等を記載した指定居宅介護支援提供証明書を交付しなければならない。

 

問題18 指定居宅介護支援事業者が市町村に通知ないし報告しなければならない場合又は事項として正しいものはどれか。3つ選べ。

1.利用者がサービス利用に対する指示に従わず,要介護状態の程度を増進させたと認められる場合

2.所属する介護支援専門員の基礎資格 

3.指定居宅介護支援の提供により利用者に事故が発生した場合 

4.居宅サービス計画に位置づけた法定代理受領サービスに関する情報を記載した文書

5.居宅介護支援台帳を作成した場合

解答1,3,4

1指示に従わず、要介護状態の程度を増進させたと認められる場合、遅延なく、意見を付してその旨を市町村に通知しなければならない。基準第16条。

2人員基準において介護支援専門員の配置は必要とされるが、その基礎資格を市町村へ通知や報告をする必要はない。

3利用者に事故が発生した場合は、速やかに市町村、利用者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。基準第27条。

4毎日、市町村(または国保連)に対し、居宅サービス計画において位置づけたものに関する情報を記載した文書を提出しなければならない。基準第14条第1項。

5個々の利用者ごとの居宅介護支援台帳は、事業所として記録の整備をしなければならないが、これに市町村への通知や報告についての規定はない。基準第29条第2項。

 

問題19 指定居宅介護支援について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.サービス担当者会議において利用者の家族の個人情報を用いる場合は,その家族の同意を文書で得ておかなければならない。 

2.居宅サービス計画に認知症対応型通所介護を位置づける場合は,利用者の主治の医師等の意見を求めなければならない。 

3.居宅サービス計画に短期入所生活介護を位置づける場合は,原則として利用する日数が要介護認定有効期間のおおむね半数を超えないようにしなければならない。 

4.居宅サービス計画に福祉用具貸与を位置づける場合は,当該計画にそれが必要な理由を記載しなければならない。 

5.特定福祉用具販売の給付は,居宅サービス計画に位置づけなくてもよい。

解答1,3,4

1サービス担当者会議等において、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ておかなければならない。基準第23条。

2介護支援専門員は、利用者が医療サービスの利用を希望している場合、その他必要な場合には、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならないが、認知症対応型通所介護は、地域密着型サービスのため、これに該当しない。基準第13条。

3利用日数にかかる目安については、機械的な適用を求めるものでないため、この目安を超えて利用が特に必要と認められる場合には、これを上回る日数を計画に位置づけることも可能である。

4その利用の妥当性を検討し、必要な理由を記載するとともに、必要に応じて随時、サービス担当者会議を開催しなければならない。

5その利用の妥当性を検討し、居宅サービス計画に特定福祉用具販売が必要な理由を記載しなければならない。基準第13条第22号。

 

問題20 定期巡回・随時対応型訪問介護看護について正しいものはどれか。2つ選べ。

1.サービス提供の日時は,居宅サービス計画にかかわらず,当該事業所の計画作成責任者が決定できる。 

2.計画作成責任者は,介護支援専門員でなければならない。 

3.計画作成責任者が,居宅サービス計画も作成する。 

4.要介護者の居宅サービス計画に盛り込むことができる。 

5.定額給付であるため,居宅サービス計画に盛り込んだ場合,他のサービスは保険給付とならない。

解答1,4

1すでに居宅サービス計画が作成されている場合は、その計画の内容に沿って作成する。ただし、提供する日時等は、居宅サービス計画に定められた提供日時等にかかわらず利用者の日常生活全般の状況および希望を踏まえ、計画作成責任者が決定できる。基準第3条の24

2計画作成責任者は、当該従業者であって、看護師、介護福祉士等(医師、保健師、准看護師、社会福祉士、介護支援専門員)のうち1人以上としなければならない。基準第3条の411項。

3計画作成責任者は居宅サービス計画の作成ではなく、すでに居宅サービス計画が作成されている場合は、その計画の内容に沿って定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画を作成する。

4要介護者が対象のサービスであるため、居宅サービス計画に盛り込む。

5介護報酬請求における制限のあるサービスを除いて、他のサービスとの組み合わせ利用は可能である。

 

問題21 地域包括支援センターと指定介護予防支援事業者について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.地域包括支援センターは,包括的支援事業を行う施設である。 

2.地域包括支援センターは,居宅サービス計画の検証を行う。 

3.地域包括支援センターは,施設サービス計画の検証を行う。 

4.介護予防支援事業者の指定は,都道府県知事が行う。 

5.介護予防支援事業者の指定を受ける者は,非営利法人に限られる。

解答1,2,3

1地域包括支援センターは、包括支援事業を行う施設である。法第115条の46

2ケアプラン内容の点検及び指導を行うケアプラン点検は、介護給付等費用適正化事業であり、地域支援事業の任意事業として委託を受けた地域包括支援センターが行うことができる。

3ケアプラン内容の点検及び指導を行うケアプラン点検は、介護給付等費用適正化事業であり、地域支援事業の任意事業として委託を受けた地域包括支援センターが行うことができる。

4介護予防支援事業者の指定は、市町村が行う。

5申請者が法人でないものは指定を受けることができないが、営利・非営利は問われない。法第115条の222項第1号。

 

問題22 介護予防支援業務に係る関連様式について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.介護予防サービス・支援計画書には,「本人のセルフケア」が設定されていない。 

2.介護予防サービス・支援計画書には,「家族の支援」が設定されていない。  

3.介護予防サービス・支援計画書には,「問題行動」が設定されていない。 

4.利用者基本情報には,認知症高齢者の日常生活自立度を記載する。 

5.利用者基本情報には,生活保護受給の有無を記載する。

解答3,4,5

正解は…345

1計画書において、支援計画の中で「本人等のセルフケア」が設定されている。

2計画書において、支援計画の中で「家族の支援」が設定されている。

3計画書において、「問題行動」は設定されていない。

4利用者基本情報の日常生活自立度において、障害高齢者とともに認知症高齢者の日常生活自立度の記載欄がある。

5利用者基本情報の経済状況において、生活保護の有無の記載欄がある。

 

問題23 指定介護予防支援事業について正しいものはどれか。2つ選べ。

1.指定介護予防支援事業所の管理者は,非常勤でもよい。 

2.指定介護予防支援事業者が指定介護予防支援の一部を委託する場合には,都道府県に届け出る。

3.指定介護予防支援の担当者は,介護支援専門員でなくてよい。 

4.目標志向型の介護予防サービス計画を策定しなければならない。 

5.介護予防サービス計画は医師の指示で作成されることを利用者に説明する。

解答3,4

1指定介護予防支援事業所ごとに常勤の管理者を置かなければならない。基準第3条。

2指定介護予防支援事業者は、指定介護予防支援の一部を委託する場合には、地域包括支援センター運営協議会の議を経なければならない。基準第12条。

3保健師その他の介護予防支援に関する知識を有する職員(以下、担当職員)を必要数配置しなければならない。担当職員は保健師、介護支援専門員、社会福祉士、経験のある看護師等であり、介護支援専門員に限られない。基準第2条。

4介護予防の効果を最大限に発揮し、利用者が生活機能の改善を実現するための適切なサービスを選択できるよう、目標志向型の介護予防サービス計画を策定しなければならない。基準第29条。

5計画作成の開始に当たっては、利用者自身が主体的に意欲をもって介護予防に取り組むことを基本に支援を行うため、医師の指示で作成されることはない。

 

問題24 意思疎通が難しくなった認知症のAさん(75歳)は,夫(80歳)と二人で暮らしている。子供も親族もなく,妻の介護は夫一人で行っている。夫なりに工夫して介護しているが,おむつ交換や食事の介助がうまく行えていない。Aさんは最近寝ていることが多くなり,痩せてきている。夫は「妻の介護はできているから,今までどおり介護ベッドを借りるだけでいい」と頑なである。介護支援専門員の対応として,より適切なものはどれか。3つ選べ。

1.現在の居宅サービス計画を継続して,夫が危機を自ら発見し,相談に来るまで待つ。

2.夫に妻が最近痩せてきているという観察結果を伝え,まずは,その原因を明らかにするための受診を勧める。

3.夫の努力を高く評価していることを伝えてねぎらうとともに,一人で頑張らず外部サービスの利用も考えるよう働きかけを行う。

4.今後の生活をどのように考えているのか,夫婦二人に考えを聞く。

5.受けるべき支援が受けられていない状況は虐待に当たるので,地域包括支援センターに通報する。

解答2,3,4

1機関側から援助の手を差し伸べるアウトリーチが必要な場合もあり、相談に来るまで待つのは適切ではない。

2栄養状態の確認のためにも医療機関への受診を勧めることは適切である。

3夫へのねぎらいは、信頼関係が構築される糸口でもあり適切である。

4利用者と家族の意向を確認することは、利用者本位の理念に基づくため適切である。

5この時点での状況は虐待と判断するのは性急であり、通報するのは適切ではない。

 

問題25 Aさん(85歳・男性)は,居宅介護サービスの利用や近隣の見守りによって一人暮らしを継続しているが,最近は虚弱さが増し,寂しいと娘に電話をするようになっている。他県に住む娘は,同居は難しいが,一人暮らしは心配なので,施設入所を勧めている。介護支援専門員にもそのことを説得してほしいと依頼してきた。しかし,Aさんは,「死んでもこの家から動かない」と言っている。介護支援専門員の対応として,より適切なものはどれか。3つ選べ。

1.Aさんに対して施設入所の説得に努める。

2.Aさんの寂しさや不安感に共感する。

3.一人暮らしが心配であれば同居をするよう娘を説得する。

4.Aさんの自宅での生活に対するこだわりを理解し,それを大切にすることも大事だと娘に伝える。 

5.Aさんの希望を尊重し,可能な限り在宅生活が継続できるよう支援する。

解答2,4,5

1Aさんは在宅生活を希望しているため、施設入所の説得は適切ではない。

2相談援助において受容と共感の姿勢は重要であり、適切である。

3介護支援専門員は利用者(Aさん)と家族(娘)の一方を支援するものではないため、娘を説得するのは適切ではない。

4利用者(Aさん)と家族の間の意見や考えの違いを調整していくことも介護支援専門員の役割であり、適切である。

5利用者本位の基本理念から、本人の希望を尊重し支援していくことは適切である。

 

保健医療サービス分野(問題2645     

問題26 貧血を呈しやすい疾患として,より適切なものはどれか。3つ選べ。

1.脂質異常症

2.悪性腫瘍

3.関節リウマチ

4.糖尿病性腎症

5.ビタミンB1欠乏症

解答2,3,4

1自覚症状は一般的にはないが、二次性の脂質異常症として、アルコール多飲、糖尿病、甲状腺機能低下症、腎疾患、薬剤の副作用に伴うものなどがある。

2悪性腫瘍は、さまざまな機序により貧血を引き起こす。代表的なものとして慢性失血(特に消化器系・泌尿器系の癌では、慢性的な腫瘍からの出血)、骨髄における造血能の低下、赤血球寿命の短縮などがある。

3関節リウマチが進行すると特有の関節変形が起き、微熱、食欲不振、貧血などの全身症状が現れる。

4糖尿病性腎症の症状として、貧血(腎性貧血)、蛋白尿、高血圧、浮腫(むくみ)などのネフローゼ症候群がある。糖尿病患者は貧血を合併しやすく、貧血と診断されなくても軽度にヘモグロビン値(Hb値)低下が起こりやすく、その背景には糖尿病性腎症の発症によって腎症貧血をきたすことがある。

5水溶性ビタミンであるビタミンB1の欠乏症は、脚気(かっけ)やウェルニッケ・コルサコフ症候群である。貧血は、ビタミンB12の欠乏により引き起こされる。

 

問題27 疾患と症状の組合せとして,より適切なものはどれか。3つ選べ。

1.緑内障 ─────- 眼圧低下

2.肺気腫 ─────- 喘鳴

3.メニエール病 ─── 構音障害

4.慢性心不全 ───- 起坐呼吸

5.尿路感染症 ───- 頻尿

解答2,4,5

1緑内障は、眼圧上昇により視神経の軸索障害を生じる。

2肺気腫の主症状は、喘鳴、労作時呼吸困難がある。

3メニエール病は内耳の病気で、症状は激しい回転性のめまい発作に耳鳴や難聴などの蝸牛症状が随伴し、この発作を反復する。

4心不全による呼吸困難時には仰臥位ではなく、体を起こして座った状態(起座位)にすることで、自覚症状、血行動態の改善が得られる。

5尿路感染症の主症状は、頻尿、排尿時痛、発熱、尿閉などである。

 

問題28 BPSD(認知症の行動・心理症状)について,より適切なものはどれか。3つ選べ。

1.BPSDは,認知症が進行し,終末期に向かうほど顕著になる。

2.BPSDの出現の背景には,便秘や睡眠障害がある場合もある。

3.BPSDへの対応には,認知症の人に対するもののほか,介護者(家族)への支援も含まれる。

4.BPSDへの対応は,薬物療法を優先して行うべきである。

5.家庭や福祉施設では対応が困難なBPSDの場合には,老人性認知症疾患療養病棟などへの入院も検討する。

解答2,3,5

1終末期にはBPSDは消滅し、無気力、無言、無動を呈する。

2便秘や下痢、睡眠障害、感染症、脱水といった身体疾患、薬物の副作用、不適切な環境やケアなどがBPSDの誘因になると考えられている。

BPSDは認知症の人の生活の質を低下させるだけでなく、介護者の介護負担を増大させる主たる原因である。また周辺症状も多様で介護者の戸惑いも大きく、心身の負担は非常に大きいといえ、介護者や家族に対するケアも重要といえる。

BPSDの治療には、非薬物療法(個別対応、回想法、音楽療法等)が第一の選択である。非薬物療法の原則は楽しくあり、精神的安定を図ることであって、その結果、BPSDが軽減し、良好な状態をつくることができるといわれている。薬物療法は、BPSDの悪化要因になることもある。

BPSDのために在宅での介護や施設における対応が困難となるとき、特にBPSDが原因でやむを得ず本人の行動を制限しなければならない状態にある場合には、老人性認知症疾患療養病棟(介護療養型医療施設)などへの入院を検討する。

 

問題29 高齢者が服用することが多い薬剤と副作用の組合せとして,より適切なものはどれか。3つ選べ。

1.鉄剤 ─────────── 消化器症状

2.降圧薬 ────────── 起立性低血圧

3.利尿薬 ────────── 唾液分泌過剰

4.抗不安薬 ───────── 便秘

5.非ステロイド性消炎鎮痛薬 ── 低血糖

解答1,2,4

1鉄剤で最も多い副作用は、胃や腸などの消化器の症状で、具体的には、胃がムカムカしたり、吐き気がすることが多く、さらに便秘や下痢といった腸の症状も見られる。

2降圧薬には、α1遮断薬、α、β遮断薬、末梢性交感神経抑制薬、中枢性交感神経抑制薬があり、副作用として低血圧症を起こすおそれがある。

3降圧剤、抗うつ剤、鎮痛剤、利尿剤、抗パーキンソン剤などの多くの薬物の副作用として唾液分泌の低下がある。

4抗不安薬には、ねむけ、ふらつきの副作用があり、薬によっては、食欲不振、便秘、口の渇きがでるものもある。

5非ステロイド性消炎鎮痛剤の副作用は、胃腸炎などの消化器障害が最も多い。一方、長期にわたりステロイド薬を服用し、服用を急にやめてしまうことにより、低血糖の症状を起こすことがある。

 

問題30 感染症について適切なものはどれか。3つ選べ。

1.介護サービス利用者が肺結核で排菌していることが判明した場合,その感染リスクに応じて,介護者など接触者に対する健診が実施される。

2.高齢者の下痢では,緩下剤による可能性もあるので,服薬状況などを確認する。

3.ノロウイルス感染者の便の処理の際は,マスクや手袋の装着の必要はないが,処理後にアルコールで手指をよく拭いておく。

4.高齢者への肺炎球菌ワクチンは,接種後5年を経過しないと再接種できない。

5.肝がんの90%以上は,アルコール性肝炎から進展する。

解答1,2,4

1介護サービス利用者が発病・排菌中の場合、住所を管轄する保険者が、利用者の症状確認、接触者等の年齢、接触状況などを考え、介護者など接触者に対して健診を計画し、実施する。

2緩下剤の代表として、酸化マグネシウムがある。酸化マグネシウムは大腸における水分の吸収を抑制、つまり便に含まれる水分が多くなるため、便を軟らかくする作用がある。便通に効果を発揮する薬であるが、下痢の際には服薬状況を確認する必要がある。

3処理の際には、マスクと手袋を着用し、汚物中のウイルスが飛び散らないように、便をペーパータオル等で静かに拭き取り。その後、次亜塩素酸ナトリウムで浸すように床を拭き取り、そして水拭きをする。おむつ等は、速やかに閉じて便等を包み込み、ビニール袋に密閉して廃棄する。

4日本では2009年に再接種が認可され、再接種の条件として高齢者においては、初回接種から5年以上経過した肺炎球菌による重篤疾患に罹患する危険性が極めて高い者及び肺炎球菌特異抗体濃度が急激に低下する可能性のある者として、65歳以上の高齢者等が対象となっている。

5わが国ではB型・C型肝炎ウイルス感染が原因で生じる肝がん(肝細胞癌)が90%を占めており、特に最近では全体の70%はC型肝炎ウイルス感染がその原因となっている。その他、アルコール性肝障害や非アルコール性脂肪性肝炎が原因のものもある。

 

問題31 高齢者の医療について適切なものはどれか。3つ選べ。

1.認知症治療薬には,錠剤以外にも経皮吸収型製剤や内服ゼリーがあり,経口内服が困難な高齢者でも使用が可能である。

2.がんの疼痛管理では,麻薬は習慣性があり,幻覚等の症状もきたすため,可能な限り痛みは我慢してもらう。

3.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合には,インフルエンザワクチンは禁忌であり,接種できない。

4.非ステロイド性消炎鎮痛薬を内服している場合には,腎機能障害や上部消化管出血のおそれもあるので,乏尿やタール便などの出現の有無を確認する。

5.高齢者のめまいについては,起立性低血圧,不整脈などの全身性疾患や内服薬が原因となることもあるため,丁寧な問診が不可欠である。

解答1,4,5

1認知症治療薬のフィルムコート錠、細粒剤、口腔内崩壊錠、内服ゼリーという複数の剤形に加え、経皮吸収型製剤(貼付剤)は、食事や消化管、代謝等の影響を受けにくく、嚥下機能の低下や経口剤を苦手とする高齢者でも容易に使用することができ、服薬コンプライアンスの改善のみならず、介護する家族や介護職の服薬介助時の負担軽減が期待できる。

2がんの疼痛管理は、1993WHOで「患者には痛みをコントロールするために必要な鎮痛薬を要求する権利があり、医師にはそれを投与する義務がある。痛みから解放されることは、すべてのがん患者の権利とみなすべきである」と提唱されており、痛みの緩和が重要である。

3高齢者で慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合には、インフルエンザへの感染が生命にも関わってくるため、インフルエンザワクチン接種が推奨されている。

4特に高齢者で長期服用している場合には、腎機能障害や上部消化管出血を誘発しやすいため、乏尿やタール便などの出現の有無を確認する。

5高齢者のめまいには様々な原因が考えられる為、丁寧な問診が不可欠である。

 

問題32 褥瘡について,より適切なものはどれか。3つ選べ。

1.エアーマット等除圧効果のある予防用具を用いた場合には,体位変換を行う必要はない。

2.在宅の要介護者で真皮を越える深さの褥瘡がある場合には,介護保険の訪問看護における特別管理加算の対象となる。

3.褥瘡がある場合には,入浴により末梢血流量が増加し,症状が悪化するため,入浴は避ける。

4.感覚障害を有する者は,褥瘡が生じやすい。

5.浮腫がある場合は,皮膚が引き伸ばされて薄くなるため傷つきやすくなり,褥瘡のリスクが高くなる。

解答2,4,5

1体重による圧迫を除去するために、寝ている場合は原則として2時間ごとに体位交換を行う。併せて、除圧効果のある予防用具(エアーマット、スポンジマットレスなど)を使用する。

2真皮を越える褥瘡は訪問看護の特別管理加算が算定できる。ただし医療保険で算定する場合は算定できない。

3入浴は、可能である。入浴は皮膚を清潔にし、血液の循環をよくするので褥瘡の治療や予防に効果的である。

4麻痺などのため自分で寝返りができない人、腰を上げられない人、動かせない人など感覚障害を有する者は、同じところに一定以上の圧力が持続的に加わるため、褥瘡が生じやすい。

5皮膚が弱くなっていると、少しの圧迫やズレでも褥瘡を容易に発生する。浮腫は皮膚の耐久性が低下し、炎症や循環障害により発生する浮腫によっても皮膚組織は薄くなり、傷ができやすくなり、褥瘡のリスクが高くなる。

 

問題33 高齢者の栄養について正しいものはどれか。3つ選べ。

1.高齢者の低栄養では,血清アルブミン値なども参考にし,多職種が共同して栄養状態の改善を図る。

2.栄養障害に伴う皮膚・粘膜の症状は,ビタミンK欠乏が原因である。

3.食事バランスガイドは,食事摂取基準に基づき,実際の食事の際に,何をどのくらい摂取すればよいかを示したものである。

4.身体の成分組成は,水分,タンパク質,脂肪,ミネラルで組成され,高齢者では,若年者に比較して,脂肪の構成割合が低下する。

5.高齢者の栄養状態は,摂取栄養量と栄養必要量とを比較して評価する。

解答1,3,5

1常に体重の変化や食事量の把握などを行い、低栄養状態にならないように留意する。栄養状態の改善および食生活の支援を適切に行うために、管理栄養士、医師、保健師、薬剤師等の各専門職種が相互に情報交換を行う必要がある。

2皮膚・粘膜の症状は、ビタミンA、ビタミンB2などの欠乏が原因である。ビタミンK欠乏は出血傾向を呈する。

3食事バランスガイドは、「食事摂取基準」で示された科学的根拠に基づいた数値を基に、「食生活指針」で示された改善目標が容易に実践できるように工夫されている。

4高齢者では、若年者に比較して、脂肪の構成割合が増加する。

5食物摂取状況調査には、一般に思い出し法や記録法が用いられ、記録された内容から食事内容を分析して食品成分表を用いて栄養計算をする。算出された摂取栄養量は栄養必要量と比較し、評価する。

 

問題34 終末期のケアに関連する内容について,より適切なものはどれか。3つ選べ。

1.終末期医療では,医師等の医療従事者による適切な情報提供と説明が求められるが,この適切な情報には,療養場所やこれからの過ごし方の選択肢も含まれる。

2.末期がん療養者は,退院時に起居動作ができたとしても,短期間でADLの低下など状態の悪化が予測されるため,介護ベッドの早期導入を計画する。

3.終末期にある療養者の家族に対する予期悲嘆への援助では,積極的に励ます必要がある。

4.末期がん療養者やその家族が在宅での看取りを決断した場合には,入院という選択肢を情報提供する必要はない。

5.終末期においてリハビリテーションを行うことは,療養者のADLの維持,改善により,可能な限り高いQOLを保つとともに,痛みや苦痛を和らげることにもつながる。

解答1,2,5

1終末期医療では、医療面の支援だけでなく、生活を支えるケアも必要がある。

2介護保険では、病状の進行が早い末期がん患者に配慮する必要があると判断し、短期間のうちに起きあがりや寝返りが困難になるとみられる対象者について、医師らが必要と判断した場合は、要介護度に関係なく(軽度者であっても利用制限なく)、市町村の判断で福祉用具貸与サービスを利用できる。

3家族の予期悲嘆への援助では、家族の感情表出を傾聴し、共感することが大切である。様々な感情を受け止めつつ、家族が少しずつ死を受け止めていけるよう、見守り続けることも重要である。

4在宅での症状緩和が難しい場合には、在宅ケアに固執することなく、一時的に施設への入院も検討するため、情報提供は必要である。

5終末期におけるリハビリテーションでは、苦痛を取り除きながら、最後まで人間らしくあるよう人格を尊重したケアを行う。

 

問題35 次の記述のうち,より適切なものはどれか。3つ選べ。

1.胃ろう部にスキントラブルのない療養者は,胃ろう部をドレッシング材で被わずに,胃ろう周囲を石けんで洗うことも,浴槽に入ることもできる。

2.嚥下障害の初期症状を認めたら,誤嚥性肺炎や低栄養を予防するため,直ちに経管栄養チューブや胃ろうに切り替え,必要栄養摂取量の確保を行う。

3.胃ろうから栄養補給している療養者でも,摂食・嚥下機能をアセスメントして経口摂取が可能な場合には,経口移行計画を作成し,それに基づき経口摂取を進める。

4.尿道留置カテーテルによる尿路感染を予防するため,日常的に膀胱洗浄を行う。

5.尿道留置カテーテルの蓄尿バッグについては,移乗時に膀胱より高い位置になって逆流がおこらないよう留意しなければならない。

解答1,3,5

1瘻孔部から湯が体内に入ることはないので、瘻孔部分はビニールやフィルムドレッシング材で保護せず、皮膚を露出した状態で入浴が可能である。瘻孔周囲の皮膚を石鹸で丁寧に洗い、シャワーでよく流し、浴槽に入ることもできる。

2嚥下障害の初期症状が認められたら、誤嚥を予防できるように、スプーンの大きさや、食べ物の形態、食べる時の姿勢などに配慮しながら、経口摂取の継続を支援する。

3介護保険施設において、医師の指示で、医師・歯科医師・管理栄養士・ケアマネージャー等が共同して、これを実施した場合、経口移行加算を算定できる。

4厚生労働省の「改正医療法・感染症法を考慮した院内感染防止ガイドライン」では、膀胱洗浄の適応と方法において、治療上必要な場合以外は膀胱洗浄を避ける(III症例集積研究や単なる専門家の意見 A:強く推奨する)とされている。

5逆流を防ぐために、蓄尿バッグは常に膀胱よりも低い位置に保つことが必要である。

 

 問題36 痰の吸引について,より適切なものはどれか。3つ選べ。

1.長期療養で気管切開や気管挿管を受けている者では,自力で気管内の分泌物を喀出できない場合も多いので,気道確保のために吸引が必要である。

2.意識のある療養者では,吸引は激しい咳嗽反射を起こし,負担がかかるので,吸引は慎む。

3.口腔・鼻腔吸引及び気管内吸引が必要な療養者では,カテーテルを介した感染の危険性があるので,口腔・鼻腔用と気管内用のカテーテルは別にする。

4.療養者の退院に当たっては,その家族が日常的に吸引の操作を行うことができるように,トレーニングを受けることが望ましい。

5.吸引に際しては,事前に体位ドレナージを行うと喀痰が移動してしまうので,有効な排痰ができなくなる。

解答1,3,4

1気管切開、気管挿管などの人工気道を用いている者、自力で効果的な気道内分泌物の喀出ができない場合などが吸引の適応となる。

2意識のある療養者でも、適応の場合には吸引を実施する。

3口腔・鼻腔用と気管内用のカテーテルは別にし、1回使用するごとに交換する。

4在宅時の管理について、家族に吸引の操作を指導し、緊急時の対応、連絡方法などを確認・指導しておくのがよい。

5吸引に際して、痰の出を良くするために必要に応じて体位ドレナージを行うことは有効である。

 

37

次の記述のうち適切なものはどれか。2つ選べ。

1屋内での歩行が安定して自立している要介護高齢者については、屋外での歩行も同様に安定して自立するため、転倒のリスクを検討する必要はない。

2失語症とは、発語に関係する筋に異常がなく、知能低下もないが、言語による表現や文字の理解ができなくなることであり、その原因は主に聴力障害である。

3片麻痺がある場合の車の乗降は、健側から乗り、降りる場合は逆の順序で行うとよい。

4重度の片麻痺の場合には、肩の亜脱臼を合併しやすいので、日常生活動作の介助において、麻痺側の上肢の位置などに配慮する必要がある。

5廃用による筋力低下の予防のためには、日常生活動作の励行やレクリエーション活動等の継続は効果がない。

正解は…34

1屋内での歩行が安定して自立していても、屋外での歩行が安定して自立するとは限らないため、転倒のリスクは十分に検討する必要がある。

2失語症は、脳卒中の右片麻痺に合併することが多く、言葉を話したり、聞いて理解したり、文字を書いたり、読んで理解するなどの能力が障害される。

3片麻痺がある場合の車の乗降で、乗る場合は、(1)健側から乗る(2)健側上肢で窓ふちなどをつかむ(3)臀部をシートに下ろす(4)健側下肢を中に入れるD患側下肢を中に入れる、の順序で行い、降りる場合は逆の順序で行う。

4重度の片麻痺の場合、介助時の麻痺側の上肢の位置の配慮や、肩の亜脱臼の予防として、三角巾やスリングの使用を検討することもある。

5筋力低下の予防のためには、日常生活動作の励行やレクリエーション活動等の継続は効果が期待される。

 

38

介護老人保健施設が提供するサービスについて適切なものはどれか。3つ選べ。

1特別療養費は、入所者に対して指導管理等のうち日常的に必要な医療行為として行った場合に算定できる。

2経口維持加算は、医師等の指示に基づき、管理栄養士その他の職種が共同して計画を作成し、継続して経口摂取を進めるための特別な管理を行った場合に算定できる。

3栄養マネジメント加算は、常勤の管理栄養士又は経験のある栄養士を配置している場合に月単位で算定できる。

4ターミナルケア加算は、突然死の場合には、本人の了解が得られていなくても、その後のケアが必要なため算定できる。

5認知症専門ケア加算は、認知症高齢者の日常生活自立度V以上の者に対して専門的な認知症ケアを行った場合に1日単位で算定できる。

正解は…125

1特別療養費には、感染対策指導管理や薬剤管理指導、リハビリテーション指導管理などがある。

2経口維持加算は、当該計画が作成された日から起算して180日以内の期間に限り算定できる。

3栄養マネジメント加算は、常勤の管理栄養士を1人以上配置していることが算定要件のひとつである。

4ターミナルケア加算は、医師・看護師・介護職員等が共同して、入所者の状態・家族の求め等に応じ、随時本人・家族への説明を行い、同意を得て、ターミナルケアを実施することが算定要件のひとつである。

5認知症専門ケア加算は、その他要件を満たす施設・事業所内の認知症日常生活自立度V以上の者11日当たりにつき算定できる。

 

39

訪問看護について正しいものはどれか。2つ選べ。

1訪問看護開始時における主治の医師の指示書のとおりにサービスを提供していれば、訪問看護報告書を主治医に定期的に提出する必要はない。

2末期の悪性腫瘍は、医療保険による訪問看護の対象となる「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する。

3要介護者に対して医療保険と介護保険の両方から給付が可能な場合には、医療保険を優先して適用する。

4訪問介護事業所の利用者に対し、喀痰吸引等に係る特定行為業務を円滑に行うための支援を行った場合には、看護・介護職員連携強化加算を算定できる。

5訪問看護ステーションは、緊急時24時間連絡体制を義務づけられている。

正解は…24

1訪問看護を実施した結果を訪問看護報告書として作成することが義務付けられている。またこれを主治医に定期的に提出する。当該事業所が保険医療機関である場合には、診療録および診療記録の保存でも差し支えないこととされる。居宅基準第70条。

2末期の悪性腫瘍は、「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当し、医療保険による訪問看護の対象となる。これ以外に利用者が急性増悪したとき等特別訪問看護指示書がある場合の看護(14日限度)も対象。さらに2012(平成24)年度より、特別訪問看護指示書の対象に病院からの退院直後が要件に加わった。

3医療保険と介護保険の両方から給付が可能な場合には、介護保険を優先して適用する。

4当該加算を算定する際には、都道府県の登録を受けた指定訪問介護事業所との連携が必要である。

5義務付けられていないが、緊急時24時間連絡体制等の一定の要件を満たせば、緊急時訪問看護加算として算定可能である。

 

40

医療と介護の連携について適切なものはどれか。3つ選べ。

1訪問介護事業所のサービス提供責任者が、通所リハビリテーション事業所の理学療法士等に同行し、利用者宅を訪問した場合には、連携に関する介護報酬を算定できる。

2併設医療機関ではない在宅療養支援診療所は、介護老人福祉施設への往診料を算定できる。

3在宅療養支援歯科診療所は、介護支援専門員の指示により、歯科訪問診療を実施する。

4介護老人保健施設が地域連携診療計画に係る医療機関から利用者を受け入れ、当該計画の診療報酬を算定している病院に対して文書により情報提供をした場合には、情報提供に係る加算を算定できる。

5介護保険と医療保険の利用者負担の合計額が世帯で一定額を超えた場合には、介護保険と医療保険から、高額医療合算介護(予防)サービス費と高額介護合算療養費がそれぞれ支給される。

正解は…245

1訪問介護事業所のサービス提供責任者が訪問リハビリテーション事業所の理学療法士等と利用者宅を訪問し、両者の協働による訪問介護計画作成とサービス提供を実施した場合、生活機能向上連携加算を算定できる。

2病院又は診療所と介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)が併設されている場合の当該病院又は診療所は、それぞれの配置されている施設に入所している患者に対して行った診療(特別の必要があって行う診療を除く)については、介護報酬、自立支援給付、措置費等の他給付において評価されているため、往診料を算定できない。よって併設医療機関でない場合には、往診料を算定できる。

3在宅療養支援歯科診療所の実施にあたっては、介護支援専門員の指示は必要なく、利用者・家族の希望により実施される。

4介護老人保健施設は、これを地域連携診療計画情報提供加算として算定できる。

5医療保険各制度(健康保険その他の被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)の世帯内に介護保険からのサービスを受ける者がいる場合であって、1年間(前年8月から当年7)の介護保険における利用者負担(高額介護サービス費等が支給される場合はそれを除いた額)と医療保険の患者負担(高額療養費が支給される場合はそれを除いた額)の合計額が政令で定める一定額(所得段階別に区分)を超えるときは、被保険者からの申請に基づき、その超えた額を医療保険と介護保険それぞれの自己負担額の比率に応じて按分して、各保険の保険者が支給する仕組みである。

 

41

次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。

1心筋梗塞では、前胸部痛が主症状のことが多いが、左肩の痛みを訴えることもある。

2老年期のうつ病では、若年期のうつ病と比較し、頭痛や肩こりなどの身体症状を訴えることは少ない。

3高齢者がかかりやすい睡眠障害のうち、睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群などは、専門的な診断が必要である。

4薬剤性パーキンソン症候群は、抗精神病薬、一部の胃腸薬などの服用で起こり得る。

5パーキンソン病が進行し、自立歩行が困難となった場合には、運動療法は行わない。

正解は…134

1心筋梗塞では、前胸部の痛み、しめつけ感が典型的自覚症状だが、呼吸困難、左肩から頸部の鈍痛、意識障害などを訴えることもある。

2老年期のうつ病は若年期と比較し、心気的傾向を示しやすく、さまざまな身体症状をくよくよと訴える。

3睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に呼吸が停止する無呼吸が繰り返される症状)やレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)などは、専門的な診断と治療が必要である。

4薬剤性パーキンソン症候群は、筋固縮、振戦、姿勢反射障害、さらに仮面様顔貌・動作緩慢・突進現象などの無動症状といった、パーキンソン病とほとんど区別がつかない症状が見られる。

5パーキンソン病は全過程を通じて、下肢の筋力や平衡機能の維持のための運動療法、リズム感覚や気分を改善する音楽療法などの非薬物療法も重要である。自立歩行が困難となった場合にも、運動療法は継続していく。

 

42

認知症について適切なものはどれか。3つ選べ。

1若年性認知症では、作業能率の低下など実行機能の障害が引き起こす諸症状が先行することが少なくない。

2若年性認知症者が入院による精神医療を継続的に必要とする場合には、自立支援医療の対象となり、健康保険の自己負担が軽減される。

3若年性認知症である介護保険の第2号被保険者であっても、市町村が必要があると認めた場合には、障害福祉サービスの利用が可能である。

4養護者により虐待を受けたと思われる認知症高齢者を発見した者は、高齢者本人の意思確認ができないときは、そのまま経過を観察する。

5認知症地域支援推進員は、市町村や地域包括支援センターに配置され、家族等からの認知症に関する総合相談に応じ、コーディネーターの役割を担う。

正解は…135

1若年性認知症は、特に40代や50代といった働き盛りの人たちが発症することが多く、中でも初期症状として現れるのが記憶力や判断力などの低下であり、仕事中の作業効率の低下など実行機能の障害が引き起こす諸症状が先行することが少なくない。

2障害者自立支援法における自立支援医療の精神通院医療は、精神疾患の治療のために医療機関に通院する場合に、医療費の自己負担分の一部を公費で負担する制度である。精神疾患には若年性認知症も含まれ、通院による治療を受ける場合は、通院医療費(薬代等も含まれる)の負担が軽減され、入院医療費は対象外である。精神通院医療に係る調剤・往診・通所リハビリテーション・訪問看護も対象となる。

3障害者自立支援法に基づく「障害福祉サービス」は、居住地の市町村よりサービス支給決定を受ければ利用可能である。原則として介護保険サービスが優先されるが、40歳未満の人や介護保険サービスに相当するものがない障害福祉サービスの固有のサービス(行動援護、自立訓練〈生活支援〉、就労移行支援、就労継続支援等)を利用する場合等に有効である。

4高齢者虐待防止法により、虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、市町村に通報するよう努めなければならない。

2011年(平成23年)の市町村認知症施策総合推進事業において、市町村において、家族等からの認知症に関する総合相談に応じ、認知症疾患医療センターや医療機関、介護サービスおよび地域の支援機関をつなぐコーディネーターとしての役割を担う認知症地域支援推進員を地域包括支援センターや市町村本庁などに配置することが原則化された。

 

43

在宅医療について、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1人工呼吸器を装着している場合には、外出はできないため、社会参加は考慮しなくてもよい。

2在宅酸素療法を実施している場合には、酸素濃縮器にはバッテリーが内蔵されているので、2日間程度なら停電になっても問題はない。

3パルスオキシメータの測定値は、貧血、末梢循環不全、あるいは濃いマニキュアを爪に塗っている場合には、正確な数値を示さないことがある。

4在宅で持続点滴をしている場合であっても、訪問入浴介護を利用することができる。

5胃ろうからの経管栄養を受けている者が下痢になった場合には、消化吸収を速やかに行う必要があるため、注入速度を速くする。

正解は…34

1人工呼吸器を装着している場合にも外出は、楽しみや社会参加の機会が得られ、生きがいともなり、人として守られるべき尊厳に関わる活動であるといえる。外出時には、身体機能に応じた個別性の高いケアに加えて、活動に伴う人工呼吸療法を安全に実施できるように検討していく必要がある。

2在宅酸素療法の内蔵バッテリーの持続時間は機種により、数十分−数時間程度のため、2日間の停電には対応できない。

3貧血の場合、酸素を運搬するヘモグロビン自体が不足しているため、低酸素状態でもSpO2(血中酸素飽和度)が正常値を示すという誤差が生じるおそれがある。末梢循環不全の場合、パルスオキシメーターは血流を利用し透過光層の変動成分から測定値を求めているために、また爪に濃いマニキュアなどを塗っている場合、マニキュアがLEDの透過光を吸収するため、生体を透過する発光成分が変化するなど、それぞれ正確な数値を示さないことがある。

4訪問入浴サービスは、在宅での持続点滴や在宅酸素療法など医療器具をつけている人も、状態に合わせて利用が可能である。

5下痢になった場合は、注入速度を遅くするのが一般的である。

 

44

口腔ケア及び誤嚥性肺炎について適切なものはどれか。3つ選べ。

1総義歯の高齢者であっても、定期的な口腔ケアは必要である。

2食事摂取後すぐに臥位になった方が、胃腸の動きが活発になるので、誤嚥性肺炎の予防につながる。

3口腔ケアは、口腔内細菌を減少させるとともに咳嗽反射を促すので、誤嚥性肺炎の予防に有効である。

4脳卒中で麻痺のある高齢者では、麻痺側の頬の内側に食物が残っていることが多いので、残渣の有無を確認しながら食事の介助をする。

5糖尿病に罹患した高齢者では、出血傾向が増すので、歯肉出血のリスクがある口腔ケアは慎む。

正解は…134

1総義歯であっても、義歯を外して洗浄し、歯がない場合でも口腔内に食物残渣や舌苔がないか確認し、ある場合はスポンジブラシや舌ブラシ等で除去するなど口腔ケアは必要である。

2食事摂取後の臥位は、少量の胃の内容物の逆流により誤嚥性肺炎を起こす要因となり、望ましくない。

3誤嚥性肺炎は、口腔内の唾液や細菌が誤って気道に入り込んだり、胃の内容物が嘔吐により気道に入った場合にも起こることがあり、口腔ケアによる予防は有効とされている。

4麻痺のある場合は、通常感覚障害も伴っているため、麻痺側に食物残渣が残っていても気づかないため確認しながら介助を行う。また嚥下反射・咳反射機能が低下しているため、誤嚥に対する注意も必要である。

5糖尿病の高齢者では、免疫力が低下するため歯周病になりやすく、感染に対する抵抗力も弱くなるため、歯周病から重症の感染症を引き起こす危険性もあり、出血に留意しながらも口腔ケアは不可欠である。

 

福祉サービス分野(問題 4560

45

介護保険サービスについて適切なものはどれか。3つ選べ。

1療養通所介護は、難病、認知症、脳血管疾患後遺症やがん末期の要介護者などに対して、介護療養型医療施設が行うサービスである。

2利用者が連続して30日を超えて短期入所療養介護を受けている場合には、30日を超えた日以降は短期入所療養介護費は算定できない。

3医師、薬剤師が行う居宅療養管理指導は、介護支援専門員によるケアプランが作成されていなくても、算定できる。

4特定短期入所療養介護は、インフルエンザやノロウイルスなどに罹患している利用者を個室で管理した場合に限り、算定できる。

5緊急短期入所受入加算は、居宅サービス計画を担当する介護支援専門員がその必要性を認め緊急にサービスが行われた場合に、7日を限度として算定できる。

正解は…235

1」療養通所介護は、難病等を有する重度要介護者又はがん末期の者であって、サービス提供に当たり常時看護師による観察が必要なものを対象者とし、療養通所介護計画に基づき、入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うものであり、通所介護サービスに位置づけられる。

2利用者が連続して30日を超えて指定短期入所療養介護を受けている場合においては、30日を超える日以降に受けた指定短期入所療養介護費は、算定できない。

3居宅療養管理指導は、区分支給限度額の対象外であり、介護支援専門員が給付管理を行わないため、ケアプランが作成されていなくても、算定できる。但し2012年の改定で、医師・歯科医師・薬剤師・看護職員がこれを算定する場合に、介護支援専門員への情報提供が義務付けられた。

4特定短期入所療養介護は、日帰りのサービスであり、難病やがん末期の要介護者など、医療ニーズと介護ニーズの両方をもつ在宅の中重度者の生活の質の向上、家族負担軽減のため日帰りでの利用が想定される。また退院退所直後やレベル低下時に集中的なリハビリテーションを提供できるサービスとしても活用できる。

5緊急短期入所受入加算は、利用者の状態や家族等の事情で、居宅サービス計画を担当する介護支援専門員が緊急に短期入所療養介護を受けることが必要と認めた利用者が対象で7日間を限度に算定できる。但し、認知症行動・心理症状緊急対応加算を算定している場合は算定しない。

 

46

面接場面におけるコミュニケーションについて、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1面接場所の設定、いすの配置、部屋の雰囲気、職員の服装も円滑なコミュニケーションを図る上での重要な要素となる。

2面接の焦点を定める際には、クライエントが明示しなかったものは取り上げない。

3傾聴を行う上では、「もう少し詳しく話してください」とか、「例えば?」などの質問はあまり使用しない方がよい。

4相談援助者には、相手のメッセージを正確に受け取ろうとする姿勢が重要である。

5相談援助者は、相手の文化的・社会的背景を十分に配慮する。

正解は…145

1これら以外にも、書類の形式、あらかじめ記入を求めるものがあればそれについての外的条件もまた、円滑なコミュニケーションを可能にするよう配慮されなければならない。

2面接の焦点を定める際に、情緒の意味を考察するが、情緒は明示されたものとそうでないものを含める。

3傾聴のためには、「オープンクエスチョン」(開かれた質問)がよいとされる。「もう少し詳しく…」とか、「例えば?」などの質問はその例である。

4面接においては、相談援助者側に、共感的相互理解を追求しようとする誠実さが存在することが重要である。

5相談援助者は、人間としての温かさ、相談援助者としての姿勢と基本的態度を、相手の文化的社会的背景への十分な配慮とともに、常に表明していなければならない。

 

47

相談援助者の職業倫理について、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1クライエントから相談を受けている内容が深刻であったため、その具体的内容を自分の家族に話し、よいアドバイスを得た。

2相談場面での情報は、相談の目的に照らし、クライエント本人がその必要性を納得する限りにおいて集めることができる。

3利用者宅でサービス担当者会議を行った後、同僚と近隣の喫茶店でケアプランの変更内容について検討を続けた。

4利用者の現住所について利用者の親戚を名乗る人から問い合わせがあったので、事業所の判断で情報を提供した。

5相談援助者自身が職業倫理に違反する行為を自覚していない場合があるため、スーパービジョンによる点検が重要である。

正解は…25

1個人の秘密を守るにあたっては、夫婦であっても親子であっても相談過程においてそれぞれ独立した個人として対応し、情報を許可なく容易に互いの間で流通させないことが必要である。

2相談を受ける側の特定の関心や興味からの質問が行われるべきではなく、面接で得られる情報は、相談目的以外に用いられるべきではない。

3個人情報を用いる際には、相談場所にも留意する必要がある。

4職業倫理として、本人の承諾なしに情報を漏らしてはならない。またこれによって、明らかになる弱点や未解決の問題点などに他人が付け入って、被害を受けたりする危険があってはならない。

5スーパービジョンとは、援助や相談をする人が、援助者として自らの認識や行動、発言等について、先輩や上司に相談し助言を求める制度やその面接であり、援助専門職の教育に必須である。

 

48

地域援助技術(コミュニティワーク)について、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1地域にある既存の保健・福祉サービスをニーズに合うように改善することは、コミュニティワークに含まれない。

2震災被災者等に対するボランティアグループを組織化することも、コミュニティワークの一つである。

3社会福祉に関する問題を対象とするので、医療・保健機関との協力活動は行わない。

4地域住民が福祉に関する情報を入手したり、相談ができるような環境を整備する。

5コミュニティワークは、自治体や社会福祉協議会だけが実施できる。

正解は…24

1コミュニティワークの機能として、現行のサービスを充実、改善していくことが期待される。

2コミュニティワークには、震災被害者等の特定の新たな利用者集団の組織化も含まれる。

3コミュニティワークの働きかけは、保健、医療、福祉、教育といったような領域の諸集団間の交流を活発にする。

4例えば、情報センターの設置や総合相談窓口、電話相談事業の開発など、地域住民が福祉サービスをよく知り、積極的に利用できるための手段をつくり出し、それを充実改善していくことも含まれる。

5わが国では、国・都道府県・市町村の社会福祉協議会がその中心的機能を担っているが、同時に多くのNGONPOもまた多様に組織され、国の内外を問わずその活動を展開している。また、その領域も狭義の福祉にとどまらず様々な対象や問題にも拡大している。

49

ソーシャルワークの視点から援助困難事例への対応方法について、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1認知症のある利用者から、訪問介護員に物を盗られたとの訴えがあったため、最初に警察に相談し助言を求めた。

2認知症が疑われる利用者が、保健・医療・福祉の専門家チームが必要と考えるサービスを拒否したため、やむを得ず居宅介護支援の契約を打ち切った。

3家族が認知症からくる行動障害のために介護負担を感じていたため、介護支援専門員の判断で、本人をグループホームに入所させた。

4買い物や食事などの利用者の抱える切実な問題の解決に具体的に取り組むことも必要である。

5攻撃的な利用者に対しては、ときには距離を置いて見守りながら、その自尊心、自立心を傷つけないようにすることも必要である。

 

正解は…45

1最初に警察に相談するのは性急であり、利用者との対応困難な問題が発生したらまず訪問介護員が、所属する訪問介護事業所に相談や報告を行う。

2サービスを拒否したとはいえ、契約を打ち切るのではなくチームアプローチなどにより支援していく必要がある。

3介護支援専門員の判断ではなく、本人や家族が自己選択できるよう支援していく必要がある。

4相手のニーズ全体を考えながら、最も解決の必要な問題を探して、それへのサービス提供を申し出ることが有効である。例えば、それが食事の支度や買い物などであれば、給食サービスを受けることを勧め、それを定期的に届けることで関係が出来る例は珍しくない。

5利用者の状況に応じて、距離をおいて見守りながら、特に重大な問題が発生したときに親切に援助することが有効の場合もある。

 

50

介護保険における訪問介護について正しいものはどれか。2つ選べ。

1訪問介護員等が生活援助として買い物を行う場合は、利用者宅に訪問するための移動中に商品を購入することもできる。

2要介護1の利用者に対し行った日中における20分未満の身体介護中心型は、保険給付の対象となる。

3嚥下困難者のための流動食の調理は、生活援助として算定する。

4安否確認のための訪問は、20分未満の身体介護中心型として算定できる。

5利用者が飼育している犬の散歩は、介護保険給付の対象外である。

 

正解は…15

1訪問介護においては、居宅において提供されるサービスとして位置付けられており、生活援助における「買い物」サービスを行う場合、訪問介護員等は利用者の自宅に立ち寄ってから、購入すべき食品又は日用品等を利用者に確認し、店舗に向かうこととしてきたが、前回訪問時あるいは事前の電話等により利用者から購入すべき商品を確認したうえで、事業所等から店舗に向い、商品を購入後、利用者の居宅に向かうことができるものとする。なお、この場合の訪問介護の所要時間については、店舗での買い物に要する標準的な時間及び利用者の居宅における訪問介護に要する標準的な時間を合算したものとすることとされる。(厚生労働省平成24年度介護報酬改定に関するQA(平成24316日厚労省通知vol.267))

2日中における20分未満の身体介護中心型の算定要件のひとつに、要介護35かつ疾病・障害もしくはそれらの後遺症又は老衰で生じた身体機能の低下が認められ、屋内生活に介護が必要な者(障害高齢者の日常生活自立度ランクB・Cの者)とされ、要介護1の利用者は該当しない。

3身体介護には、専門的知識・技術をもって行う生活援助サービスも含まれている。嚥下困難者のための流動食や糖尿食等の調理のように、特段の専門的配慮を要する場合がこれに該当し、身体介護として算定できる。

20分未満の身体介護中心型の算定要件の留意点として、単なる見守り・安否確認のみのサービスによる算定は認めないとされる。

5犬の散歩等ペットの世話は、訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為である。一般的に介護保険の生活援助の範囲に含まれないと考えられる事例であり、介護保険給付の対象外である。

 

51

介護保険における訪問による入浴の介護について正しいものはどれか。2つ選べ。

1訪問入浴介護事業所が、その事業所と同一の建物に居住する利用者に対し訪問入浴介護を提供する場合には、所定単位数の100分の90に相当する単位数を算定する。

2利用者の身体の状況等に支障を生ずるおそれがなく、主治の医師の意見を確認した上で、介護職員3人で訪問入浴介護を提供した場合には、所定単位数の100分の100を算定できる。

3訪問入浴介護において十分な経験年数がある介護職員が訪問する場合には、主治の医師の意見の確認なしに入浴の可否を判断してよい。

4全身入浴の介助に必要な場合には、訪問介護と訪問看護を同時間に利用することができる。

5訪問入浴介護において利用者の体調が悪く、利用者の希望により部分浴のみ行った場合にも、全身入浴と同じ単位数を算定することができる。

正解は…14

1当該算定要件は、サービス付き高齢者向け住宅等の集合住宅(養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム・改正前の高齢者居住安定確保法に規定の高齢者専用賃貸住宅)と同一建物に併設する事業所で、当該住宅居住の利用者30人以上(前年度の月平均)にサービスを提供した場合である。

2指定訪問入浴介護の提供においては、1回の訪問につき、看護職員1人および介護職員2人で行うものと定められ、利用者の身体の状況が安定していること等から、入浴により利用者の身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められる場合には、主治の医師の意見を確認したうえで、看護職員に代えて介護職員を充てることができることが定められている。この場合、所定単位数の100分の95に相当する単位数を算定する。

3入浴の可否の判断は、利用者個々の体調を把握し、看護判断により主治医へ連絡・相談し、主治の医師の判断を仰ぐことが原則である。入浴や部分浴、清拭を実行するにあたっては、安全であることを十分に確認し、その旨を記録しておかなければならない。また実施後の報告を主治医へ行う。

4利用者は同一時間帯にひとつの訪問サービスを利用が原則である。しかし、家庭の浴槽で全身入浴の介助をする場合など、訪問介護と訪問看護、又は、訪問介護と訪問リハビリテーションを、同一時間帯に利用する場合は、利用者の心身の状況や介護の内容に応じて、同一時間帯に利用することが必要な場合に限り、それぞれのサービスについてそれぞれの所定の単位数が算定できる。ただし、訪問入浴介護は看護職員1人と介護職員2人の3人体制による入浴介助が基本であるため、訪問入浴介護従事者と別の訪問介護員等が、同一時間帯に同一利用者に対して、入浴その他の介助を行ったとしても、別に訪問介護費は算定できない。

5訪問入浴介護において、清拭又は部分浴(洗髪、陰部、足部等の洗浄をいう)を実施したときは、全身浴を行った場合の所定単位数の100分の70に相当する単位数を算定する。

 

52

介護保険における通所介護について正しいものはどれか。2つ選べ。

1利用者は、利用日ごとに異なる提供時間数のサービスを受けることができる。

2時間区分が同一の利用者については、サービス提供開始時刻と終了時刻は同時刻でなければならない。

3サービス利用時間が9時間を超過する場合は、延長加算を算定できる。

4通所介護事業所と同一建物に居住する利用者にサービスを提供する場合も、原則として、他の利用者と同一の所定単位数で算定できる。

5個別機能訓練加算は、機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等を1名以上配置していれば算定できる。

正解は…13

1利用者ごとのアセスメントに基づいたケアプランが作成されるため、利用者にあった日数や提供時間でサービスを利用することができる。

2利用者個別のケアプランにより、サービスの提供時間が決定されるものであり、開始時間と終了時間を一律にしなければならないものではない。

7時間以上9時間未満の通所介護の前後に日常生活上の世話を行う場合、9時間以上10時間未満、10時間以上11時間未満、11時間以上12時間未満に区分してそれぞれ加算が算定できる。

4同一建物に居住する者または同一建物から当該指定通所介護事業所に通う者に対し、通所介護を行った場合は、1日につき94単位を所定単位数から減算する。ただし、傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要であると認められる利用者に対して送迎を行った場合は、この限りでない。

5個別機能訓練加算はこの人員配置とともに、機能訓練指導員、看護職員、介護職員等が共同で、利用者ごとの個別機能訓練計画を作成し機能訓練を実施することが必要である。

 

53

介護保険の給付対象となる福祉用具について正しいものはどれか。2つ選べ。

1認知症老人徘徊感知機器は、福祉用具貸与の対象となる。

2自動排泄処理装置は、交換可能部品も含め、特定福祉用具販売の対象となる。

3設置工事を伴うスロープは、福祉用具貸与の対象となる。

4移動用リフトは、つり具の部分も含め福祉用具貸与の対象となる。

5入浴補助用具は、特定福祉用具販売の対象となる。

正解は…15

1認知症老人徘徊感知機器は、玄関などに設置して、通過時に知らせる機器であり、福祉用具貸与の対象である。これには、ベッドから離れたことを検知して音などで知らせる離床センサーも含まれる。

2自動排泄処理装置は、これまで特殊尿器として購入種目であったが、尿・便ともに吸引するものを対象とすることに伴い、尿だけを吸引するものも含めて2012年度より貸与の対象となった。また、レシーバーなど貸与になじまないものは自動排泄処理装置の交換可能部品として購入種目となった。

3福祉用具貸与の対象は、工事を伴わず使用できるスロープに限定されている。工事を伴う場合は住宅改修費として給付の対象となる。

4移動用リフトは、工事を伴わずに設置できるリフトのほとんどが対象になっている。移乗介助の介助者の負担軽減とともに介助を受ける本人も快適で安心である。人をつり上げるリフトのほかに、車いすに取り付けたり、座位のまま階段を昇降できる階段移動リフトも対象となった。ただし、つり具の部分は購入品目となっている。

5入浴補助用具は、シャワーチェア(入浴用いす)やそれに車輪がついたシャワー用車いす、浴槽の縁に取り付ける手すり、入浴用介助ベルトなどが特定福祉用具販売の対象になる。

 

54

認知症対応型共同生活介護について正しいものはどれか。3つ選べ。

1認知症対応型共同生活介護事業者は、利用者の負担により、当該事業所の介護従業者以外の者による介護を受けさせることもできる。

2複数の共同生活住居がある認知症対応型共同生活介護事業所の場合は、共同生活住居ごとにそれぞれ夜勤職員を配置しなければならない。

3事業者は、利用者の処遇上必要と認められる場合であっても、居室を二人部屋にすることはできない。

4事業者は、共同生活住居ごとに非常災害対策などの事業運営についての重要事項に関する規程を定めておかなければならない。

5事業者は、食材料費、理美容代、おむつ代を利用者から受け取ることができる。

正解は…245

1認知症対応型共同生活介護事業者は、利用者の負担により、当該共同生活住居における介護従業者以外の者による介護を受けさせてはならない。法第99条第2項。

2夜間・深夜の勤務を行う介護従業者について、以前は、利用者の処遇に支障のない場合は併設される他の共同生活居住(ユニット)の職場に従事されるとされていたが、2012(平成24)4月以降は兼務は不可となり、共同生活居住ごとに配置が必要である。

3居室の定員は、1人とする。但し利用者の処遇上必要と認められる場合(夫婦等)は、2人とすることができるものとすると設備基準に規定されている。法第93条第3項。

4事業者は共同生活住居ごとに、次の事業の運営についての重要事項に関する規定を定めておかなければならない。(1)事業の目的及び運営の方針(2)従業者の職種、員数及び職務内容(3)利用定員(4)指定認知症対応型共同生活介護の内容及び利用料その他の費用の額(5)入居に当たっての留意事項(6)非常災害対策Fその他運営に関する重要事項(運営規定)。法第102条。

5事業者はサービス利用料のほかに、これらの支払いを利用者から受けることができると運営基準に規定されている。法第96条第3項。

 

55

介護予防訪問介護について正しいものはどれか。3つ選べ。

1介護予防訪問介護事業者は、利用者の意欲が高まるように利用者とのコミュニケーションを十分図るなどの働きかけに努めなければならない。

2介護予防訪問介護計画の様式は、法令で定められたものを使用しなくてはならない。

3介護予防訪問介護の提供に当たっては、他の福祉サービスの利用可能性についても考慮しなければならない。

4自らの事業所でサービス提供が困難と判断した場合には、申込者の担当介護予防支援事業者に連絡し、他の事業者等を紹介するなど必要な措置を速やかに講じなければならない。

5サービス提供責任者は、少なくとも1月に1回は、介護予防訪問介護計画の実施状況の把握を行わなくてはならない。

正解は…134

1基本取扱方針で事業者は、サービス提供に当たり、利用者とのコミュニケーションを十分に図ることその他の様々な方法により、利用者が主体的に事業に参加するよう適切な働きかけに努めなければならないとされる。法第38条第5項。

2サービス提供責任者は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて、介護予防訪問介護の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容、サービスの提供を行う期間等を記載した介護予防訪問介護計画を作成するものとする(法第39)が、標準様式であり、法令で定められた全国一律の様式ではない。

3介護予防訪問介護は、あくまでも利用者ができる生活行為を増やしていき、日常生活の自立に向けて支援することを目的としているため、通所系サービス(運動機能の向上等)の利用を通して生活行為の改善を図っていくことを考える必要がある。

4運営基準にサービス提供困難時の対応として規定されている。法第10条。

サービス提供責任者は、介護予防訪問介護計画に記載したサービスの提供を行う期間が5終了するまでに少なくとも1回は、介護予防訪問介護計画の実施状況の把握を行うものとする。(具体的取扱方針)法第39条。

 

56

介護老人福祉施設の介護支援専門員について適切なものはどれか。3つ選べ。

1計画担当介護支援専門員は、定期的に利用者と面接し、サービスの実施状況を把握しなければならない。

2施設サービス計画の作成に当たり、地域住民による自発的な活動等の利用を含めて施設サービス計画上に位置づけるよう努めなければならない。

3入所者が要介護状態区分の変更の認定を受けた場合には、計画担当介護支援専門員は、担当者の意見を求めることなく、自らの判断で施設サービス計画の変更ができる。

4介護支援専門員が必要と認めた場合であれば、入所者の負担で居宅療養管理指導等の居宅サービスを利用することができる。

5介護老人福祉施設には、常勤の介護支援専門員を1名以上置かなければならない。

正解は…125

1計画担当介護支援専門員はサービスの実施状況の把握に当たっては、入所者及びその家族並びに担当者との連絡を継続的に行うこととする。特段の事情のない限り、定期的に入所者と面接、定期的にモニタリングの結果を記録することを実施しなければならない。運営基準法第12条第10項。

2施設サービス計画の作成に当たっては、入所者の日常生活全般を支援する観点から、当該地域の住民による自発的な活動によるサービス等の利用も含めて施設サービス計画上に位置づけるよう努めなければならない。法第12条第2項。

3入所者が要介護更新認定、要介護状態区分の変更を受けた場合は、計画担当介護支援専門員はサービス担当者会議の開催、担当者に対する照会等により、施設サービス計画の変更の必要性について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めなければならない。運営基準法第12条第11項。

4介護保険施設の利用者は居宅療養管理指導等の居宅サービスの利用はできない。

5従業者の員数において介護支援専門員は、1名以上(入所者の数が100人またはその端数を増すごとに1を標準とする)とし、専らその職務に従事する常勤の者でなければならない。ただし、入所者の処遇に支障がない場合は、当該指定介護老人福祉施設の他の職務に従事することができる。人員基準法第2条第1項第6号・同第9項。

 

57

社会資源について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1一般的に、インフォーマルなサポートは柔軟な対応が可能だが、安定した供給が困難な場合もある。

2インフォーマルな社会資源には、明確には制度化されていない当事者組織や相互扶助団体は含まない。

3介護支援専門員には、雪落としやごみ回収などのサービスの活用は求められていないが、配食サービスや移送サービスの活用は求められている。

4介護支援専門員には、フォーマルサービスとインフォーマルサービスの連携を図ることも求められている。

5介護支援専門員には、要介護者等自身の能力・資産・意欲といった内的資源を活用することも求められている。

正解は…145

1インフォーマルサポートの中で家族は柔軟に対処できる主たるものである。

2当事者組織や相互扶助団体もインフォーマルな社会資源に含まれる。

3介護支援専門員には配食サービスや移送サービスを始め、雪落としやゴミ回収などのサービスなども含まれ、幅広く社会資源の活用が求められている。

4インフォーマルな社会資源とフォーマルな社会資源の関係は不連続の側面が強く、要介護者等に提供するにあたってそれらを連続したものにするために、フォーマルな側での調整的な役割が求められる。ここに介護保険制度ではケアマネジメント(居宅介護支援サービス)の意義を見つけることができ、フォーマル側に介護支援専門員を置くことにより、フォーマルな分野はインフォーマルな分野との連続した支援を行うことが可能となる。

5介護支援専門員は、社会資源以外にも内的資源を活用していくことが求められている。

 

58

生活保護制度について正しいものはどれか。2つ選べ。

1生活保護受給者である介護保険の第1号被保険者の保険料は、介護扶助の対象となる。

2介護扶助の対象者は、介護保険の第1号被保険者に限定される。

3介護予防支援計画に基づく介護予防は、生活扶助の対象である。

4介護施設入所者基本生活費は、生活扶助として給付される。

5介護扶助の対象でも、住宅改修など現物給付が難しいサービスについては金銭給付が認められている。

正解は…45

1第1号被保険者の保険料は、介護扶助ではなく、生活扶助の対象である。

2介護扶助の対象者は(165歳以上の介護保険の被保険者(1号被保険者)240歳以上65歳未満の医療保険加入者(2号被保険者)であって、介護保険法施行令(平成10年政令第412)2条各号に掲げられた特定疾病により要介護または要支援の状態にある者B医療保険未加入のため介護保険の第2号被保険者になれない40歳以上65歳未満の者であって、特定疾病により要介護または要支援の状態にある者である。

3介護予防支援計画に基づき行う介護予防は、介護扶助である。介護扶助の範囲には、(1)居宅介護(2)福祉用具(3)住宅改修(4)施設介護(5)介護予防(6)介護予防福祉用具(7)介護予防住宅改修(8)移送がある。(生活保護法第15条の2)

4介護保険施設に入所している場合の日常生活費については「介護施設入所者基本生活費」として生活扶助から給付される。

5介護扶助の給付方法は、介護サービスの性質上サービスそのものを保障することが重要であるため、原則として現物給付により行われるが、住宅改修や福祉用具等現物給付によりがたいサービスについては金銭給付により行われる。

 

59

成年後見制度について正しいものはどれか。2つ選べ。

1成年後見人は、本人の居住用不動産の処分を含め、本人の財産に関する法律行為を家庭裁判所の許可なく本人に代わって行うことができる。

2市町村長は、65歳以上の者の福祉を図るため特に必要があると認めるときは、後見開始等の審判を請求することができる。

3成年被後見人による法律行為を、当該成年被後見人が自らこれを取り消すことはできない。

4任意後見契約の委任者(本人)と任意後見受任者は、公正証書で任意後見契約を交わさなければならない。

5任意後見制度では、家庭裁判所が、任意後見人の四親等内の親族の中から任意後見監督人を選任する。

正解は…24

1本人の居住用の不動産を処分する場合には、家庭裁判所の許可が必要である。

2法定後見制度における申立権者は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検察官(民法第7条)、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人(任意後見契約に関する法律第10条第2項)とされている。しかし、65歳以上の者、知的障がい者、精神障がい者について、その福祉を図るために特に必要があると認めるときは、市町村長は後見開始の審判等の請求ができると規定されている(老人福祉法第32条、知的障害者福祉法第28条、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第51条の112)。

3成年被後見人による法律行為は、当該成年被後見人が自らこれを取り消すことができる。

4本人と任意後見受任者とが、公正証書で任意後見契約をすることになる。公正証書以外の方式で契約をしても、任意後見契約として使用することはできない。

5任意後見制度では、認知症等により判断能力が不十分になったときのために、後見人になってくれる者と後見事務の内容を、あらかじめ契約によって決めておく制度である。一方、本人または四親等内の親族等の申立てに基づいて、家庭裁判所が成年後見人等を職権で選任する制度を法定後見制度という。

 

60

「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下「高齢者虐待防止法」という。)について正しいものはどれか。3つ選べ。

1高齢者虐待防止法で対象となる養介護施設には、有料老人ホームは含まれない。

2市町村は、養護者の負担の軽減を図るため緊急の必要がある場合に高齢者が短期間養護を受けるために必要となる居室を確保するための措置を講じなければならない。

3養護者による虐待で高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがある場合には、市町村長は、高齢者福祉に関する事務に従事する職員をして、当該高齢者の居所に立ち入り、必要な調査を行わせることができる。

4市町村長は、養介護施設従事者等による高齢者虐待の状況やそれに対する措置等を、毎年度、公表しなければならない。

5養介護施設従事者等は、業務に従事する施設内において虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は、速やかにこれを市町村に通報しなければならない。

正解は…235

1養介護施設は、老人福祉法に規定の有料老人ホームのほか、介護保険法に規定の地域包括支援センターや介護老人福祉施設等とされている。高齢者虐待防止法第2条第5項。

2措置を採るために必要な居室を確保するための措置を講ずるものとする。同法第10条。

3市町村長は、地域包括支援センターの職員その他の高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該高齢者の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。同法第11条。

4市町村長ではなく、都道府県知事が、毎年度施設・事業者による高齢者虐待の状況等について厚生労働省令で定める事項を公表する。同法第25条。

5養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る通報を義務付けられている。同法第21条。

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